第53章 セリフはないのに、断固シナリオがあるように三人は演じていた。いや、性行為をしていた。
あきらかに、これは3Pと云うセックスのバリエーションだが、情欲で起こされている3Pなのかどうか、どこか釈然としない3Pだった。
しかも、姉と妹、そして弟がとりかわす近親相姦な3Pなのだから、冷静になれば、幾分の異常と、猛烈な異常が重なっているのだった。
しかし、私を含め、三人に、非倫理的で許し難い行為がなされているとは、誰も感じていなかったに違いない。
演劇と云うものは、こういうものなのだろうか。舞台に登った瞬間、その演技者は役になり切り、罪悪感も羞恥も躊躇いも逡巡も投げ捨てるのだろうと実感した。
“役者と乞食は三日やったらやめられない”と云う言葉があるが、役を演じることの意味が、少し理解できた。そして、それに、自分自身のすべてを注ぎこむ有紀の心情も理解できた。
私も、圭も、職業上の役は演じているだろうが、不器用にも、一種類の役を演じているだけで、次から次と役を演じることはない。
その上、その役に成りきることで、舞台やスクリーンの中でスポットライトを浴びるのだから、なかなかスリリングで魅力的な職業だと思った。
その役に嵌っている限り、演じる役が、どれ程凶悪な殺人鬼でも、詐欺師であっても、最終的にはフリーパスの免罪符を持っているのだから、夢の中で狂気の暴君になれると云うことなのだろう。
私も演技者のひとりであることをたしかめるように、有紀の乳房に手を当宛がった。有紀は、予測された手であるかのように、私の指を受入れた。
有紀の乳首は私より、左右ともに大きく、且つ固く尖っていた。指先でいたぶるにも、手のひらで刺激を与えるにしても、好都合な形状になっていた。
おそらく、勃起したペニスやクリトリスの亀頭が刺激に敏感なように、尖った乳首も、摩擦に弱そうに見えた。
コリコリした感触の有紀の乳首は、摘んだり、咬んだりするよりも、摩るような摩擦に感受性があるように思えた。単純に、私は見たと通りの印象で、その乳首に愛撫を加えた。
有紀の乳首に、そのような愛撫を加えることで、有紀のバギナに、何らかの異変が起きたのだろうか、圭の動きがとまった。そして、幾分の困惑の表情が見て取れた。
有紀の喘ぎが切迫していた。おそらく、かなり深い快感領域で、最期のとどめを待つ態勢にもかかわらず、トドメがないことに、有紀も戸惑っているようだった。
私はサディスティックな気分になっていた。有紀をもっともっとイカセたい。イカせるのは良いが、一本道でイカせる気にもなれない意地悪な思いがあった。
普通ではつまらない。私たちは、折角考えられないシチュエーションでセックスを演じているのだから、もっと魔界のような性に溺れなければ意味がない。そうじゃないと、私たちの行為に美は訪れない。
かといって、どうすれば、その魔界のような行為に陥るのか、その方法を知らなかった。こうなると、現在、有紀の乳首に行っている愛撫をもっと過激にすることしか思い至らなかった。
私は夢中で、有紀の乳首への摩擦の度合いを深めた。なにを思ったのか、圭が有紀のバギナから怒張を抜去し、俯せになっていた私のお尻の上に跨った。
圭の、突如とした動きに、私は思わず腰を浮かせてしまった。
不可抗力と言うべき状況で、圭の怒張が、後背位にもかかわらず、みごとと表現したくなる滑らかさで、バギナに侵入してきた。
切羽詰まった感じの圭の怒張は、私の奥を貫き、お尻を万力のような力で抑え込み微動だもしなかった。
私は犯されているような奇妙な快感を味わっていたが、それでも、有紀の様子が気になった。
はじめは、有紀の乳首への愛撫に固執しようと努めたが長くは続かなかった。
ただ、どういう積りか自分でも分からなかったが、有紀の上半身を抱きしめる態勢をとり、乳房に顔を埋めた。
有紀は、バギナからペニスが去って行ったのを知らない筈はないのに、先ほど同様に喘いでいた。その時初めて気づいたのだが、圭の指が有紀の股間に挿し込まれていた。
どうなっているのか、私には理解不能だったが、たしかに圭の右腕は有紀に向けられていた。
まさに魔界の性行為だった。圭は、ペニスを私のバギナに挿し込み、その指を有紀のバギナに挿し込んでいる。
何という失礼と云うか、器用な男なのだが、そのように、圭も演じていると思えば、納得出来ないこともなかった。
有紀が唇を求めてきた。一瞬、躊躇いが走ったが、今は演じ切ることが、最も大切なことだと、その求めに応じた。
つづく
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