第46章 圭は、私のバギナを求めていたにもかかわらず、即物的な行動に出なかった。
ガツガツと求められる優越的満足は満たされなかった。しかし、私を有紀だと思ってと言った都合上、圭の行動を咎める立場にはなかった。
本来であれば、私が有紀に心まで変身すれば良いのだけど、圭に命じた割には、自分自身、それが出来なかった。しかし、圭はその命令に従うように、黙々と私、いや、有紀の身体を上から下までなぞり始めた。
圭は、目を固く閉じ、口も開かず、指先に全神経を注いで、私、いや、有紀の身体をたしかめ出した。
その指先には、オーラがあった。決してオスがメスを求めてまさぐる指先ではなかった。女体に、自分の霊気を注入する神官の儀式のようでもあった。
はじめのうちは、圭が有紀に対して、こんなに繊細な指使いをするなて、という嫉妬のようなものを感じていたが、徐々にその気持ちは消え、受けている愛撫の心地よさに身を任せていた。
圭が照明を落とし、薄闇の中で指先に有紀を感じている筈なのに、私の芯は次第に熱さを増していった。
グツグツとわずかなマグマが膣壁から溶岩として流れ出しているのを自覚していた。
思わず、口から心地のいい吐息が洩れそうだったが、疑似体験しているであろう圭の状況を破壊しそうで躊躇われた。
声も洩らさず、身動きもせず、指先のわずかな刺激で快感を憶える辛苦はかなり苦痛だった。ある意味で拷問のようなのだが、身の毛も弥立つ(よだつ)強迫的快感もあった。
いつもの流れなら、既に圭の怒張で私は満たされている筈だった。
しかし、今日は未だにバギナの入口に、指さえ到達していなかった。圭がリンパマッサージを知るわけはないのだが、偶然その指は脹脛のリンパを的確になぞっていた。
“ 私は涼よ、有紀じゃないわ! ”
そう叫んでしまいたい衝動を憶えたとき、圭の掌が恥骨の上にあてがわれた。
“ わかっているよ。ここは涼ねえさんのお気に入りの場所でしょう ”
圭が無言で、私の抗議の声に応えてくれた。そして、恥骨と陰毛を揉みしごく愛撫は、いつもの私たちの定番ル一トだった。
迷子の子供が、ようやく通いなれた道を見つけだした安堵を憶えたが、次の瞬間、再び私は圭によって放浪の旅に引きこまれた。
“ 私は嬲られて(なぶられて)いるの? ”
私は圭に問いかけたい気持ちだった。圭はその問いに応えることなく、次なる行動に出てきた。
私は目を固く閉じていたので、圭が何をしているのか分からなかったが、その指先は私の身体から遠ざかり、二人の間にある空間を舞っているようだった。
その動きをたしかめたい気持ちもあったが、どこかでは、見てはいけないものを見てしまう怖さがあった。
なにか圭の浮遊する指が、まじない師の振舞いを模しているように思えた。
たしか霊気と云う治療法が東洋医学の一つの分野にあったが、どこかそのような行為に思えた。気功と同じものかもしれないが、圭の掌が、私のバギナに向けて、何らかのメッセージを送り込んでいるように思えた。
そのよう想像が当たっているかどうか、どうでもいいことで、私は、それを感じなければいけない気分に陥った。
圭の掌が向けている部分、バギナ付近に神経を集中することで、何かが起きると自己暗示することが、いま必要なことだと思った。
霊気とか気功と云う類は、きっと受け手の感受性、受動のレセプターが作動する結果生れると思っている私には、私の責任範囲のように思えた。たしかに、じんわりバギナの辺りが熱を帯び、陰毛が逆立っている感覚があった。
人間の身体と云うものは、本当に不可思議なくらい精緻に作り上げられている。
高度に進化した人間の大脳は、或る意味で無限大の広がりを感じる。おそらく、誰ひとり、持ち合わせた大脳の機能を完全制覇した人間はいないのだと思う。
多くの人々は、その10%の能力さえ使っていないと云う学説があるくらいだから、人間は全員が宝の持ち腐れのまま死んでいくのだろう。
私がいま、空間を通して圭の愛撫を感じようとしている思い、つまりは神経の集中も、その大脳によって機能している。
そのような行為で、快感を感じるのは、出し手ではなく、受け取る側の責任なのだと思う。まさに私は、その快感を受けとめていた。そして、確実に肉体的現象も惹き起こしていた。
その快感は浮遊しているので、しっかり抱きかかえることは出来なかった。
でも、膣口から愛液が滲み出て、会陰に向かってツッと流れ落ちた。
それが、圭に見えるわけはなかったが、そのタイミングで、圭の指先が、僅かに脚を開くことを促した。私は命じられる儘に、僅かな空間を左右の腿の間に空間をつくった。
つづく
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