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終着駅24-2 快感なのか、苦痛なのか…


 第24章―2


 「動けない」

 「全然?」

 「強く、弱くくらいなら出来そうだけど…」

 「いいわ、試してみて」私は、圭の亀頭が頭をもぐり込ませても痛みのないことを知ると、がぜん好奇心が湧いてきた。

 圭の圧接に強弱が生まれ、痛みのようなものと、内臓に達するような快感が交互に訪れた。

 バギナのオーガズムとは全然違う。快感なのか、苦痛なのか、その区別は曖昧だった。ただ、違う部分で接合が試みられている、奇妙な感じは、バギナの存在を希薄なものにしていた。

 膣のオーガズムで外性器の存在が希薄になり、子宮頚への行為で膣の存在が希薄になる。

 私は、女の身体の欲深さを自覚した。常に、このような行為が繰り返された男と女は、どんな関係と表現すればいいのだろう。

 おそらく、ポルチオ性感とウテルス性感の中間地点で亀頭を感じたようだが、一段と強烈なオーガズムを感じたとは言えなかった。ただ、圭との関係が、ただならぬ関係から、もう一歩進んだような、奇妙な充足感を憶えていた。

 ……これがポルチオと呼ばれる子宮口における快感に繋がるのだろう。でも、話によると、ポルチオやウテルス(子宮)で感じるためには、自然分娩する必要があると云う話だから、私は無資格者ってことなんだろう……

 「圭、普通にセックスの方がイイみたい。チョッと休んで仕切り直ししよう」私の提案に圭は従った。子宮頚から亀頭が抜かれたとき、私は奇妙な快感に襲われた。

 身体の奥から、それこそ潮のような液体が、ピュッと噴き出した感覚があった。

 「あっ!何か噴き出した」

 「やっぱり、噴き出たんだ。なんか、抜いた先の方に液体が掛かったように感じたよ。何だろう?」

 「実際出ていると思うわ。チョッとタオル取って、押さえておいて」私は、圭からタオルを受け取り、股間にあてがった。

 たしかに、愛液だけでは説明のつかない量のオリモノ風の粘液が、タオルに付着していた。

 「圭、射精してないよね」

 「ウン、まだだよ」圭は当然のように答えた。これが子宮頸管粘液と云うものかしら。無論、口には出さなかった。

 その後、再度本格的コースを辿った二人は、満足の吐息を吐き、貪るように寝入った。

 気がついた時、時間は既に午前1時に近かった。私は、このまま泊まると云う圭を残して、部屋を出た。

 二人で、無断外泊は問題が多かった。間違っても、家族に、奇妙な疑問を持たれるわけにはいかなかった。特に、有紀の勘は蔑ろに出来ない。彼女の天性の勘に一目置く私は、くたくたのパジャマのようになった身体をタクシーのシートに横たえた。

 運転手が、ミラー越に、ヤッテきたなこの女だと気づこうと、そんなことは、どうでもよかった。
 つづく

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終着駅24-1 亀頭と子宮頚の圧接を緩めて


 こんばんは!鮎川かりんです。
 一部読者の方から、老眼の目に優しい背景じゃないよとのご指摘を受け、スタンダードなテンプレートに変更しました。
 幾分、妖しい雰囲気が消えましたけど、あしからずご了承ください。
 近々、饗庭龍彦師匠原作・鮎川かりん補筆加筆の作品もアップするので、読んでいただけると嬉しいです。
 それでは、おやすみなさい。
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 第24章-1

 「これ以上はマズイかもね?」圭が、軽く亀頭と子宮頚の圧接を緩めて尋ねてきた。

 「構わないよ、イケるところまで行ってみて。ダメなときは逃げるから」

 「そう、だったら頑張ってみる。あの先に何か違う世界があるような気がして…」

 「いいよ、私も知らないところだから、二人で行ってみよう」

 再び、圭の挑戦がはじまった。

 亀頭の先端が子宮頚の入り口をこじ開けている感じだった。ただ、圭は決して乱暴に動き気はないらしく、ジワジワと迫ってきた。私は思わず、オーガズムを待ち受ける時同様の“息み”で身構えた。

 「姉さん、チョッと力抜いて!」圭が切迫した声で、丁寧な言葉の中に命令が含まれていた。

 私は、抵抗の意志はなかった。フッと吐息を吐いた瞬間だった。私のバギナの底にあった“輪っか”を亀頭が乗り越えた衝撃があった。

 「ウッ!」私は思わず唸った。

 「痛い?」

 「痛くはない、痛くはないけど、何かが突き抜けてる」

 「ウン、太いゴム輪の中を抜けた感じなんだよ」

 「静かに動いてみて」

 「えっ?動いても大丈夫かな?」

 「わかんないよ、ただ、どうなるのか、チョッとだけ動いてみて」

 圭が恐る恐る動こうとした。しかし、その輪のような子宮頚の入り口は強靭で、亀頭を自在に動かす許容範囲はないようだった。

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終着駅23-2 怒張は冷静沈着に…


第23章―2

叫びたくても叫べないほどに、私の肉体はオーガズムの領域を超えて存在していた。

圭の怒張は冷静沈着に、私の様子を観察しながら、攻めと一瞬の一服を、機械のように繰り出していた。切れ切れに口から洩れる声音は、自分でも判るくらい涙声になっていた。

「姉さんゴメン、姉さんゴメン…」圭は呪文のように、その言葉をつぶやいていた。なにが、どのようにゴメンなのか判らなかったが、贖罪のようなものから逃れよとする呪文のように聞こえたが、私は、その意味を考えるほどの余裕はなかった。

バギナへの攻めが一段落し、束の間の休息が与えられたが、水入りのセックスは許されず、一呼吸の次に、膣奥への攻めが始まった。

どんなことになるのか、私にも経験はなかった。バギナへの攻め、或は膣奥への攻め、この二つの攻めを一連の流れの中で行うセックスは初めてだった。

膣内のオーガズムで頂点を何度となく登りつめた私のバギナから、陰唇やクリトリスの存在は取り払われ、無に等しかった。そのような官能の世界に陥ると、次に存在感を増すのは、膣の奥のようだった。

そこには、子宮頚が待ち受けている筈だった。明らかに、圭の亀頭は、その入り口に入り込もうとしていた。

僅かに、重みのある、鈍感な痛みのようなものを感じたが、未知との遭遇への期待の方が勝っていた。

圭の怒張した鋼鉄の陰茎は、その入り口に侵入するだけの長さが残されていた。

もしかすると、本当に子宮頚の入り口をこじ開けて侵入してきそうだった。私は、子宮頸がんの検査の時に、産婦人科医が無慈悲な手つきで、棒状のブラシをねじ入れ一回転させる暴力を危惧したが、圭の亀頭は、ブラシ状の突起もなく、ねじ回る心配もない。さっきまでの鈍痛のようなものも、何度か侵入を試されるうちに消えていた。

両膝を抱えられた私は覚悟した。圭の亀頭が子宮頚に入ってくる。圭は、初体験を味わわせる一気呵成な動きはせずに、ジワジワと子宮頚に迫った。

「あっ、あっ、あっ」私は思わず声を発した。

痛いかどうか判断がつかない状況に、自分を追い込んでおきたかった。声を出し、夢中になることで、圭の亀頭の侵入の恐怖から逃れようとしていた。

なにかが体の中の“堰”のようなものを乗り越えた感じがあったが、痛みはなかった。ただ、重苦しい鈍い感覚は、危険領域をペニスが侵略してきたような威圧を感じた。

「痛い?」圭は強く私の尻の部分を押さえこんで、優しく制圧的に尋ねてきた。

「大丈夫、そのまま続けてみて」私は、怖い感覚を抱えたまま、それでも行為を頓挫させるつもりはなかった。

「姉さん、行くよ。駄目だったら言ってね」圭の両手に力がこもった。

私は、その先を越えると、どのようなことが起きるのか、未知への恐怖と期待が綯交ぜ(ないまぜ)な状況で、お腹に力が入った。

まだ、圭の陰茎には余裕が残されているようだったが、私の息み(いきみ)が子宮頚を強靭なものに変化させているのか、一旦腰を緩めた。
 つづく

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終着駅23-1 それイイっ!抉って抉り取って!


第23章-1

既に出来上がっている女体に、愛撫は余計なものだった。相手の男は、徹底して、その女陰に攻め入ればいいだけだった。圭に、それを伝える必要はなかった。

充分に濡れたバギナを、私はもう隠そうとしなかった。弟のペニスに濡れたバギナを知られることを厭う(いとう)ていては、気が入らなった。もう、どのように淫乱な女だと思われても構わない、と腹を決めた。

次第に、突入時には緩めな感じだった結合部に密着感が生まれてきた。圭は休むことなく、ピストン運動を続けた。

大きな動きで抜き差しする圭のピストン運動には、独特のリズムがあった。天性のものなのだろう、抜いた後で1秒に満たない“間”があり、さも息づきでもしているような“間”が、瞬間的に、私に飢餓感を憶えさせると云う、独特の動きだった。

上手く表現しきれないのだが、1秒に満たない間に、樫の棒の先の“隆”した存在の亀頭が抜き去られ、挿し込まれると云う行為が、私の官能を猛烈に湧き立たせた。

「ああ、もっと強く、もっと強く!」私は思わず叫んでいた。既に樫のように固くなっている陰茎が鋼鉄の棒状に変身して、私のバギナを出入りしていた。

僅かに、圭が挿入角度を変えたらしく、膣壁の左側を抉るような出し入れに変わった。

「圭!それイイっ!抉って抉り取って!」

私は、我を忘れて、圭の腕に爪を立てた。今度は、大きな抜き差しの動きは封印され、抉りと云う行為にシーンは変わった。


左側の膣壁への刺激が麻痺しはじめたと思った瞬間に、右側の膣壁に向かって、鋼鉄の棒が激しく動いた。

しかし、その鋼鉄の棒の先端にある、大き目な亀頭と云う緩衝領域が、痛みと云うものを拭い去っていた。

何という芸術的肉体なのだろう、私は後々、そのように思うのだが、初めて経験する、膣壁を抉る怒張の攻めに、ただ夢中でしがみつくだけだった。
つづく

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終着駅22 オーガズムが完全に抜けきらない股間


第22章

 シャワーを浴びながら、まだオーガズムが完全に抜けきらない股間をボディーソープで丁寧に洗った。

 …そういえば、アイツ、また射精していないわ。なんて男なの、訓練の上と云うのは変だわ、それ程経験もしていない癖に…

 …生まれつきなのだろうか?それとも、隠れサディズムなのかしら?いや、サディストだから、遅漏癖があるなんてこともないはずだし…

 そんなことを考えながら、洗い流すたびに、腰を引いてしまうようなオーガズムの小さな波が何度となく押し寄せ、私を翻弄した。

 正直、これ程のオーガズムを感じたセックスは経験がなかった。何故なのだろう?圭とのセックスがこんなにイイのは?理屈なんか考えなくても良いけど、やはり、考えてしまう。近親相姦と云う状況が、精神的に高揚感を持つために起きるのだろうか?

 他人の口から聞かされたら、“エッ、まさか!”と叫んでしまいそうな非倫理的な行動なのに、自分が超えてしまった感覚では、“別に”と云う感覚程度で、取り立てて罪の意識に眠れぬ夜があるわけでもなかった。

 バスタブに半身を沈め、目を閉じると、心地いい睡魔が押し寄せた。流石に、深く寝ることはなかったが、何度もウトウトする、この心地よさは、30年の人生の中でも、味わったことのない、奇妙な安心感をともなっていた。

 案外、この安堵感一杯の性的生活は、私の退屈だった人生に花を添えてくれるのかも?と一人笑みを浮かべ、乳房や両脚の状況を眺めていた。

 「姉さん、ステーキが来たよ。早めに出てきてよ」ガラス越しに圭の声が聞こえた。

 思った以上にボリュームたっぷりなステーキに舌鼓を打った二人は、チョッと休憩タイムと、どちらともなく了解するように、どちらが先か判らない間合いで眠りについていた。

 誰かの声で私は目覚めた。誰かではなく、圭の声なのだが、洗面所付近で、声を殺して電話をしているようだ。盗み聞きする積りはないけど、結局圭の声は聞こえてくる。美絵さんとの電話のようだった。

 『今夜は夜通しになりそうだよ。ウン、わかってるよ、明日の夜、君の家で食事会って話だろう。大丈夫、忘れてないよ。二日酔いかもしれないけどさ』その後、圭は美絵さんの話を聞いているらしく、ウンウンを連発していた。

 『そろそろ、戻らないと部長がウルサイからさ。ウンウン、愛してるよ、じゃあね』やれやれ、私は圭が愛しているまで言っている婚約者との電話を聞かされる羽目になったのだが、特に文句の言える立場ではないのも承知していた。

 そして、圭を愛している度合いは、私と美絵さんのどちらが強いのかなど、どうにもならない比較に頭が動く自分のバカバカしさに、呆れながら気の抜けたコーラを飲んだ。

 「あぁ起こしちゃった、ゴメン。美絵からの電話だったんだよ。連絡しないと、アイツ大騒ぎするからね」

 「おやまぁ、モテる人は違うわね」私は、冗談交じりにからかってやった。

 「モテてるのとは違うよ。美絵ってさ、世間体をひどく気にする女だから、かたちにうるさいんだよね。電話連絡さえ、チャンとすれば、俺は品行方正にしているって思える女なんだよ、今さら言っても仕方ないけど、母さんにそっくりだよ」

 「だから、自然にアンタも惹かれたのよ。かたちを重んじる人は、つき合うの楽よ。何を望んでいるのか、だいたい分かるんだから。こちらが、かたちと云うものの情報さえ持っていればね」

 「なるほど、そういう考えもあるね」

 「大いにあるわよ。仮に、圭に女が出来たとしても、奥さんの立場を尊重する態度を捨てない限り、そういう人とは修復可能なのよ」

 「そう云うことか~、姉さんって、何でも知っているよね。どうして、同じ姉妹でも、有紀ねえさんとあんなに違うのかな」

 「アンタ、そんなことまで気にしているの?」

 「そうだね、俺って、一番下で、一番弱い立場にいたから、常に観察の日々。観察を怠ると、いつもトンデモナイ目に遭わされていたからさ」

 「へぇ、そうなんだ。それは、あまり気にしていなかったな~。なるほどね、弱い立場ほど観察の目は注意深くなるわけね。でも、それって、一定のIQがある場合でしょう。有紀見ていると、そんな気もする」

 「そういう面もあるかな?有紀ねえさんって、めちゃ成績悪かったよね。俺、不思議で仕方なかったな。涼ねえさんは優等生で、大学まで卒業一直線。有紀ねえさんは、高校も半分でやめてるし、変な劇団に入ってウロチョロするし、今だって、フリーターみたいな仕事、したりしなかったり、なんでだって思ってたよ。否、今でも考えたら奇妙だよね」

 「圭と私が勉強できて、有紀が出来なかったのは、有紀が子供の頃から、色んなことに興味を持つ子だったからよ。興味が沢山あるから、勉強に使える時間がなかっただけじゃない。きっと、私たちの知らないこと、沢山知っている筈。頭の質は同じでも、向かった方向が全方位だったのよ。どこかで、何時か花が咲くかもしれないよ」

 「いつか、花ね。遅れてきた新人女優とかで、大ブレークするかもしれないね」

 「そうそう、有紀の演劇、三回くらい観たけど、悪くはなかったわ。意外に、大ブレークはなくても、渋い貴重な脇役になるかもしれないからね」

 「そうなんだ。姉さん、3回も舞台観に行ってやってるんだ。俺、一度もないや」

 「だったら、有紀に、気が向いたから、今度公演でもある時知らせてって言ってごらんよ。有紀のアンタを見る眼が、コロッと変わるから」

 「コロッと変わられるのも気味悪いけど、一度は観た方がよさそうだね」

 「そうよ、お姉さんなんだから、弟なら一度は観てあげないと」

 「わかった。ところでさ、さっきの話の続きだけど、美絵と結婚したあとの話だけど、どうなっちゃうのかな?」圭が蒸返してきた。

 正直、私は迷っていた。肉体は永遠に圭のペニスによるセックスを求めていた。しかし、それが不都合な問題を引き起こすリスクがあることも、理解していた。

 「簡単に返事の出来る問題じゃないでしょう?アンタ、よくよく考えた上で言ってるの?」

 「うん、感情的に言っているかもしれない。ただ、こういう事ってさ、考えて決めることなのかな?」珍しく、圭が正論を口にした。

 「たしかに、考える問題じゃなさそうだけど、何かアクシデントが起こった場合、どうなるのか、考えないのも、おかしいでしょう。少なくとも、二人とも高校生じゃないんだからね」私は、そのようなことを口にしながら、本心では、関係の継続を望んでいると白状している、と思った。

 「関係がバレルとか、そういう事態のことだよね?」

 「そういう事よ。言訳なんて通用する話じゃないからね」

 「仮に、そうなったら言訳はなさそうだよね。その上、姉さんが一番責められるかもしれない。そうだよね、たしかに手がない」

 「でしょう。欲望とかで、魔が差したなんてことも言える状況じゃないのよ。すべてを承知した上で起こしてる確信的不倫になるのよ」

 「俺たちの関係って不倫かな?」

 「まあ、正確には不倫じゃないけど、他の言い方ないでしょう?」

 「そうだね、表現する言葉のない関係か。言葉にないような現実ってあるんだね」

 「なに感心してるのよ、バッカじゃないの」私は呆れたように笑った。圭も吸い込まれるように笑い、その勢いで、私を組み敷いた。

 初めて圭の唇が私の唇を塞いだ。息つきをさせない激しい口づけが、私の休息中の女を蘇生させていった。
 つづく

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終着駅21章 何度となく繰り返すオーガズム


第21章

 ドアを三回ノックすると、ドアが静かに開き、私は身を滑らせた。部屋に煙草の煙が充満していた。だいぶ前から、圭が部屋にいた痕跡がありありだった。

 「どうしたの、何時から居たの?」

 「わが社には、半日休暇ってのがあってさ、3時くらいからチェックインしてたんだよ」圭は悪びれずに答えた。たしかに、悪事を働いているわけではないので、悪びれる理由はないのだろう。

 ただ、私は、以前つき合っていた遊び人が、ホテルの部屋を借りたときは、チェックインからチックアウトまでに三人の女を入れ替えたという自慢話を思い出しただけのことだった。

 「そう、随分ノンビリ出来たでしょう?」

 「まあ、程々にっていうか、ほとんど寝ていたから、ノンビリしたのかしなかったのか、あまり記憶もないよ」圭は屈託なく笑った。

 「そう、寝てたんだ。私、結構お腹空いてるけど、アンタはどう?」

 「あぁルームサービスで7時半に持ってくるように言っておいたから、三十分後くらいに姉さんのお好み料理が届くよ」

 「案外気が利くのね。そんなアンタ今まで見たことないけど、そういう人だったの?」私は、異なる側面の弟をしげしげと見つめたが、圭は目を逸らして、煙草に手を伸ばした。

 「吸い過ぎよ。部屋が煙で悶々しているわよ。フロントに言って空気清浄機貸して貰ったら?」
 
 「あるかな?そこまでサービス行き届いていたら、このホテルは花丸だけどさ」

 「取りあえず、電話してみなよ。私はゆっくり半身浴しているから、準備万端で、声かけてね」

 それから1時間後、圭は熟練者のように、私を攻め続けた。教えることなど、もう何もない圭の変わりようはなに?私はその疑念を持ちながらも、何度となく繰り返すオーガズムに身をくねらせた。

 「圭、やすませて」私は堪りかねて休息を口にした。

 「ああゴメン、夢中になり過ぎた。でも、やっぱり姉さんは違うよ。美絵と全然違うんだよ」

 「比較はやめなさいって言ったでしょう」私はミネラルウォーターを直接飲みながら、睨みつけた。

 「でも、あまりに違い過ぎるからさ、口にしないわけにはいかないくらい違ってるから…」

 「だとしても、男が、それを口にしちゃ駄目。褒めるのは構わないけど、関係者間の比較は駄目よ」

 「でもなあ、なにかそれなりに理由があるのかと思ってさ」

 「その質問に、女の私が説明するのは、お門違いかも。だって、私は女だから、他の女の人の中に入ることは永遠にないわけでしょう」

 「そうかあ、そう言われればそうだね。男じゃないと解明できない問題か」

 「そう云うことでしょう。それに、圭はまだまだ熟練者ってわけでもないし」

 「たしかに、初めて知ってからの頻度は多いけど、熟練はしてないよね」

 「まあ、才能があるのは認めるよ。あらゆる面で才能はあるわよ。でも、その気になって、アチコチ調子に乗ると、アンタは女で失敗するよ。その辺は、姉として強く注意しておくわよ」

 「判った。マジに気をつけるけど、俺さ、姉さんさえいてくれたら、それ以上を探そうとは思わないような気がするんだ。姉さんが結婚した後でも、こう云う関係続けたいなって思うんだよ」

 「圭、アンタ、美絵さんと結婚した後も、私のレッスン受け続ける積りなの。呆れた」私は幾分強い口で驚いてみせた。

 「あっいや、単なる俺の願望だけど。そういうのは、やっぱり拙いんだよね」

 「決まりきったこと聞かないの」

 「そうかなあ、絶対に発覚させない決心でつき合い続けることは可能だと思うんだけど…」

 「あのね、可能だから、して良いって理屈はないのよ。今の関係は、ビジネスと家族愛から出ているのよ」私は、そんな言葉を口にしながら、完全な嘘だと思った。もしかすると、圭は、下出に出ているけど、私の本心を知っているのかも、と僅かに不安を感じた。

 「じゃあ、美絵と結婚したら、もうこう云う関係はゼロになるわけ?」

 「だって、圭が初めての体験で、二人で苦戦しているから、助けてくれって話から始まったことでしょう。その問題がクリアしたのだから、私の役目は、半ば終わっている筈よ。ただ、あまりにも高額なコンサルタント料金を貰ってしまったから、アフターケアの一環で、いま会っているつもりだけど…」

 「姉さんは、本気で言ってない、本当はどうなのよ?」圭が珍しく強い口調で私に迫った。

 「本当もなにもないでしょう。そういう事で始まっただから、その関係を、違うものに置き換えるって、まったく違う次元の話だと思うわ」私は、
はじまりの関係を、ずるずる変質させるのはまずいと思った。

「このまま続けるのは無理ってことだけど、どうすれば続けられるのかな?」

「そんなことって、事前に決められる問題じゃないと思うけど」

「そんなに簡単なことじゃないってことか~」

「子供の固い約束とは違うのよ」

「たしかに、そうだよね。俺って、先々が決まっていないと不安になるタイプだから、馬鹿な質問しちゃうんだよな」圭は、素直に私の意見に従った。ただ、これが彼の独特の処世術なのは、先刻承知なのだけど、私は敢えて気づかないふりをした。

おそらく、その件を突っ込めば、最終的に、圭の思惑を追認してしまう自分の身体があるようだった。圭が生まれつきのドンファンなのか、そのへんは分からなかったが、人の心を読み取る感性が優れていることは、認めるしかなかった。

甘え上手で、人の気持ちを察する資質は、訓練で身につくものとは思えなかった。やはり、才能なのだろう。私は、その圭のすべてを認めようと思っていたが、安売りは控えたい意地もあった。

それにしても、圭の望みは、半ば、私の望みでもあるわけで、無言の約束が交わされた瞬間のような空気が流れていた。

こんな異常な関係が発覚する危険はないのだろうか。たしか社会学者の論文で、日本の家族制度の中では、近親相関事件は氷山の一角で、社会の中に埋もれている。そんなに内容を思い出しながら、案外ありきたりの出来事なのかもしれないと、自分を慰めた。
つづく

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終着駅20-2 セックス頻度と愛情は


 第20章-2

 「ゴメン、つい上手く出来たのでいい気になり過ぎたかもしれない…」

 「なにも、謝る必要はないけど、初めにセックスサイクルの癖をつけると、後々面倒になるらしいわよ」私は、誰かから聞いた話のように語った。

 「それって、美絵に飽きるってこと?それで、間が空くようになると、浮気していると疑われるとか?」

 「そうね、直接浮気の疑惑にまではいかなくても、自分への興味が薄れてきた、と感じるでしょうね」

 「セックス頻度と愛情は比例するって、これって法則なのかな?」

 「まさか、そんなものないわよ。女の側の受けとめ方、感情論よ」

 「でも、結果は同じだよね」

 「そうなると思う。一緒に暮らし出したら、圭だったら毎晩やりそうだものね」

 「まさか、毎晩はないでしょう。でも、たしかに、今よりヤル機会はぐんと増えるね」

 「そこに山がある、そういう条件反射みたいなことも起こるわよ」

 「でも最近は、新婚でも、頻繁にセックスしない夫婦が多いって言うでしょう」

 「だからって、圭が、その統計上のヤラナイ夫婦になるとは限らないわ。特に、オーガズムを感じる以前は、女の側の疲労は少ないから、夫の求めに、幾らでも応じられるものよ」

 「そうかあ、考えなしに自然の成り行きにしておくと、姉さんが言う様になるような気もしてきた」

 「でしょう。だから、初めの内からセーブする癖を自分に覚えさせることね。愛情が減ってきたかもなんて奥さんに感じさせるのは、賢明じゃないと思うけど…」私の言葉は、個人的感情抜きではなかった。言外に、ヤリタクなったら、私ともセックスすればいいのよと云う気持ちが隠れているのは間違いなかった。

 その晩は、そこで圭との会話は切り上げた。それ以上語ることで、もの欲しそうになる自分が露わになるのは嫌だった。

 その後、1週間が経過し、木曜日の昼間に、圭からメールが入った。

 『その後、姉さんのシナリオ通りの話。美絵は納得してくれました。俺が何とかする責任があるのだから、恥を忍んで教わってきた。誤解されるくらい、嬉しくなって頑張った点、誤解を招いたようでゴメンと誤っておきました。すべて、問題なく解決です。ありがとうございます。ところで、未だ教わりたいことが沢山あるのですが、カウンセリングお願いできますか。明日の金曜の夜、美絵は会社の飲み会があるので、僕の方は好都合です。よろしくお願いします』

 何という図々しい弟かと、読みながら思ったが、預金通帳に振り込まれた圭の100万円はキラキラ輝いていた。カウンセラーの義務という考えが、隠れ蓑なのは判っていたが、その報酬が私の心を軽くした。

 まさか圭が100万円で、私を一生セックス・マシーンとして飼い殺すわけでもないだろうから、偶発的報酬の存在だった。

 『だいたい、全部教えた筈よ。それに、美絵さんが驚くまで行っているのだから、圭の知識は充分だと思うけど、1日のコンサルタント料金としては高額すぎて、気も引けるから、もう暫くカウンセリングする義務はありそうね。万障繰り合わせますので、時間場所等ご連絡ください』少し間をおいてから圭にメールを入れた。

 虚偽のシナリオは美絵さんに通用したようだ。騙されていたい精神状態の女なのだから、概ね理解できれば、こと細かに疑うより、信じる方が楽だと云う恋愛の心模様を見ているようだった。

 翌日、映子さんの“お茶しない”と云う誘いを断り、私は圭がチェックインしているシティーホテルに急いだ。

 二人ともに、馴染のない恵比寿のホテルは、想像以上に豪華なロビーがあった。まさか映子が私の後をつけて居るとは思いもよらなかった。映子と私の間に利害関係は存在していないのだから、当然だった。そんなことを想像もしていない私は、圭の待つ17階に向かってエレベーターに乗った。

 この映子の行動が、私が様々な疑惑の混乱に拍車をかけるのだが、そのことは、追々話すことにしようと思う。
つづく 

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終着駅20-1

 メッセージ
 こんばんは!鮎川かりんです。毎日更新しているので、少し寝不足です。でも、応援も戴き、徐々にですけどランキングも上がり気味ですので、やる気が出てきます。ありがとうございます。時々デスクこっくりもありますけど、まだバレてはいません。
 近々、饗庭師匠原作、私補筆加筆の「結衣との関係」の連載も始めようかと思っています。終着駅よりも、官能シーンが多く含まれると思いますので、愉しみにしてくださいね。
 こんなにブログの更新に夢中になっていると、自分がエッチする暇がなくなってしまうのが悩みです。でも、色々工夫して、自分で自分を愛してあげているので、欲求不満にはなりません。いずれ、オナニー小説も書いてみたいな、と思っています。
ではまた、時々お便りしますね。 やすみなさい…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 第20章-1

  「そうか、そういう意味だったのか。母さんが、美絵から電話があったけど、元気なさそうだった。アンタたち、上手く行っているのって言ってたのはそのことだったのか」

  「そうね、母さんのことだから、下半身の話はしたくなかったのでしょう」

  「美絵でも気づくくらいだから、俺、上手くやり過ぎてしまったんだ」

  「なによ、自慢することじゃないわよ。現に、そのことで、小さなトラブルが起きているのよ」

  圭に妙な隠し立てして、話が混乱するよりは、美絵さんとの会話を隠さずに話してしまった方が得策だと思った。その方が、私のフィクションを理解する良い条件が圭に備わると考えた。

  「つまり、悪事の先輩Kと云う架空の人物に相談したら、架空のセックスの知識が豊富なP子を紹介され、10万円のカウンセリング代で、初めてのセックスから、中級程度まで教わったってことにすれば良いってことだね」
 
 「まあ、そんな感じね。ただ、一回のカウンセリングで中級までって、無理なんじゃないの。あくまで、初心者レベルを教わったことにしたら。そこから先は、“自分なりに自然に行動したら、ああなった”って方が自然な感じだけど」

 「自然に試してみたって言うには、少し行きすぎた感じがあるんだよ」圭が口ごもった。

 「アンタ、美絵さんが初体験をした日に、そんなに色々試しちゃったわけ」私は幾分呆れた口調で尋ねた。

 「いや、三日にわけて」

 「アンタたち、私に教わったあと、10日くらいしか経たないのに、何回やったのよ」私は呆れた口調を保つのに必死だった。

 明らかに、圭の、その精力的行動に苛立ち、最終的には美絵さんへの怒りまで感じていた。たぶん、嫉妬のようなものなのだろうけど、嫉妬と云うには多少距離もあった。
つづく

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終着駅19 セックスペットとして弟を


第19章

 私はボンゴレを頼んだ。美絵さんは、つき合いが良いのだろう、食欲がなさそうなのに、シーザーサラダを頼んだ。

 「それでね、気になることは、理屈で意味がない事でも、気持ちは違うわよね。私が、圭から引き出せる情報は、美絵さん以外につき合っている人が居るかいないかくらいのものよ」

 「確認して貰えますか?」美絵は縋るような目で私を見つめた。

 「任しておきなさい、とまでは言えないわ。圭が、どこまで話すか判らないし、絶対に、それが事実かどうかも保証は出来ないけどね」私は、原因を知っていながら、美絵さんの相談に応じている自分は、たぶん悪女なのだろうと思ったが、おくびにも出さなかった。

 「お姉さんとお話している内に、何だか、細かいこと気にしすぎているのかなって思うんですよ。私が、そのこと騒いでいるのが分かったら、圭が怒りだすかもしれないし……」絵美のトーンが下がってきた。疑うに充分な経緯があっても、見て見ぬ振りをする方が、悧巧なのじゃないかと気づいたようだ。

 「大丈夫よ。絵美さんの姿も形も隠して、上手に聞いてみるから。その点は心配ないわ。何らかの状況が分かったら、また会いましょう」

 「お願いします。なんかご面倒なことお願いしてしまって」

 「いいのよ。家族なんだから、ある程度心配しても罰は当たらないわ。わが家のみんなが、もう美絵さんは圭のお嫁さんだと思い込んでいるから、今更リセットは混乱の元だしね」

 「本当にお姉さんのご厚意に甘えさせて貰いますけど、無理なお願いかもとも思っています」

 「難しい探索だけど、私も気になるからさりげなく当たるから、あまり気にしないで」どこにボンゴレが入ったのかわからない気分で、美絵さんと別れた。女の勘というより、今回の件は圭の不注意だと思った。

 私まで、悪女として、無理やり出演させられていると思った。同時に、元をただせば、私のちょっとした好奇心から生まれた共演なのだから、自業自得なこともたしかだった。この美絵を巻き込む疑惑騒動は、何らかの策を弄して、わだかまりを消しておく方が最善の方法だ。この程度なら、嘘も方便の範囲で片づけられる。

 私は家路に向かいながら、その方便を探していた。美絵さんと私が偶然会ったので、お茶を飲んだ、と云う設定に無理はなかった。そこで、私の女の勘が働いたという前提で話の緒にはつけると思った。問題は、その私の勘による疑念を晴らす方法はどう云うものかだった。

 私の代役を仕立てるのが、最も楽な方法だった。本当に、実践を伴うカウンセラーが存在し、カウンセリングしてくれる裏稼業が現実に存在することで、架空の作り話はバレずに作り上げることが出来る。

 その方法なら、私とのコンサルされた状況を、その架空の裏稼業のカウンセラーにご教授されたと告白すれば良いことになる。美絵さんと云う女性が、いまだに、圭に首ったけなのだから、それ以上の疑念を持つ可能性は殆どない。

 騙されているとしても、騙されるだけの根拠があれば、騙される正当性のようなものもあるわけで、美絵は快く、その作り話を信じようと努力する筈なのだ。

 そうなると、大切なことは、裏サイトに、そういう裏稼業がネット上に存在することが重要だった。

 私は家に戻って、ググり出した。圭はまだ帰宅していなかった。仮に帰宅していても、シナリオが完成しない段階で、話を持ち出すのは得策ではなかった。

セックスカウンセラー関連など項目を様々なワードで検索してみたが、殆どがスピリチュアルなもので、カルトに近いものが多かった。

 …しかし、よくもまあ、こんな馬鹿げたスピリチュアルなカウンセラーが目白押しなのだろう?現代人が病んでいるのか、ネット上だから起きている掲示板的特長なの?…私はブツブツと独り言を言いながら、それでもググり続けた。

 結局、現実的あったのは、“アダム**”と云うサイトだけだったが、スローセックスと銘打たれているので、根性なしか、勃起不全な男を救うサイトだと理解した。

 カウンセリングの殆どが“セックスレス”に関するもので、私の望んでいる類とはかけ離れていた。それ以外は、すべてが援助交際を偽装したサイトの羅列、そしてエログロナンセンス世界だけだった。

 なるほど、ここまで見つからないと云うことは、裏稼業のサイトを美絵さんが確認する可能性はゼロなのだから、現実にそんなサイトがなくても、あったことにして、話を架空することは問題ないと思った。何という無駄骨だったのかと腹を立てながら、架空シナリオの創作にとりかかった。

 圭が、悪いことの教師のようにしていた中学の先輩Kを設定した。そして、そのK先輩の紹介で、一時ヘルス嬢として名を馳せたP子を紹介され、セックスのノウハウを伝授して貰ったという話をでっち上げた。

 K先輩は闇の世界で生きている人なので、素人との交際は原則忌避しているけど、可愛がっていた後輩の圭と云うことで、闇のルートを使ってくれたことにした。

 そうしておけば、美絵さんがK先輩に会いたくても、P子に会いたくても、それは適わないと逃げることが出来る。騙されたいと云う感情を持っている美絵さんが、そんなの嘘だと抗議の声を出す可能性はない、そのように私は推測した。

 そのP子から、懇切丁寧なセックスカウンセリングを受けた、という言い訳で充分だろうと思った。それ以上の追及は、美絵さん自体が自縄自縛に陥るわけで、そのような愚かな選択をする女だとは思えなかった。これで、大枠は出来た。あとは、何をどのように教わったかだが、それを聞く勇気が美絵さんにあるとは思えなかった。

 しかし、万が一と云うこともあるので、P子さんが、どのような言葉を通じて、圭に自信をつけさせたのか、その辺の大枠は決めておいた方が無難かもしれない。場合によっては、ある程度、具体的アドバイスの言葉を、美絵さんにも共有して貰いたいと、共犯のような気分にさせておくのも手だった。

 考えれば考えるほど、涼は自分の悪魔の存在を意識せざるを得なかった。そして、このような面倒見の良さが、自分のセックスペットとして、圭を温存するために行われているのだと認識できるだけに、その悪徳ぶりに、我ながら感心した。
 つづく

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終着駅18-2


第18章―2

 夜の九時半、二人はボックス席で対峙していた。対峙と云うのは大袈裟で、美絵さんが一人で緊張しているように傍からは見えたに違いない。しかし、私の立場は、明らかに美絵さんに対して敵対的立場にいるのだから、心理的には、私の方が余程緊張していた。

 美絵さんに、具体的に何があったのと聞いても、整然と語れる筈はないと思った私は、想像だけどと断りながら、なぜ、美絵さんの女の勘が働いたのか、先輩の女としての勘について、経験を語った。

 「そうなんです。殆ど、そういう感じです。ですから、圭に直接聞くのも難しいので、ついつい、間違ってお母様に、あんなことを言ってしまいました」

 「そういうこと。たしかに、うちの母に言っても、意味はなかったわね。でも、貴女の気持ちも分からないではないわよ。私たち家族の中で、一番話をしているのは母なんだから、つい聞きたくなるわ。でも、うちの母は、そう云うことに疎いのよ。私がベテランってこともないけど、母よりはマシってことだけどね」私は笑みを絶やさずに、話した。たぶん、巧いこと彼女の心を緩めていると思った。

 「あの、自信のなかった人が、ある日突然、自信満々に行動し始めるって、驚きますよ」美絵さんの、話は、もろに核心に触れてきた。正直、かなり動揺する私だったが、タバコを吸わせてねと、表情を隠した。たぶん、動揺は気づかれずに済んだと思う。

 「それって、聞きにくいけど、あの時の態度?」私は、美絵さんに煙が向かわないように、静かに吐き出した。

 「はい、そうです」

「自信がなかった圭が、突如自信満々になって、美絵さんは困るわけ?」

「それは、ないです。そのことは嬉しいし、文句なんてありません。問題は、どうして、そんなに人が変わったのか、そこが知りたくて・・・・・・」

「なるほどね。気持ちは充分わかるけど、それを知ってどうかなるのかしら?」

「それは、それは・・・・・・」

「そうよね。ただ、なんとなく気になって仕方がないってことね」

「でも、気になって、頭が一杯で、どうしようもないない状態なんです。こういう場合に、お姉さんなら、どうします?」

「そうね、難しい質問ね。仮に、圭が、何かを経験したために、そうなったとして、告白されたほうが、気分は良いのかしら?」

「それは良くないと思います。多分、ショックで気絶しちゃかもしれません」美絵が笑った。心がほどけかけている、と私は感じた。

「でしょう。仮によ、上手になろうとしたのも、美絵さんとの関係をより良いものにしたかったンじゃないのかな」

「それだと、疑っている私が悪い女になりますよね」

「悪い女ってことはないけど、気になる事をハッキリさせることで、余計気まずくなることもあるような気がするけど」

「曖昧にしておく方が良いってことですね」

「その辺は難しいけど、何もかも理解しあっているって、私なんかは、嘘くさいと思うし、作り話がたくさん入っているようで、落ち着かないかもよ」

「なるほど、そう言われると、そんな気もしてきます。私の気が小さい所為かもしれませんね」

「気が小さいとか、大きいとかじゃなくてね、美絵さんは、圭のこと見つめ過ぎているのかもしれないって思うのよ」

「それって良くないことですか?」

「良くないかって聞かれたら、悪いとは言えないけど、微妙だと思うのよね。例が悪いけど、子犬が一心にご主人のすべてを見ようとしているいじらしさでしょう。それって、見られている方は疲れるかも?」

「ストーカーみたいに思われる?」

「まさか、そこまではいかないけど、きっと疲れるんじゃないのかな。お互いに」

「夫婦って、私には経験ないけど、どこかズボラな部分がないと駄目になるとか、そういう部分もあるような気がするけど。はっきりは、わからないけど……」

美絵が無口になった。死に物狂いで、何かを考えているようだったが、その心の中は見えなかった。

「何か、少しお腹が空いたけど、美絵さんも頼む?」私はブレークタイムが必要だと思った。
つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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