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終着駅488


第488章

「姉さん、ヨカッタよ!あの調子なら、姉さん、絶対に行ける」有紀が、大きな声を上げながら帰ってきた。

「みんなが、驚いていたよ。初演技で、あんな風に出来るなんて不思議だって」

私はキッチンで、シチューを作りながら、背中で、有紀の声を聞いていた。

「いま、料理中!」私も、同じくらい大きな声で答えた。

有紀は、小走りでキッチンまで来ると、シチューを静かにかき混ぜている私の背中を抱きしめた。

「どうしたのよ、飲んできたの?」

「飲んでませんよ。それより、姉さんこそ、料理するなんて、どういう風の吹きまわし?」

「色々、考えている内に、料理が作りたくなっただけ。それよりも、シャワーでも浴びておいでよ。出た頃には、シチュー出来ているから……」

“ハーイ”と、ご機嫌な声を出して遠ざかる有紀の足音を聞きながら、本当に、私の演技が大丈夫だったのか、真剣に確認しようと思っていた。

そうして、どうして、自分は、知らず知らずに料理をする気になっているのか、奇妙な気分だった。

「美味しいかしら?」私の味見では、まずまず食べられる代物だったけど、有紀の感想を聞きたかった。

「そうね、コクがないかな。何か、もっと意味不明なスパイスを入れるとか、チーズを溶かすとか。でも、パンに滲みらせると結構イケルよ」

有紀の感想は尤もだった。シチューの素だけで作ったのだから、コクがないのは肯けた。

「今度は、工夫してみるよ」

「あら、これからだって大丈夫だよ。かなり、作ったんでしょう?」

「タップリね」

有紀は、それでも、悪いと思ったのか、盛りつけたぶんのシチューを片づけて、キッチンに向かった。

私は、有紀のキッチンに向かっている姿を眺めながら、手際の良さを惚れ惚れと見ていた。

何が違うのだろう。後姿も、指先の動きも、味をたしかめる仕草も、様になっている。演技をしていくうちに身につけたものなのだろうか。いや、生まれつきのものだろう。

私が特別、料理の才能が欠けているのかもしれない。

私のように、自分の子供の三度三度の食事を心配する母親などはいないのかもしれない。ごく自然に出来ることが、実は、私は出来ないのではないのだろうか?

「有紀って、誰かに、食事を作ってあげた経験とかあるの?」

「ない。そんな親切なことしないよ。ひたすら、自分が美味しいと思うものを食べたいだけよ。
“好きこそモノの上手なれ”ってことよ。姉さんには、神様から、料理の能力だけは、与えて貰えなかったんだと思うよ。
そう云う人は、作らなければ良いのよ。他に、出来ることを真剣にやっていれば、許してくれるよ」

「誰が?」

「誰と云うか、世間全体がよ」

「でも、子供は許してくれないかも?」

「あぁそうか。姉さんが、料理なんか始めたのは、“ゆき”の食事の心配に辿りついたわけなんだ」

「良く判ったね、その通り。何とかして、慣れなければと思ってさ……」

「そうね、姉さんに出来るのは、ご飯を炊くくらいかな。それと、サラダを盛りつけるくらいだね」

「酷い言い方だけど、当たっているのかも……」

有紀の意見だと、ご飯を炊いて、食材を冷蔵庫に入れておけば、奈津子さんが、適当に子供のおかずくらいは作ってくれるだろうし、自分も気まぐれに作るし、母さんだって、頼めば、時々何か作って持って来てくれるに違いない。だから、あまり心配する必要はないと、勇気づけてくれた。

万が一のために、レトルト食品、冷凍食品、缶詰などを保存しておけば、急場は凌げるのだから、ツマラナイ心配は無用だと、簡単に片づけられてしまった。
つづく

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終着駅487


第487章

約束の時間を5分遅れで、家についた。

「スミマセン、遅れちゃって」

「遅れてなんかいませんよ。それより、舞台の方はどうでした?」

「どうなんでしょう?夢中でしたから、好かったのか、駄目なのか、良く判りませんでした。特別の注意は受けなかったですけど、お目こぼしもあると思います」

「判らなかったって、素直な感想ですよね。私も、自分で言っておきながら、馬鹿な質問してるなって、思いましたから」奈津子さんが、“ゆき”にミルクを飲ませながら、微笑んだ。

「ゆきは良い子にしていました?」

「えぇ、とってもいい子ちゃんでしたよ。私って、子供好きだから、自分の子供を含めて、随分色んな赤ちゃん扱いましたけど、ゆきちゃんは、最高に手のかからない赤ちゃんです。私、何度も居眠りしてしまいましたから……」

「たしかに、グズることの少ない子ですよね。私もそう思いますけど、何か欠陥でもあるんじゃないかって、フト、不安になるんですよ」

「そうかしら?それは杞憂だと思いますよ。だって、身体がスクスク育っていますもの。発達障害がある場合には、成長過程で、必ず、普通じゃない何か症状に現れますから、大丈夫ですよ」

そんな会話を交わして、奈津子さんは、“ゆき”を私の腕の中にバトンタッチすると、軽快に一階の駐車場に降りていった。

奈津子さんが通い保育の条件で、唯一出してきたのが、車通勤を認めることだった。その通勤用の真っ赤なポルシェ・カブリオレは、独特のエキゾーストノートを残して、どんどん遠ざかって行く姿が、音と共に見えていた。

有紀が、奈津子さんの車を見たら、自分の中古のフォルクスワーゲンを買い替えると言い出しそうだったが、有紀が奈津子さんのポルシェを目撃することは、当分なさそうだった。

“ゆき”は充分お腹が一杯らしく、すやすやと眠りに就いていた。よく、抱いていると泣かないが、ベッドに下ろした途端に火がついたように泣く赤ん坊が多いらしいが、“ゆき”にその心配は、今のところなかった。

ホッと一息ついた私は、自分が、お腹が空いているのかいないのか、自覚がなかった。

稽古中に、準備されていたオニギリを一個、コーラで流し込んだ記憶はあったが、それ以上のものを口に運んだ記憶はなかった。本来であれば、空腹を覚える筈なのに、それがなかった。

冷蔵庫を覗いてみると、賞味期限ギリギリの桃のゼリーがあったので、取りあえず口に運んだ。

ひとまず落ち着きを取り戻して、考えた。

もし、こんな生活が続くのだったら、我々は、どんな食生活を送ることになるのだろうと。

とても粗末な食事で生きるか、ケータリングに頼ることになりそうだった。

我々の栄養はどうにかなるとしても、“ゆき”の離乳食から、普通の食事を食べさせる必要が出た時は、どうするのだろう。

現状の生活で、“ゆき”に満足な食事を提供することは、不可能に近かった。

子供を産んだ母親が、普通にしていることが出来ない自分に、驚いた。

離乳食は、5,6か月目から。“ゆき”の場合、2カ月早く産まれているので、7カ月目くらいから、意識すれば良いのだろう。と云うことは、後2か月程度で、離乳食の時期が来る。

離乳食であれば、奈津子さんにお願いしても、大きな負担にはならないだろうから、何とかクリア―するだろう。

しかし、離乳食を卒業する、1歳児以降は、離乳食から、普通食へ移行させなければならなくなる筈だった。

それを、私は出来るのだろうか。母親として、しなければならない事柄の知識がゼロに等しい自分に愕然とした。

しかし、その食事まで奈津子さんに作って貰うと云うのは、無謀だった。しかし、三度三度の食事を、有紀と気ままに取る生活をしていた私にとって、かなりの難行に思えた。

“一気に15歳くらいになってくれないかな”私は、ゆきの頬を指で軽くつつきながら呟いた。

“ゆき”が、そうは行きませんと、諭すように笑顔を見せた。
つづく

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終着駅486


第486章

“ゆき”同伴で稽古に入ることも可能だったが、田沢君のお母さんが快く、通い育児を引き受けてくれた。

基本的に、午前十時から午後五時まで、私の身は自由になった。土日を除く二週間、私の稽古に協力すると、嬉しそうに応じてくれた。

田沢奈津子さんの言い分だと、“竹村ゆき”に会いたくて、夢に見るくらいだったので、主人にも、”救われたねっ”て揶揄われたくらいです、とあけすけに、自分の事情まで暴露してくれた。

現金うんぬんも、いざとなると面倒になり、そのまま放置した。田沢奈津子さんが二階の部屋を覗き見するとも思えないし、まして、現金を持ち逃げする可能性は、彼女の境遇から考えられなかった。

私は、そんなことよりも、まともに声が出るものか、そのことで気持ちは一杯一杯だった。

家で、声出しを有紀に確認して貰った範囲では、オーケーが出ていたが、劇団の人達が一緒のところで、同じように声が出るか、そのことで頭は一杯になっていた。

私は、5回シナリオを読み返した。そして、自分を、若くして未亡人になった、謎の多い、女になり切ろうとしていた。

有紀から、表情は、能面のような方がいい。無機質で、感情が平坦な女であることを意識すれば、それだけで、役は務まるからとアドバイスを貰っていた。

高校の時、二年間ほど演劇部に所属していたので、舞台上での声の強弱に関しては、ある程度身についたものがあった。私が、リビングで演じる声を、有紀は二階に上がって聞いていた。

“姉さんの声って、想像以上に通るから、よく聞こえるよ”有紀が、私の演技をおだてても意味はないわけだから、私は、自信を確認していた。

出演者がまちまちの服装で舞台に上がっていた。私は、椅子に座っている時間の長い演技だったので、出ずっぱりだった。

その間、私は、相手の役者のセリフを聞く役目なのだが、常に横顔が観客から見える角度に椅子がセットされていたので、観客席の視線を強く意識する必要はなかった。

一回目の声出しの時に、一瞬声が上ずった自覚はあったが、駄目出しの声は掛からなかった。

二度目、よりも三度目。私は、気がつくと、全身で劇中に吸い込まれて行った。本当に、私自身が、舞台上の女であると云う自覚が湧いてきた。

上手く行っているのか、そこまで判断出来る筈もないが、私の部分でチェックは入らなかった。

有紀がお目こぼししたのか、その辺も判らなかった。

稽古は4時に終わった。終わって、床に腰を下ろし、コーラを飲んでいると、有紀が近づいてきて、首筋に手を当てがい、もみほぐしてながら、“グッドジョブ”と囁いた。

「私、これで帰って良いかしら?5時に田沢さんとバトンタッチしたいから」

「あぁそうだったね。うん、もう大丈夫。タクシーで帰るんでしょう?」

「そうするわ。まだ、完璧な体力じゃないし、頭がぼーっとしたままだから……」

「わかる。でも、まったく問題ないから、この調子でオッケーよ」有紀が、背中を数回叩いた。

タクシーに乗り込むと、一気に疲れが出てきた。気持ちが悪いようなことはなかったが、猛烈な睡魔に襲われた。

運転手さんに、吉祥寺の駅が近づいたら声をかけて下さい、と頼んで、目を閉じると、一瞬で眠りに就いていた。
つづく

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終着駅485


第485章

私は、とっさに、有紀の想定を覆してやりたい欲望が生まれた。心からの反発心とも、少し違っていた。

ただ、三上商事から身を引いたことで生まれた、心の空白は、劇団の事務仕事では埋まらなかった。

その空白は、なにが何でも埋めなければと云う切迫感はなかった。

ただ、自己決定に拘りすぎた生き方を変えるには、流れに逆らわず、目の前に現れた餌に喰いつくのが一番容易いと思っていた。

「良いよ」私は、条件なしに、一言で答えた。

「えっ!いま姉さん、良いよって言ったよね?」

「言ったよ」

「冗談じゃなく、ほんとに、本当?」

「冗談で言えないでしょう。でも、条件はあるよ」

「条件って?」

「私の演技で、舞台が台無しになると不安があったら、絶対に出さないと、約束して欲しいの」

「その役は、セリフが少ないから、台無しになることはないけど、姉さんが舞台に上がった責任は、私が全面的に取るよ。でも、どうして、そんなに素直になったの?」

「その言い方って、まるで、私が素直じゃなかったみたいじゃないの。考え過ぎの傾向はあったけど・・・・・・」

「そこよ。そこが革命的違いなのよ。考えないと一歩も進まないと思っていた姉さんが、質問なしに、二つ返事って、それは、誰だって驚くよ。母さんなんて、気が狂うかも……」

有紀は、母の混乱する様を想像しているのか、にやにやと悪戯っぽく笑った。

「姉さんが、舞台に上がってくれるとなると、キャスティング変える必要が出てきそう。明後日から、稽古に入るんだけど、体調は大丈夫?」

「そんなことより、素人の私が突然舞台に立って、劇団内の問題って起きないの?」

「特別、起きないよ。全劇団員が、その金持ちの若き未亡人役を振られることに尻込みしていたから、きっと大歓迎だと思うよ」

「てことは、難しい役ってことじゃないの?」

「そうだよ。若くて、金持ちの未亡人以外には、とても厄介な役なの。でも、姉さんは、そのまんまでしょう?だから、いつも通りの姉さんが座っていれば良いのよ。そして、“さあ、どうかしら?”とか、“それって、どう云う意味かしら”とか、相手の役者に、長々と説明させる役柄だからね、楽ちんなのよ」

「楽ちんなら、誰もがやりたがるんじゃないの?」

「風格があればね。ただ若いだけじゃ駄目だし、若くありたいと、抵抗をしている女の人じゃダメなの。意識の中で、金持ちだと思っている人も駄目。
座っている、立ち上がる、それだけで、周りの人間をウロウロさせるオーラが必要なのね。だから、現在の劇団員に見当たらないの。劇団外の女優さんに、友情出演して貰おうか、考えていたところだったの」

有紀は、次の舞台の成功を信じているような顔つきになっていた。有紀の自信満々な顔つきを見れば見るほど、私の不安が具体的になってきた。

「あのね、本当に駄目だったら、無理されるのは嫌だよ。明後日からの稽古、数日すれば、駄目か、駄目じゃないか、一定の判定は出来るものなの?」

「出来るよ。というか、姉さんなら、絶対に大丈夫。まあ、セリフの言い回しとか、若干注文が入るかもしれないけど、十回も声に出してしまえば、良くなるよ。今の姉さんそのもので、充分なんだから」

有紀が、すべて解決と決めつけて、私を抱きしめた。私も、その力に応じる程度に、有紀を抱きしめたが、半信半疑の気持ちに変わりはなかった。
つづく

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終着駅484


第484章

その夜、有紀と田沢君のお母さんに、月水金、通いの保母さんをやって貰う件の話をしていた。

「どう思う。私は、ずいぶん助かるんだけどさ……」

「特に、問題ないと思うけど、田沢君のお母さんが、高坂尚子のよう存在になる心配はないよね」

「あり得ないと思うよ、男がいるわけじゃないし……」

「心配のし過ぎだよね」

「ただ、この家を全面的に、田沢君のお母さんに一時的に解放することは、問題ないのかなって不安は、チョッと過った(よぎった)んだけど……」

「そうか、そういう風には考えなかったけど、そういうことになるね……」

二人は、竹村家にいた高坂尚子の残像があっただけに、杞憂めいたことなどを話したが、当初から、育児を田沢奈津子さんに任せる気になりながら、話をしていた。

「お互い、これといった貴重品は持っていないから良いのだけど、姉さん、例の現金、まだ、家に置いてあるの?」

「ええ、引っ越しの時のまま、段ボールの中に新聞紙に包まれてあるけど。あれは拙いかもね」

「拙いわよ。金庫らしくない金庫なんてないのかな?」

「さあ、考えたこともないけどね」

意外に、家具調の耐火金庫で、これはと言えるものはなかった。金庫、金庫と主張しているものを置く気にもなれなかった。

「劇団の金庫に入れるのも不適当だしね。税務署の査察が入った時、金庫の中身確認された時まずいからね。やっぱり、貸金庫じゃないの?」

「あれさ、意外に入らないのよ。忘れたけど、今のと別に、二つか三つ必要になるもの・・・・・・」

「そんなにあるわけ?」

「金持ちなんだね。給料出すのやめようかな」有紀は笑った。

竹村との結婚が、こんな環境まで用意してくれるとは思いもしなかった。金塊を換金した残りも追加されたし、株式の譲渡金も追加されていた。

「この家の支払いって未だでしょう?」

「うん、未だ金子さんの方から連絡来るはずなんだけどね・・・・・・」

「幾らくらいなんだろうね?」

「解体費用を含めても、5千万以内におさまるような話だったよ」

「今の姉さんにとっては楽勝な金額かな?」

「何も考えていないよ。そもそも、私のお金じゃないからね、リアリティーがないのよ。そういえば、神楽坂のマンション、あれ、どうしたらいいと思う?」

「売るんじゃないの?」

「初めはそう思っていたけど、都心に棲むところがあるという環境も悪くないかなって思うし、また現金が増えてもね・・・・・・」

「それもそうだね。ランニングで収入があるほうが、消費してしまえば良い話だしね」

「そう、贅沢に消費すれば、税金の心配せずに済むからね。有紀の生活費は、この家に関してゼロで良いよ。我々ってブランド品は、ワイン以外に興味ないから、所詮生活費はしれたものだからさ」

そんな話をしているとも知らず、”ゆき”は、スヤスヤと、私達の会話を子守唄にして眠っていた。

「竹村ゆきも、幸せな子だよね。生まれながらの大金持ちだものね」

「大金持ちは言い過ぎよ。ちょっとだけ金持ちの家。その程度じゃないの?」

「そうだ、大金持ちで思い出したけど、この次の演目で、金持ちの若き未亡人の役に嵌る役者が居なくても困っているんだけど、姉さん一肌脱ぐ気ないかな?」

有紀は、私が言下に断ることを想定した口調で話した。
つづく

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終着駅483


第483章

「劇団の事務の話は決まりだね」有紀は、車に乗り込むと、断定的に口にした。

「えっ?そんな話はしてないよ」

「私は、あの時、無言で姉さんに尋ねたでしょう。私の劇団手伝ってくれる?って。そしたら、姉さん、何でもするわって、無言で答えたはずよ」

「それって、全部作り話でしょう?」

「でも、やっても良いかなって思っているよね」

有紀は、腿のつけ根の部分に手を置いて、強制的な返事を待っていた。

「出来るかどうか判らないけど、やってみようか……」私は、誘導尋問に簡単に嵌められていた。ただ、その罠が、私を不幸に導く罠のようには思えなかった。

私は、そうして、有紀の甘い罠に、自らの運命の一歩を託していた。

竹村と結婚した時も、子供を妊娠したいと言い出した時も、私が、自覚的だった。しかし、今度の行動は、他者の力に、運命をしばらく預けたい気分になっていた。

そして、その他力の草原には、一本の道さえも見えなかった。

これで良いと決断して、私は劇団の事務局長になった。

名前は立派だが、小口現金の管理と、仕訳と帳簿入力だけの事務局長だった。

要らないと云うのに、30万円の給料を取るように命じられた。

その額は、シングルマザー基金の副理事長の報酬と同額なので、有紀にしてみれば、その報酬を私に返金している気分だったのかもしれない。

劇団の繁忙期は除き、劇団への出勤は、月水金の三日なのだから、かなりの高給だった。ただ、伝票や帳簿の入力を家でやっていたので、週5日は劇団の仕事に関わることになった。

それでも、有紀は、大金でも心配なく預けられる私の存在は貴重だったらしい。

初めの1か月ほど、“竹村ゆき”を連れて出勤していたが、通勤時間帯からずれているとは云うものの、子連れは、容易ではなかった。

そんな時、田沢君のお母さんからメールが入った。

“ご無沙汰しています。涼さんも、ゆきちゃんもお元気そうなので、安心しております。
息子から、涼さんがゆきちゃんを連れて、劇団の事務を手伝っていると聞かされ、チョッと吃驚しています。
大丈夫かな?時折、そんな老婆心が浮かんできます。
息子の話を聞いている内に、涼さんの出勤日だけ、通い保母さんしてあげられたら、と思うようになりました。
問題なければ、お手伝いさせてください。私も、ゆきちゃんがいなくなって、ちょっぴり寂しい気持ちです。
では、とり急ぎ 田沢奈津子”

劇団の事務所にいても、滅多に座長の“滝沢ゆき”と顔を合わせることはなかった。驚くほど、有紀の日常が、多忙だと云うことが理解できた。

有紀が、シナリオと座長だけでやって行きたいと、希望を抱くのも納得出来た。規模が大きくなれば、それなりの組織の分担は欠かせなかった。

有紀と相談するのは夜になりそうなので、取りあえず、“大変、有難いお話なので、前向きな方向で考えたいと思います。

明日、正式にお返事させて頂きます。”田沢君のお母さん”田沢奈津子さんに返信した。
つづく

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終着駅482


第482章

「絵になるね。姉さんさ、多少は暇、出来たんじゃない?」有紀は、佇んでいる私に向かって、悪巧みをしている視線を投げてきた。

「私が、いま、演出監督だったら、涼さん、脱いでみようかって声をかけてしまいそう」

「なに言ってんのよ。私は女優じゃありませんことよ。貴女の劇団の事務員くらいなら、してあげても良いけどね」

「いや、わが劇団の場合、事務係も、大道具小道具係も、時に出演者にさせちゃう決まりなの」有紀は胡坐をかいて、アングルを定める仕草をした。

「やめなさい、そう云う行動は。本気で脱ぐ気になっちゃうでしょう。身体がムズムズして来たよ」

「さあ、二階に上がろう」有紀が私の指を捕まえて、グイグイと二階の階段を昇らせた。

私は、何も考えずに、有紀に導かれるままに、階段を一歩一歩踏みしめて歩いた。

有紀の手慣れた動きで、私は着ているものをすべて奪われた。

有紀の唇がシャワーを浴びていない私の中心を探り出した。

「そこは汚れているから……」

「それが良いのよ」有紀は、私のささやかに抗う言葉を愉しむように、入念に愛撫を施した。

「妊娠線が出なかったのは、8カ月で産んだ所為なのかな」有紀は、中心を今度は指で弄び、下腹部を撫でまわした。

繊細な有紀の指が、繊細に動くのだから、独特の快感が押し寄せてきた。

バギナからの愛液は滾々(こんこん)と湧きだし、股間を濡らした。

有紀は、挿しいれた指を縦横に動かし、隠微な音を奏でた。

「イヤラシイ音」私はつぶやいた。

私は、その効果音を耳にして、羞恥と云う感覚を盛り上げた。有紀の指の動きが激しさを増した。

私は、その激しさに呼応するように、腰を突きだし、奥に、奥にと、欲望を赤裸々にした。

「未だよ。ここでイカせるのは素人。ここからが、プロの仕事よ」有紀の指が、前触れもなく抜き去られ、私は彷徨った。

「意地悪!」私は藻掻(もが)いた。枕を抱きしめて、どこに行ってしまったのか分らない有紀の指を求めて、腰をうねうねと動かした。

「うつ伏せになりなよ」有紀の命令に、私は従った。

「出産で痔にはならなかったの」

「ならないよ」

「どれ、ちゃんと見てあげるから、お尻の力抜きなさい」

「見なくていいよ。チャンとしてるから……」

「ウルサイ、抵抗しないことよ」

有紀は有無を言わさず、お尻の割れ目を強引に開いた。

……あぁ駄目だよ、そんなところに唇つけるなんて……

しかし、思いとは裏腹に、舐められていくうちに、奇妙な快感が襲ってきた。

それから2時間後、私たちは、吉祥寺の家を後にした。

あの後、有紀の指がアナルに挿しこまれ、私は恐怖の中で、一種独特の快感を憶えていた。

その部分の快感と、本来の挿入部の快感は別物である筈なのに、どこかで同化していた。中指がアナルに深く突き刺さり、親指がバギナの壁を削いだ。

私の身体の、どの部分と、どの部分が交じりあっているのか判らなかったが、アナルとバギナが一体化した錯覚に陥った。

私は、どこまで有紀が、このような行為に耽るのか、怖いと思いながらも、その行為に抗う気力は生まれなかった。
つづく

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終着駅481


第481章

劇団員の美也は、3時僅かに過ぎて到着した。駐車場が空いていたら入れさせてほしいとインタフォーン越しに、甘い声が流れてきた。

コケティッシュな雰囲気を持つ娘だった。

私は、美也が持ってきたアンティーク家具の写真を見ていた。色んな角度から写した家具には、アンティークだけが醸し出す深みがあった。

「きっと、実物を見ると、もっと感動するのでしょうね」私は、1920年代の英国製サイドボードが気に入った。

「多分、無垢のオーク材と楢材で出来ていると思います。これ、珍しく使用した人々の名前が底の方に書き込まれているんですよ。チョッと、ロマン感じますよね」

「へえ、じゃあ、届いたら置く前に、私と姉さんの名前を書いておかないとね」

「えぇ、座長の名前が入っていたら、値が跳ね上がるかもしれませんから」

「調子の良いこと言わないの。今度の劇では、端役しか回せないからね。諦めなさい」流石に、座長なのだ。有紀は、上から目線で威厳をもって話していた。

「どうして、私って、こういう雰囲気なんだろう。この雰囲気がどんなことしても取れないんです。座長、これって演技で変えられますか?」

「さあどうだろう。50歳くらいの美也を見てみたいとは思うけど、30代、40代の美也は、現状では見なくても良いかな、ふふふ」有紀が、美也を甚振っていた。

「やっぱり、駄目なんですね」美也は本気で、座長有紀の言葉を受けとめた。

「現状では、そうだと云うことよ。なにか、小娘の色気以外の何かを持たないと、厳しいってこと。まだ、団員になって2年でしょう。焦らないことよ。人生を重ねることで、違う貴女が見えてきた時は、じゃんじゃん使ってあげるよ」

有紀は、充分に貶したうえで、希望の光も提供していた。

「お話中ですけど、これ譲って頂きたいのですけど、現物はどこにあるのかしら?」

「我が家の倉庫にあります。いつでも見られますけど……」

「今から見に行くこと出来るかしら?」

「えぇ、大丈夫だと思います。父に電話して、予約の札つけさせておきますので……」

美也は、携帯で、商談中の札をつけるように、乱暴な口調で話した。きっと、家では扱いにくい娘として振る舞っているのかもしれなかった。

有紀にも、そういう傾向はあった。

演技に興味を持つ人たちの資質なのだろうか、私はそんな感想を持った。

「あの、よければ、私の車に乗って頂いても良いのですけど……」

とんとん拍子に、アンティークのサイドボードが我が家に到着した。

予定通り、裏の板に1999年7月記載の“Rachel Weisz”の下に、続けて2009.10“Ryou Takemura” “Yuki Takizawa”と書き込み、リビングルームの壁に収まった。

「不思議なご縁ですね。レイチェル・ワイズって女性も女優なんですよ。同姓同名ってこともありますけど……」美也のお父さんと従業員の男性は、リビングの床に座り込んで、有紀が振る舞った珈琲を飲んでいた。

「あら、だったら後で調べてみても面白そうね」

「それにしても、立派なリビングですね。このサイドボードに負けないだけの格のあるリビングは滅多にありませんよ。
これから、愉しめます、どう云う家具を入れるかだけでも。いや、決して押し売りする積りはありません。
正直、あまりアンティークだけに拘ると、妙に陰気くさい部屋になるんものですから……。好みの問題ですし、我々アンティーク業者には有難いお客さまなのですが、個人的には、そう思っているんです」

「そうかもしれませんね。色々と揃えていくうちに、何か、欲しくなったら、また美也さんの方にお話させていただきますわ」有紀は、おしゃべり好きの美也の父親に話を合わせていたが、きりをつける言い回しで応じた。

サイドボードの値段が45万円が、高いのか安いのか判断がつかなかったが、アンティークへの価値が含まれているものと理解した。

「悪くはないね」有紀が、座布団を持って来て、サイドボードの前に陣取って眺めながら呟いた。

「感触がすごくいい感じ」私は、サイドボードの縁の曲線を指でなぞっていた。
つづく

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終着駅480


第480章

翌日、有紀が、昼を過ぎても起きてこないので、部屋をノックした。返事がないので、入ってみると、到底、女優滝沢ゆきとしては考えられない寝姿で、熟睡していた。

何時に寝たのか判らないが、タバコの臭いが消えていないので、明るくなってから寝たのは確実だった。いつもなら、そのまま寝かせておくところだったが、劇団の子が、家具の写真を持って吉祥寺の家に来るはずなのだから、ほっておくことも出来なかった。

何度も揺さぶり起こしたが、頑強に目覚める気配がなかった。

我々は、朝ごはんも済ませ、昼ご飯を食べようかと云う時間なのだから、何とかしなければならなかった。

軽くノックして、母が入ってきた。

「まだ起きないの?」

「寝かしておいても良いんだけど、有紀が呼んだ子が、吉祥寺の家の方に来るからさ」

「有紀!」母は、有紀がどのような寝姿でいるかも構わず、布団を思いっ切り剥いだ。

「あなた、夕方になるわよ!」母は、容赦なく有紀のお尻を叩くと、上半身を無理やり起こした。

手荒な扱いに、酷く不機嫌だった有紀も、徐々に、状況が把握できたらしく、ぶつぶつ言いながらも、自力で上半身を起こした。

「有紀、何時に、彼女、来ることになっていたの?」

「あぁそうだ、ヤバイ。いま、姉さん何時なのよ?」

「1時近いよ」

「間に合うかな、3時なんだよ」

「大丈夫じゃない、間に合うよ」

「おにぎり作るから、車の中ででも食べたらいいわ」剛腕の母が戻ってきて、口はぞんざいだったが、おこないは親切だった。

有紀は化粧も適当に、サングラスを掛けて、車の中で再び眠り出した。膝から、ノートパソコンが落ちそうなので、私が取り上げると、一瞬目覚めたが、また、深い眠りに陥った。

到底、母のおにぎりを頬張る状況にはなかった。よほど、シナリオに、頭と神経をフル回転させていたのだろう。

私は、執筆中の有紀を見たことはなかったが、作家と云うのは、想像していた以上に過酷な仕事なのだと、実感した。

シナリオを書くことで、性根尽き果てているのに、そのシナリオに沿って演出をし、主演を張る。

考えただけでも、加重労働に思えた。

ここ一年近くは、私の問題で、有紀に、更なる過重な労働と気配りを求めていたのかと思うと、心が痛んだ。

……そうだ、劇団の事務が面倒だと言っていたけど、私に出来ることなら、手伝うくらい当然なのかも……

タクシーを降りる段階になると、一気に目覚めたのだろうか、たしかな足取りで、歩きだした。

「2時半か、顔くらい洗えそうだね」いつもの有紀に戻っていた。
つづく

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終着駅479


第479章

「やっぱり、少し変だけど、悪い傾向に変なわけじゃないから、気にしないでおこうよ」有紀が、バルコニーに身を乗り出しながら煙草を吸い、振り向いて小声で話した。

「いつから、あんなに風に、物事を論理的に考えるようになったのかしらね」

「父さんに聞いても、多分わからないね、あの調子じゃ」有紀が吸いかけの煙草をくゆらせて、タバコ“吸う?”と誘惑して来た。

「そうね。でも、父さんも、幾分面食らっていたのだと思うけど……」私は、返事をしながら、“吸わない”と首を横に振った。

「そうね、授乳しながら煙草吸うなんて、悪女だものね。教条的人から言わせたら、あの女は虐待している、とまで言われそうだから……。さあ、シナリオ書き始めるとしようかな」

有紀は、前向きにはなっていない、創作意欲を掻きたてるように、自分の言葉で、檄を飛ばしていた。

「案外、創作意欲って、コントロール出来ないものでしょう?」

「そうだね、コントロールは難しいね。湧き上がる感じだから、考えて考えてってタイプじゃないから……」

「天才肌だね。ところでさ、考えていたんだけど、あのリビングに合うようなソファーとかテーブル、出来たら、サイドボードのようなもの買おうかと思うけど、私の一存で構わない?」

「無論、構わないけど、劇団に、輸入アンティークやっている会社の娘さんがいるんだけど、見本の写真とか持ってこさせようか?」

「アンティークか、考えていなかったけど悪くないかもね」

「ただ、ソファーは日本のもの買う方が利巧だと思う。体格が違うし、修理とか上手く行かないらしいから」

「てことは、サイドボードみたいなもの、まず、買おうか。それで、それに合わせて、色んなものを追加してゆく。何か、ひとつ、基準が欲しいんだよね。無理に全部アンティークにしなくても、そこそこバランスが取れてれば良いだけだし。考えたら、竹村のところにあった家具、幾つか取っておけば良かったかも……」

「私も、それは思ったけど、高坂尚子が触ったのかと思うと、あまりいい気持ちもしないから、提案しなかったんだけどね……」

「言われてみると、それは嫌だね。早速、その人に頼んで、サイドボードって言うか、食器棚みたいなもの、写真とか見られると良いよね」

有紀が、すかさず携帯を耳にあてた。そして、美也と云う女の子に、いま現物のあるサイドボードや食器棚の写真を見せて欲しいと頼んでいた。

親の仕事に協力的な娘さんなのだろう、明日には、写真を持って吉祥寺の家の方に顔を出すと云うことで話がついた。

有紀が話している間に、お義父さんからメールが入っていたので、目を通していた。

“退院、おめでとうございます。まずは、何よりの歓びです。
歓び序でと云うのは顰蹙ものですが、高坂尚子が自己破産しました。
私も知らなかったのですが、その後、保釈の身になった数日後に、中央線で飛び込み自殺をしてしまいました。
呆気に取られて、お姉さんへの連絡が遅れたのですが、そう云うことです。
特別、彼女が自殺したことで、なにか問題が起きるものでもないでしょうから、緊急事態のようにご連絡するのは控えておりましたが、そろそろ、落ちつかれた頃かと思いましたので、メールで一報させて貰っています。
吉祥寺の家も竣工なさった時期かもしれませんね。なにか、お家に合うものでもと女房も言っておりますので、お暇な時にご連絡ください”

「ねえ、有紀。仕事する前にショック与えるかもしれないけど、高坂尚子、死んだってよ」私は、まず、死んだことを伝えた。

「えっ!あの人、自殺したの?」有紀の口から、自殺という簡単な言葉が出た。

「どうして、自殺だって思ったの?」

「だって、あの人を殺す必要がある人なんていないでしょう?」

「でも、病気とか、殺されたってこともあるんじゃないの?」

「私のシナリオから行けば、あの人には行き詰まりでの自殺が、とても似合うと第六感が働いただけだけど……」

「そう云うものか……」

「それにしても、呆気ない幕切れだね。ここで幕にしたら、観客から大ブーイングが出そうだけど、私たちにしてみると、悪いけどスッキリしたよね。あの家の頑丈な土台は不要だったか……」

「まあ、新たな高坂尚子が出現しないとも限らないから、あれで良いのよ」私は何の感慨もなく、高坂尚子の自殺を受けとめた。

有紀は、どこか釈然としないようだったが、仕事だ、と宣言すると、部屋を出ていった。
つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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