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終着駅51 肉と肉が当たる音、愛液が混じりあう音


 第51章

 スローモーションの中で、圭の隆々とした怒張が、有紀の身体の中を行き来しているシルエットを凝視する私の目は、座っていたに違いなかった。

 私は、そのような目つきをほぐすように、瞬きを試みたが、ゴムバネで瞼が結ばれているのだろうか、再び凝視する目つきに戻った。

 有紀の両腕は圭の背中にまわされ、来るべき時を待っているように見えた。私の知っている有紀の性格からは考えられないほど、受け身な女がいた。

 聞こえてくる音はベッドの軋み、そして、一心不乱に腰を動かす圭の荒々しい吐息だけだった。時折、有紀の呼吸の中に、無声音な快感的な吐息が僅かに聞こえてくるだけだった。

 圭の動きが速くなった。そして、肉と肉が当たる音、愛液が混じりあう音が部屋を満たした。

 私の指が思わず滑りの中に埋没した。ふたりの動きは益々激しさを増し、肉弾戦さながらの様相をみせていた。

 「うっ、うっ」と圭の声が洩れ。

 「は~、ハッハッ、はっ」と有紀の切迫した声が混じりあい佳境を迎えているのを感じた。

 私の指も、滑りきった膣内を乱暴な動きで暴れまわっていた。彼らが、静かであったら、私の淫靡な音は耳に届いているだろうが、いま、その怖れはなかった。

 有紀の背が弓なりになり、最期を迎えたようである。私よりも大ぶりな乳房が露わになり、恥骨の部分が圭の怒張を抑え込むようにせり上がった。そして、30秒程度、どさりと身体は弛緩した。

 私は、そそくさとローブの前を整え、何知らぬ顔で、ラブチェアーの背に寄り掛かった。それでも、息が上がっているのは歴然としていた。

 有紀の小さな声が聞こえた。

 はじめは、何を言っているのか判らなかったが、有紀が再び、私の名を呼んだ。

 …涼ねえさん…

 私は、有紀の声に気づいていたが、名前を呼ぶと云うことと、有紀が何を望んでいるのか分からずに、戸惑っていた。

 何度か、同じ呼び声を発していた有紀が、私に向かって手招きをしている。

 どうしろというの?私に介抱して貰いたいわけではなさそう。参加しろとの意思表示なのだろうか?

 だからといって、“ハイ、待ってました”と近づくわけにもいかなかった。

 「どうしたの?満足できた?」私は、意外に冷静な声で、有紀に尋ねることが出来た。

 「少しだけ。でも、こんな関係は、姉さんが加わってもらわないと完結しない。姉さんが加わることで、美しく幽玄で妖しくなるわ」

 「なによ、舞台でもないのに」

 「違うは、これは演劇よ。ここは舞台だわ。だから、姉さんが圭と結ばれないと、幕が開かないし、下りないの」

 有紀は、私と同じことを考えていたのだろう。圭がどのような考えでいるかは、現状では不必要な雰囲気が流れていた
。圭は、そそり立つペニスをシルエットの中に見せていたが、意思表示する気はないようだった。

 「困った人ね。でも、その方がリアリティがなくて良いかもね」

 「そうなの、姉さんわかって」有紀の哀願する声と指先に誘われ、私はバスローブをはぎ取って、ベッドに近づいた。

 有紀が私にスペースを譲り、弛緩した身体を移動した。そして、私に変わって、バスローブを裸身に掛けると、目を閉じたようだ。

 私は、その譲られたベッドのスペースに身を横たえた。圭がなにか言ってくるかと思ったが、賢明な男は、いまの自分の存在理由が、どういうものか肌で感じているようだった。
 つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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