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終着駅439


第439章

金曜日、私は“竹村ゆき”を看護師から受け取った。

ベビーカーはまだ購入していないので、抱っこ紐の扱い方を看護師から教授されて、新米ママの胸の中で、“竹村ゆき”は取りあえず、健やかな寝息を立てていた。

田沢君のお母さんが言うには、新生児の赤ちゃんが泣くときは、お腹が空いたか、オムツが汚れているかのどちらかだと思えば間違いがない。仮に、それでも泣きやまない場合は、体温やその他、赤ちゃんの身体全体の状況をたしかめ、何時でも構わないから、私に電話して、と心強いアドバイスを貰っていた。

タクシーの中で泣かれては、と思いながらヒヤヒヤした心地で乗っていたが、“ゆき”は私を悩ますことはなかった。

足早に、エレベーターに乗り込み、私は“ゆき”と一緒に初めて、神楽坂の部屋に落ち着いた。

赤ちゃん七つ道具が、私に安心感を与えた。いつ、泣き出すのだろうかと身構えていたが、“ゆき”は一向にその気はないらしく、規則正しい寝息を立てていた。

私は、余計なことをして起こすのは拙いと思いながらも、ついつい、その頬を指で突いてみた。

驚くほど弾力のある反発が返ってきた。そして、その肌は、薄いピンク色に満たされ、滑らかなことは驚がく的だった。

そういえば私は、朝、トースト一枚食べただけで、何も口にしていなかった。特に空腹は覚えなかったが、母乳生産機としては、栄養補給の責務があった。

かといって、いつものようにファミレスに気軽に出かける、と云う気にもならなかった。乳飲み子を抱えると云うことの意味が、僅かに理解できた。

こんな不自由なことを、田沢くんのお母さんに半年近く押しつけてしまう心苦しさが、更に深まった。そして、治療が終わったとには、この私が、一身に、その不自由の中に埋没してしまうのだった。

思ってみると、トンデモナイ環境の変化だ。このような、環境の変化に、多くの母親たちが経験させられているのかと思うと、子供が少なくなるのは、必ずしも経済的理由とか、保育所が足りないと云う理由ばかりが原因ではないように思えた。

無論、経済的理由も要因の一つだろうが、文明の発達が根底にあるのだと理解していた。子供を作る以前の、結婚への必然性が、社会的に求められていない、現実を無視した議論は、どこか、議論のための課題のようにも思えた。

私は、多少冷めても食べることに問題のない、中華をケータリングした。有紀が帰ってくるかどうか判らなかったが、取りあえず三人分の料理を注文した。

ひさびさ、キッチンに立って、野菜サラダをつくり、背中で“ゆき”に耳を澄ませた。

“ゆき”を私が受け取って、どのくらいの時間が経過しているのだろう。

私は、そこまで考えて、“変だ”と思った。

たしか、新生児の授乳スパンは1~2時間おきのはずなのに……。仮に、受け取る寸前に授乳したとして、もう、二時間近くが経っていた。

私は、野菜サラダをそのままに、ラブチェアーに戻り、乳房を剥きだしにして、“ゆき”の唇に乳首をあてがった。

寝息を立てていた筈の“ゆき”の目覚めはよかった。

もしかすると、半分寝ながら乳首を吸っているのかもしれないが、母乳は順調に“ゆき”によって吸われていた。

呑んでいる母乳の半分ほどが、“ゆき”の唇から漏れて流れ出ていたが、特に気にせずに、吸う力が弱まるまで吸わせておいた。吸いつく力は、思った以上に強くなかった。たしか、新生児の吸飲力は弱いので、こまめに授乳と云う言葉を思い出していた。

七つ道具の中にヨダレ拭きのようなものはなかったので、ティッシュで涎をふき取り、オムツ交換に取り掛かった。

うっすらと緑がかった便だったが、健全かどうかの見分けはつかなかった。

ただ、お腹が空いていた筈なのに、オムツ交換が必要だったのに、“ゆき”が泣かないことに、私は不安を感じた。自己表現が弱いと、一人前の人間に対する評価まで加えていた。

しかし、この程度の不安で、田沢君のお母さんに電話するのも馬鹿げていた。この程度は、ネットで検索すれば判ることだし、心配の類ではないのだろう。

環境の変化に、“ゆき”は戸惑っているのかもしれなかった。誰だって、初めてのところに来たら、安全な所かどうか、理解するまで、大人しくしているのは、大人も同じことだろう。私は、意味不明な考えを巡らせて、自分を納得させた。
つづく

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終着駅438


第438章

部屋に戻って、田沢君のお母さんが用意してくれた、育児初心者の必須用品を、今さらのように手に取って確認した。

母親になったと云う実感を、いまだに自分のものにしていないと呆れながらも、こういうものが、自分の日常に入ってきた違和感を、どのように受け入れて良いのか、戸惑っていた。

強い自分の意識が存在しなかった結婚。深く考えることなく、竹村を追い立てて強要した妊娠。そして、8カ月で、無理やり出産させられた“竹村ゆき”。

しかし、強く意識していたか、確固たる信念があったかどうかに関わらず、事実は、私の曖昧な要望通りに推移して、今現在がある。

自分の気まぐれな我が儘の連続が、様々なシーンで、それに真剣に対応してくれるパートナーが誠実に、その気まぐれに応じてくれたお陰で、すべてが実現してしまった。

そして、その気紛れの産物として、私の人生の前に“竹村ゆき”がいる。私は、どこまで、その自分の気まぐれの結果に責任を持たなければならないのか、幾分、迷っていた。

誰にも、聞かれたくない、心の悩ましさだった。死んでしまった竹村だが、天国で再会しても、この本心は伝えられそうになかった。

一心同体で、一連の問題に関与してくれた妹の有紀にも告白できそうもなかった。必死で、8カ月の胎児を自然出産させる為に、努力してくれた櫻井先生にも話す気にはなれなかった。

そう、ここに有紀が言っていた“破綻”があるのかもしれない。気まぐれに、自分の魔力に惹かれて群れてきた男たちに、気まぐれな要求をぶつけている女。そして、その無謀な要求を実現しようと努力してくれる男たち。

どこかで読んだような筋書きだ。そう、竹取物語だった。私がかぐや姫というのは、流石に思いもつかないが、深い根っこの部分に、かぐや姫のような心根は、多くの女の中で生きている、そんな悍ましくも(おぞましくも)ノスタルジックな気分に浸りながら、ピンクの肌着を手に取っていた。

次々と出てくるベビー用品に、私は、その都度戸惑っていた。これは何に使うのだろう、似たようなものが幾つもある。本来は、子供が産まれるまでに、知っておかなければいけないことを、私は何ひとつしていない母親だった。

袋の中の物をすべてテーブルの上に並べ、呆然と眺めている私の目に、袋の底の書類袋が飛び込んだ。

田沢君のお母さんは、私が無知蒙昧な女であることを充分に知りつくしてくれていた。袋の中のもので、使用例が分らないと思う物の取り説です、と云うメモが添えてあった。

正直、恥じ入るべき状況なのだが、今の私に、そんなプライドはなかった。どれ程無知で無責任であると言われても、差し出してくれる救いの手が有りがたかった。

オムツくらいは知っているが、様々な形状の肌着類の多さに驚いた。繋ぎのような肌着まである。

意味不明のビニールシートはオムツシートと云うもので、オムツの取替えを、その上で行うと、失敗してもOKなのだそうだ。

粉ミルクも一缶入っていた。無論、哺乳瓶や消毒グッズもセットで用意されていた。

それから、ガーゼの類。小さな綿棒、バスタオル、ヨダレかけ、小さな櫛、抱っこ紐‥等。

使用方法不明のものもあったが、少なくとも、これ一式を持って、泊まりに行っても、母から無恥だと笑われる心配はなさそうだった。田沢君のお母さんに、借りがまた一つ増えてしまった。

有紀からメールが入った。

『金曜日に迎えに行くんだよね。それで、高円寺の方には、いつ行くのかな?土曜日なら泊まれるけど、泊まるなら、姉さんと一緒の時にしたいし…。あくまで、私の都合なので、姉さんの都合も入れて判断してください』
つづく

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終着駅437


第437章

“竹村ゆき”が保育器から解放される日が決まった。明後日の金曜日に退院手続きが出来ると、櫻井先生から連絡が入った。

午前中はバタバタしているから、午後迎えに来るのがベストですよ、と但し書きがついていた。

院長先生から、特別の指示を受けていたにしても、破格の櫻井先生の配慮に感謝はしていたが、特別な感情が幾分働いているかもしれないと、私は受けとめていた。

私にも、その感情に応える、僅かな兆しはあったが、手に取って吟味出来るほど確かなものではなかった。

私は、そんな大人の世界に浸っている自分に呆れながら、“竹村ゆき”をこの部屋に迎えるにあたり、何が必要なのだろうか混乱を起こしていた。

有紀が気分次第で買って来たものはあったが、0歳時の育児用品と云う印象ではなかった。

育児用品必需品リストみたいなものがあれば良いところだが、それを今さら手に入れに行くよりも、用品を買い揃えて置くことが肝心だった。

明らかに、母親失格だと苦笑いしながら、ネットで検索してみた。多くの情報が、販売と関連しているため、微に入り細に入り、売らんかなな情報で、一覧のようなものがない。

馬鹿野郎と思いながら、オムツは絶対に必要。哺乳瓶がいるだろうか?既に授乳は経験しているので、絶対に哺乳瓶が必要とは限らないかも。それに、たつた二日で、田沢君のお母さんに、バトンタッチするのだから、オムツだけでも良さそうだった。

いや、そう言えば、赤ちゃんが裸のままでいるわけはないのだから、洋服が必要になるのだろう。あの赤ちゃんの来ているタオル地の服は、何って言っただろうか?私の頭の中は???の連続だった。

母に電話する手があるのに気づいた。そして、次に、田沢君のお母さんに電話する方が、もっと正しいことに気づいた。

そうそう、有紀から、田沢君のお母さんに、5日後には、“竹村ゆき”を連れ行く話がついていると云う事は、おそらく、彼女は、その必需品を、既に手元に置いている筈なのだ。

そうか、田沢君のお母さんから、少しだけ譲って貰えれば、それが一番楽に違いない。

私は、自分の未熟さなど気にもせず、田沢君のお母さんに電話を入れていた。

話はついた。私は、急いでタクシーに乗り込むと、田沢君の家に向かった。

田沢君のお母さんは、必需品を一式揃えて紙袋に入れて、私を待ち受けてくれていた。

“呆れた人ね”、とは言わなかったが、私の慌てぶりを微笑ましいものでも見るように、温かいまなざしを送ってくれていた。

私は、紙袋を受け取り、はじめて一息つくと、出された珈琲を口に運んだ。

「想像以上に順調にお育ちになって良かったわ」

「えぇ、でも、予定より早くなってしまったので、田沢さんの方のご予定を狂わせてしまったんじゃないのかと、ちょっと心苦しくて……」

「大丈夫よ。はじめのうちの赤ちゃんって、殊のほか手のかからないものですから。それに、母乳も飲むし、ミルクも飲む健康優良児のようだから、とても安心」

「そうだ、母乳の冷凍保存も、ギリギリまで沢山作っておかなといけないんでした。治療を開始した後の母乳は、出来たら避けた方がと言われていますから……」

「そうなんでしょうね。でも、どう見ても、お姉さんが病気に罹っているなんて、絶対に見えないのに、厭になっちゃいますね」

「自分でも、嘘じゃないのって思う時ありますけど、残念ながら逃げられないようです。でも、必ず生還して、迎えにきますので、それまで、よろしくお願いします。本来でしたら、ご主人にもご挨拶しなければならないところですけど、ざわざわしているものですから……」

それから、田沢君のお母さんと30分ほど雑談をして、私は再びタクシーに乗り込み、マンションに戻った。
つづく

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終着駅436


第436章

「えっ! 興味あるな、聞かせてくれる?」

「そうね、盗作されると困るけど、ストーリーってところまでは行っていないの。主たるテーマが確定した。そういう感じなだけだから・・・・・・」

「それで、そのテーマは?」

「このあいだ気がついたんだけど、竹村と再会するまでの人生と、それからの人生に、私なりに見えてきた、起承転結があるわけ。俗っぽい言い方をすると、独身時代の滝沢涼と、結婚し妊娠した竹村涼との間を区切る一本の縦軸。終着駅に着いた列車が、オーバーホールを済ませて、始発の列車に身分を変えようとしている、そう云う感覚が、それがテーマなんだけね・・・・・・」

「ふ~ん、意外とありそうなテーマだけどな。女は三度生まれ変わる、そう云う風に受けとめられる心配のありそうなテーマだな」

「たしかに、結婚を契機にって取られてしまうと、そういう誤解の世界に入っちゃうのか?」

「そう、折角複雑なのに、短絡的に解釈される危険性ね」

「なるほど、結婚が契機と云うのが陳腐になるわけね」

「そう、そう云うこと」

「そうか、そのように受けとめられたら哀しいね。世間一般の陳腐に引き摺り込まれるのは嫌だよね」

「誰もみに来ない舞台くらい哀しくて疲れるものはないからね。私達の劇団も、その洗礼は、過去に充分に受けたから・・・・・・。仮に、私の劇団の興行に入れるつもりなら、その視点は、即刻却下になる。滝沢涼が母さんと同じ人生歩いているように見えちゃうからね」

「プロセスが違っていても無理なものかな?」

「無理だね。第三者の客たちは、そこを理解する前に、没と決めつけ、次の舞台の解説に目を向けてしまうよ。テーマに主観が入っても構わないけど、その主観を観客に、変った視点だと思わせる工夫がないと……」

「つまり、掴みのようなものとか、シチュエーションの工夫とかが足りない、そう云うこと?」

「そうね、先ずは掴みで、興味を持たせないことには、スタート台に立てないということかな?そして、その後から、観る価値があるかとか、色んな、それぞれの人の価値判断で、観てみようかどうか判断するんだと思う。出演者の顔ぶれを見て、誘われる観客もいるけど、そういう観客はあてに出来ないから・・・・・・」

「いずれにしても、掴みが悪くては、シナリオ自体が成立しないようなものだね・・・・・・」

「そう、主人公の女やテーマに、サムシングや意外性がなければ、自分たちと変わりない人間見たって仕方ないよなって思うのは自然だから・・・・・・」

「縦軸の切り口が駄目なんだね。結婚じゃ、あまりにもあまりなわけね・・・・・・」

「そう、内容が違う以前に、見向きもされずに埋もれてしまう。そうだね、たしかに、素直に、姉さんの人生の区切りを表せば、その通りなんだけど・・・・・・、それじゃあね。それ以外に線引き出来るところか・・・・・・。圭との関係が出来た時点。圭が自殺した時点。私との関係が成立した時点。その辺を切り口にすれば、掴みは成り立つけどね、ストーリーには、創作的な出来事を書き足さないと、話が広がらないかな?」

「リアルで描くと、たいしたことない人生なんだね。これだけ波乱万丈だと思っていたけど、有紀のように評論されちゃうと、平々凡々になっちゃうね。幾分、情けない気分になるね・・・・・・」

「充分に波乱万丈なのに、破綻がない。そこが、姉さんの終着駅と始発駅の線引きが魅力的じゃない原因は?」

「かな?だからって、これ以上の波乱は勘弁してよ。ただ、有紀が言う通り、破綻がないよね。でも、実の弟と寝るなんて充分破綻しているんだけど・・・・・・」

「いや、圭との関係が出来、美絵さんとの関係をご和算にさせちゃうとか、同棲しちゃうとか、そう云うパンチが欲しいよね。眼に見える破綻と云うのかな。多くの点で破綻を見せない女が、背徳な女になってゆく。その起爆剤が、目くるめくオーガズムの経験なんてことなら、ちょっと興味が湧くよね」

「そうか、演劇の世界では、主人公はもっと破綻しないと駄目か・・・・・・」

有紀と私は、終着駅と始発駅の線引だけで、長々と語り合ったが、結論も見当たらすに、眠りに就いていた。
つづく

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終着駅435


第435章

「あのさ、今までは触れないようにしていたんだけど、白血病の治療って、経過が様々で、個人差が大きいってとこまで判ったんだけど、姉さんの場合、事前にわかる情報とかないの?」

「そうね、断定的な情報じゃないけど、質のいい方らしいよ。
楽観的な見通しだと、ワンクールの抗がん剤投与で、一定の成果があるだろうって見通しらしい。非常に単純な骨髄性白血病らしいので、予後も期待できる。骨髄移植のような事態は考えにくいだろうってのが、村井先生の現状認識らしいよ。
ただ、有紀が言ったように、個人差もあるし、思いもよらないこともあるだろうから、楽観はしないけど、暗い見通し立てても意味ないからさ」

「すべてが順調に推移するとしても、結構長い間、無菌室とかに入るわけだよね?」

「強い抗がん剤投与している時だけだと思うから、10日前後……。いや、ワンクールで、一定の効果が出たあと、地固め治療とかがあるから、飛び飛びだけど無菌室の住民かもね?」

「そうなんだ。無菌室でも、色々と話とか出来るんだろうか?」

「無菌室でも、マイク越しだけど、会話は可能らしいよ。勿論、私に、話す気力があればのことだけどね・・・・・・」

「そう、最低限の意志の確認は可能ってことね?」

「多分ね」

「どうしたの?有紀が入院するみたいに心配するじゃないの?」

「いや、姉さんと、まったく意思疎通できなくなる状況ってのが、少し怖いんだと思う。それで、何となく、心構えしたいのかな?」

「そうね、ここ数年は、一心同体のような時間を共有していたからね、その気持ちよくわかるよ。多分、入院して治療する方よりも、周りの方が、心配が多いのかもしれない。何せ、こちらはまな板の鯉状態だからね、矢でも鉄砲でも、なんでもござれって、開き直れるけど、有紀は、そう云気分にはなれないものね」

「そうかもしれない。もしもよ、万が一よ、意志の疎通が出来なくなったらどうしようかって、夜中に目を覚ますようになってね・・・・・・」

「ごめんね、アンタにそんな思いさせているなんて、罪作りな病気だよね。当の本人は、時間をかけて覚悟のようなものを、身につけたけど、周りの場合、本人以上に心配の種が浮かぶんだろうね。
考えたら、私は、死んじゃえば、それっきりで、すべてに免責されてしまう。でも、残された方は、そうもいかないから」

「そうなんだよ、ぶっちゃけ悩みを打ち明けるとね。本当はご本人に話す内容じゃないんだけど・・・・・・」

「たしかに。でも、アンタと私の立場が逆転したら、私も、同じように悩んで、アンタと同じように訴えると思うよ。だからね、言わんとしている、ニアンス凄くよくわかるな。面白い現象だけど、人間関係が密になればなる程、一種の杞憂症候群みたいなものが出るんだろうね・・・・・・」

「正直、本当に私が子供の後見人で良いのかとか、真剣に悩んじゃうんだよね。そして、そんな悩みを、当人相手に告白している自分は、どういう神経の持ち主なんだろうって、自己嫌悪にも陥るし・・・・・・」

「それってさ、幾分、有紀のシナリオが混じっている感じもするな。
多分に、我々の中では、私は、死なない前提があって、それを起点にして、物語が作られている。そういう感じだから、私自身にも、当事者意識が少ないんじゃないかな?
相当に物語的だものね。でも、それで良いんだと思うよ。そのように有紀が物語化している主人公二人は、生き続けるに違いないのだから・・・・・・」

「たしかにね、その指摘は当たっているかも?絶対に姉さん死ぬなんて、根っから思っていないからね。
ただ、イフを前提にした場合、私という女に何事が起きるのだろうか、その物語に、創造的魅力を感じているんだと思うの・・・・・・」

「少し、人の命を弄んでいるけど、まあ、許してあげるよ。有紀とは違う側面で、私も、これからのシナリオ描いていたから・・・・・・」
つづく

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終着駅434


第434章

「結局、金子さんとは、どう云う話をしたの?」

有紀が、いつものようにラブチェアーに沈み込んで、ワイングラス片手に尋ねた。

「うん、話は、解体工事するにあたり、ご近所さんへの挨拶を何処までするかとか、解体費用は、次の建築費用と抱き合わせすることで、相当叩けるとか、そう云う話だったかな……」

「高坂尚子の脅威がなくなった以上、あそこに住むことに問題はなくなったわけだし、建築と抱き合わせでも良いんじゃない?」

「うん、返事はしていないけど、それで良いかなって。ただ、多分、同居するだろうアンタの意見も聞いた上でって、そう思ったの……」

「問題なしよ。でもさ、金子さんの話の前の、父さん達の新しいマンションに、私と姉さんの部屋が用意されているって話の方が気になるんだけど……」

「あぁ、部屋の話ね。色々詮索すれば、我々への無言の圧力とか、そういう受けとめ方も出来るけど、無神経を装えば良いわけでしょう。それに、母さんは、単純に、焼ける前の家と同じ状況に近づけたかった、そんな気もするんだよね」

「随分、善意な解釈に思えるけどな~……」

「以前のままの母さんなら、私の解釈は甘いと思うんだけど、この間行った時の感じは、かなり違うって思ったの……」

「どの辺が違うわけ?」

「そうね、押しつけがましい態度が消えていたかな?」

「悟りの境地に入ったとでも?」

「そんな立派なもんじゃないだろうけど、気力のようなものを感じなかったね。引っ越しとかで、疲れていたのか、老いたのかもしれないけどね」

「あの人が、疲れたくらいで性格が変るとは、思えないけどな~……」

「そうね。多分、年齢的なものか、諦めの一種じゃないか、そんな風に受けとめたんだけど……、正直な話、判んないと云うのが正確かな……」

「そうね、一晩くらいなら、猫を被ることくらい出来るだろうしね。何度か見てから、判断した方がよさそうだけど、私も、ひさびさ顔でも出してみようかな……」

「何だったら、赤ん坊が保育器から解放された次の日辺りに、有紀も時間があったら、一緒に行ってみる?」

「えっ、実家に連れていくの?」

「そう、ベビーベッドまで用意してあるの見たからね、その辺は忖度しても良いんじゃないかって……」

「まあ、たしかに、一晩くらいで人が変るって事もないだろうし、赤ちゃんがいれば、こちらへの意識が薄れるかもね?」

「そう、ドサクサ紛れに、義理を果たすのも悪くはないよ」

「なるほど……」有紀は、それでも考え込んでいたが、時間の都合さえつけばと云う条件で、実家への一泊を了承した。
つづく

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終着駅433


第433章

ファミレスSに着くと、金子弁護士が奥の席から手を振っていた。

“お一人ですか?”と云う、ウェイトレスの問いに、“連れが来ています”と金子の方を指さした。

「お子様の具合の方はいかがですか?」

「お陰様と云うか、想像以上に順調に育っていて、あと一週間くらいで、めでたく保育器から脱出できるそうです」

「幸先の良いスタートです。それは、一安心です。それで、貴女の方の治療は?」

「えぇ、あまり、急ぐ必要もないらしいのと、私の体調の回復具合を見た上で、始めるようですので、数日は、赤ん坊と一緒に過ぎせそうな段取りです」

「そうでしたか、たしかに、人に預ける前に、チョッとでも、親子のスキンシップがあるってのは、気分的なことでしょうけど、何だか安心ですからね。まあ、科学的根拠はないのでしょうけど、何となくの感じですけど……」

「えぇ、私も、そんな風に思ったので、2、3日で良いから、育児のママゴトくらい味わってから、治療に専念したいなって、さっき、病院の方で段取りを決めてきました」

「そうでしたか、そりゃなによりだ。治療終了後、育児に関わるにしても、経験ゼロより、ずっと気が楽ですから……」

「えぇ、そうだと思います。それに、一日で良いから、実家の両親にも、孫の存在を実感して貰えたらって思いまして……」

「そうでしたか。それは、特に良いことのように思えますね。僕は、竹村氏側の弁護士ですから、竹村家中心に動くだけですけど、奥さんが、あまりにも竹村家の側の人間として動き過ぎているので、ご実家のご両親は、どう思っているのかなって、幾分気にはなっていたものですから……」

「えぇ、私も、気になっていました。実家も、弟の事件とか、その後に続く、家の火事とかで、慌ただしくしていたので、何となく、疎遠になっていましたから。それに、母と私たち姉妹、あんまり相性が好くないことも手伝って、ついついですね」私は、くすぐったく微笑んだ。

「あぁ、あのお母さんですね。たしかに、竹村氏の通夜の最中でしたか、お父さんに、何だか理不尽な不平を訴えているのを目撃しましたから、相当難しい方なのかな?と思ってはいましたけど……」

「そうでしたか。悪人ではないのですけど、何と云うのか、間違いだらけの善意と独善を抱えている、そういう感じの人なんです。母を制御できる人は、唯一父だけですから、どちらかと云うと、父にお任せって雰囲気の家庭なんです。時々、父へのリップサービスは忘れないようにしていますけどね」

私は、金子に、ここまで話しても良いのかと思ったが、顧問弁護士として、将来的におつき合いする以上、多くの情報を共有して貰っておく方が、何かと都合がいいと判断していた。

「そのお母さんにも、お祖母ちゃんになった実感を味わって貰える、そう云うことですね」

「そう云うことになります。先日、新居のマンションに顔を出した時、わざわざ、妹と私の部屋を用意していたのには吃驚したのですけど、さらに、私の部屋には、ベビーベッドまで、用意されていました。以前の私だったら、嫌みなことをするものだと、怒り出すところでしたが、逆に、不器用な母に対して、幾分同情的気分になりましたから……」

「そうでしたか。きっと、奥さんの方の環境のようなものが、影響したのかな?」

「どうなんでしょう、今の時点では、自分でもよく理解はしていませんけど、竹村と結婚して以降の、様々な体験が、私に、何ら影響しなかったって考える方が不自然なのは、たしかだと思いますよね」

「人が、一段と大きくなるのを目撃するのは、いい気分ですよ。きっと、これからも、奥さんは、経験を肥やしに、凄い人になって行くような予感があります。顧問弁護士を続けさせて貰って、感謝していますよ」金子弁護士は、真顔でそんなことを話した。
つづく

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終着駅432


第432章

ニンニクのきいた味噌ラーメンを食べた私は、診察台の上にいた。

きっと、櫻井先生の鼻腔にもニンニクの臭いが届いているに違いないと、自分の悪巧みが成功することを祈っていた。

櫻井先生は、触診に躊躇はなかった。

「奥の方に痛みはありませんね?」そう言いながら、櫻井先生は、必要以上に、膣の奥を指でまさぐっている感覚があったが、触診の一環に過ぎないのかもしれないが、私の身体はそのように受けとめ、潤んだ。

身支度を整えて、診察室に入ると、櫻井先生は何事もなかったような童顔を向けて“順調そのものです”と断言した。

「思った以上に早く、保育器から出られそうですので、妹さんの方にメールを入れておきました。クリスマス前に、赤ちゃんは退院出来そうですが、受け入れてくれる方に、スケジュールをご連絡くださいと」

「だとすると、来週末くらいには退院できると?」

「昨日の時点で、2000グラムに近いですからね。この調子で成長すれば、2500近くなりますので、保育器などは不要です」

「そうでしたか。じゃあ、あれですね、私の入院と、子供の退院は同時期くらいになると云うことですね」

「そんな感じですね。まあ、村井先生に確認してみないと正確なことは言えませんが、ほぼ同時期です」

「今、考えてみたのですけど、私の希望としては、子供が退院してから二日間ほど、治療の方の入院を待っていただきたいのですけど……」

「チョッと待ってくださいね、村井先生いるかな……」櫻井先生は気軽に院内電話で村井先生を呼び出していた。

櫻井先生と村井先生の会話が続いた。私の申し入れは認められそうな会話の内容だった。

「わかりました。それじゃあ、こちらの方で採血した上で、先生の方にお届けするようにしますから。……。えぇ、今目の前にいらっしゃいますよ。……。了解です、では、いま変わりますから」

櫻井先生が、私に電話に出るように促した。

「もしもし、竹村です」

「いま、櫻井先生からお聞きしましたけど、問題ないと思います。念のため、採血して、現状を確認しますので、櫻井先生の指示に従ってください。それにしても、赤ちゃんの状態が順調らしいので幸先が良いです。こちらの治療態勢も万端ですので、安心して、10日後くらいにはお会いしましょう。それから、その時の、入院の病室ですが、特別室と普通の個室と、何かご要望はありますか?」

「いえ、別に要望という程の事も…、あ、でも、慣れた部屋の方が気軽かも……」

村井先生は、そうしておきます、と事務的に答え、電話は切れた。

幾分、事務的過ぎるんじゃない?と感情的に思ったが、診察中なのだから、当然だった。

私は、自分が、この病院で特別扱いされることに、馴れて、幾分、胡坐をかきだしている自分に気づいた。

”慣れと云うものには魔物が棲んでいる”。竹村が、よく、私に注意した言葉だった。あの時、竹村が、どういうシチュエーションで話してくれたのか、俄かに思い出すことは出来なった。ただ、厭に真面目に注意されたことだけは覚えていた。
つづく

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終着駅431


第431章

保冷容器を顔見知りの看護師に渡し、私は“竹村ゆき”の保育器を覗きこんでいた。

「授乳してみますか?」突然、後ろから櫻井先生の声が聞こえた。

「ああ、吃驚した。先生、いらしたんですか?」

「いや、貴女が来たら、連絡して欲しいと言っておいたものですからね」櫻井先生は、なぜか、幾分頬を紅潮させていた。

「本当に良いんですか、保育器から出して?」

「えぇ、大丈夫です。おそらく、凄くパワフルな未熟児さんですから、ぐびぐび、お酒でも飲むように飲んでくれると思いますよ」意味不明だけど、櫻井先生は冗談を言ったつもりのようだった。

笑えそうもない冗談だったが、櫻井先生にしては、最高の冗談に違いないと、武士の情けではないが、笑顔を返した。

櫻井先生は、その返礼がとても嬉しかったらしく、いつも通りの童顔を取り戻し、授乳の後、診察室の方に来るように耳打ちして、足早に遠ざかった。

同じ職場の恋人同士が、逢引のサインでも交換しあったような雰囲気が一瞬漂ったが、看護師の声に促されて、私の身体は授乳室に吸い込まれた。

“竹村ゆき”は私の乳首に吸いついた。

私の可憐だった乳首は黒ずみ、取って付けたように大きく膨れていた。その突起に、“ゆき”は容赦なく吸いつき、一心不乱に乳を飲みこんでいた。

時おり、小鼻で大きく息を整え、貪欲な食欲をみせていた。左の乳首は幾ら吸われても痛くなかった。

いや、幾分気持ちが好かったが、右の乳首は乳の出が悪いのだろうか、“ゆき”は苛立っているのか、かなり乱暴に、私の乳首に吸いついた。殆ど噛むに近い暴力性があった。

竹村家の跡継ぎとしては頼もしい限りだが、乳首を吸われる私の身になると、いささか迷惑ものだった。

授乳時に、最も幸福感を感じると、多くに人達の言葉だったが、私には、その気持ちは浮かんでこなかった。

きっと、母親向きではないのだろう。何もかもいっしょくたにする錯乱した愛情がないと、育児は無理だと書いていた作家がいたが、私は思わず、その作家に一票を投じる気になった。ただ、俄かに、作家の名前は出てこなかった。

「さあ、時間だから、これでオシマイね」不十分な表情をしている“竹村ゆき”を看護師に渡し、NICU室をあとにした。

その足で、櫻井先生の診察室に足早に向かうのは、どこか気が引けた。

時計はまだ3時を少し回っただけだった。

我が子の授乳をそこそこに、愛人の待つ診察室に駆け込む女は演じたくなかった。

いや、そんな風に、誰かが見つめているようで、あらぬ噂は避けたかった。

このまま診察室に駆け込むと、櫻井先生の指に愛撫されるために、診察を受けようとする自分がいるように思えた。自分一人の想像に過ぎないが、そのように感じてしまった以上、その感覚を大切にしておきたかった。

私は、まっすぐ歩けば櫻井先生の診察室に辿りつく通路を左に折れ、エレベーターに乗り込み、B1のボタンを押した。

食堂に行って、つまらぬ妄想から逃れなければと、なぜか思った。

いそいそと、診察室に入ってきたと思われたくなかったのか、その時の心境は、自分でもよく判らなかった。
つづく

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終着駅430


第430章

神楽坂に戻った翌日、櫻井先生から、保育器の“竹村ゆき”の面会が、ご両親などへの面会が解禁になったと連絡が入った。

父に連絡すると、“お母さんは、解脱したのか、保育器からてからの孫を抱けばいいわけだから、そんなに急ぐこともないでしょう”と、こっちがビックリするような返事を返してきたと伝えてきた。

出かける前に、母乳の冷凍パックを病院の方に充分に渡してあったが、それ以降の溜まったパックを明日にでも、届けようと思いながら、金子弁護士に連絡を入れた。

金子は、解体の段取りが固まったので、退院中であるのなら、確認事項に目を通して欲しいと云うことだった。金子弁護士が夕方以降なら時間が取れると云うことなので、いつものファミレスSで6時に会うことになった。

時計の針は午後1時を指していた。病院に母乳パックを届けるには充分だった。

私は、保冷容器に母乳パックを詰めこんで、呼んでおいたタクシーに乗り込んだ。

タクシーの窓を次々と街並みが走り去るのを見ながら、なぜか、数年前の自分を思い出していた。

美絵さんと圭の事件は衝撃的悲劇だったが、薄情なのか、私自身の、人生に食い込んでくる事はなかった。

竹村との再会が、私の人生を捻じ曲げたことはたしかだった。

捻じ曲げたと云う表現は正しくないだろう。正しくはないが、間違いなく、私の人生に、他者が入り込んできたのは、あの時点が初めてだ。

圭が、潜り込むように私の人生に参加はしたが、結果的には、オーガズムと云うホワイトデーを置き土産にしただけだった。

以前、竹村と不倫関係にあったが、あの時点では、竹村は、あくまで他者であって、自分の人生の脇役に過ぎなかった。その点で、圭と同じだった。

しかし、再会後の竹村は、私の人生に食い込んできた。

いや、そうじゃない、私が、竹村の人生の一部に組み込まれたと言うべきかもしれない。幾分、自尊心を傷つける考えだったが、そのように解釈する方が妥当だった。

実際に、私の住民票には“竹村涼”と云う名前が記されていた。

そして、竹村涼として、竹村の家を継ぎ、その子供を産んだのだ。

竹村家が存在した場所で、同じ家ではないが、新たな家を作って棲む算段を実行しているのだから、私の人生に竹村が入ってきたと云うのは間違いで、私が竹村の人生に入り込んだというのが正確な表現だった。

主客転倒と云う言葉が浮かんだ。自分の人生を主体に考えていると、他者が自分の人生に入り込んできたように思えるのだが、客観的に見つめてみると、自分が他者の人生に入り込んでいた。

角度を変えてみるなら、無自覚で入り込んでしまったと云う事は、無自覚で組み込まれたと云う事にもなる。

ただ、竹村と云う男が死んでしまったために、入り込んだか、組み込まれたかは別にして、自分が、竹村と云う主客を演じる羽目になっていた。

つまり、滝沢涼の人生が終わり、竹村涼の人生が始まっていた。

あの再会の瞬間に、或いは、竹村とあらためて結婚を前提に結ばれた瞬間に、私は竹村の人生を引き継ぐことになっていた。

滝沢涼の人生の終着駅を実感した。そして、竹村涼と云う人生が用意された。

“終着駅が始発駅”そんな言葉が脳裏をかすめた。自分で思いついて、感心することは少ないが、“終着駅が始発駅”と云う言葉は気に入った。

そうだ、有紀頼んで、言葉通りのシナリオを書いて貰おう。その時には、私も出演させてほしいと頼んでもいいかな?私は奇妙な思いに耽りながら、病院のゲートに入って行く車の振動を心地よく感じていた。
つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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