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終着駅44 精液の残滓と次の愛液がとろりと


 第44章

 「まさか、涼ねえさん以上の先生なんかいないよ。否、逆にいたとしても、そんなものはいらないな」

 「仮によ、有紀が私とアンタのことに気づいて、他の人に知られたくなかったら、圭に、私にしている事と同じことして欲しいけどって言われたら、アンタどうする?

 「まさか、そんな仮説自体が成り立たないんだから、考えるだけバカバカしいよ」圭は全面的に拒否の言葉を口にしていたが、私は圭の身体の変化を見逃さなかった。

 「一度くらいなら良いかもって思ってるでしょう」私は、変化しつつある圭の一部に手を伸ばした。

 圭は一瞬腰を引いたが、それ以上に抵抗はしなかった。私は脈うちはじめたペニスを指先で弄び、時折舌先で鈴口を嬲った(なぶった)。先ほど射精したばかりの圭の先端から、精液の残滓と次の愛液がとろりと溢れてきた。

 「この唇が有紀のバギナだと思いなよ。有紀と私のバギナはそっくりな顔立ちだよ。たぶん、私の何倍か経験も豊富だと思うわよ。私の知らないテクニックも教えて貰えるかもしれないわ」

 私は、有紀の舞台での気分を味わっていた。演じることなんて、土台無理だけど、観客が圭だけなら演じていても恥じらいはなかった。抵抗のポーズを示しながらも、圭のペニスだけは、私の下手糞な演技に感応していた。

 「どうよ、有紀のバギナの感じは?」

 「涼ねえさんの唇だよ。でも気持ちは良いよ」

 「今ここに有紀を呼ぼうか?」私は、とんでもないことを口にしていた。心理状態が普通ではないと思ったが、特別錯乱しているわけでもないと思った。

 「駄目だよ。むちゃくちゃになっちゃうよ。有紀ねえさんって制御不能なとこがあるからさ」圭は、有紀が制御不能になるから駄目だと言っていた。つまり、制御出来るのなら、有紀ともセックスして良いと言ったも同然だった。

 「そう、だったら念書を書かせれば良いんじゃない」

 「悪い冗談だよ、俺、そんな気ないのに、姉さんどうして?」

 「それほど深い意味なんてないわよ。ただね、有紀が近々結婚するのは聞いているでしょう」

 「うん、なんだか母さんが、玉の輿だって喜んでいたけど」

 「そう表向きはね。でも、そこには、色々な複雑さが絡んでいるのよ。だからなんとなく、有紀の心残りを消してやりたくてさ……」

 「それと、俺が人身御供の生贄にされるのと関係あるの?」

 「あるのよ。旦那となる人間から受けるだろう屈辱を帳消しにするような背徳をしておけば、有紀の心も癒されるのよね」

 「その複雑な色んなことってのは、聞いちゃ拙いわけ?」

 「そうね、聞かない方がいい。でも、圭に特別の害が加わるような問題じゃないわ。それに、私も有紀なら良いかなって思ったのよ」

 「姉さんも良いって、涼ねえさんが、有紀ねえさんと俺との場にいるってこと?」

 「そう、有紀と圭が二人だけでセックスするのは許せない気分ね。コンサルタントとして、その場にいないといけない気がするの。いや違うかも。アンタが有紀に惚れ込んだりしないように、監視したいのかも」

 「関係がむちゃくちゃになりそうだけど、大丈夫かな?」

 「大丈夫よ。アンタのがよかったら、何度かリクエストされるかもしれないけど、それで、有紀の結婚生活も、アンタ達の結婚生活も狂うことはないわよ。私たちが、どこかで吹聴しない限りね」

 「そう。でも俺、3Pなんてしたことないから、勃つかどうか分からないよ」

 「心配ないよ、圭は必ず勃つから。でも、3Pになるかどうかはわからない。私が参加したくなるか、コンサルティングするだけで終わるのか、それは、その時次第ね」

 「それは涼ねえさんの気分次第ってこと?」

 「そうね、実際に人さまのセックスを直接見て、欲情するか醒めるか、それは判らないから」

 「でも、有紀ねえさんが、そんなシチュエーションを承諾するかな?」

 「それは、それを条件にすれば、有紀が文句を言うとは思えないわ」

 「それってさ、もしかして、俺と姉さんの関係が有紀ねえさんにバレテいるってことなの?」

 「どうかな?私に鎌をかけて来たのは事実ね」

 私は、半分以上が本当で、一部フィクションを交えて、圭の反応をたしかめた。

 今自分が提案していることは、かなり背徳な提案なのだと知っていたが、有紀の望みを適えてやりたい気持と、姉弟の近親相姦に踏み出してしまった以上、有紀も共犯者にさせてしまいたい企みもあったし、さらなる性的バリエーションを愉しみたい気持ちもあり、心理状態は複雑だった。
 つづく

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終着駅43 跨られ、有紀ねえさんのおしっこの臭い


 第43章

 「猛烈な恋愛しているのかと思っていたのに、二人とも意外にクールだったのね」

 「どうなのかな、それなりの儀式のような恋愛の手順は踏んでいたけど、情熱的に、美絵じゃないと結婚は考えられないとか、そう云う情熱はなかったね。まあこの辺が安全牌かな、と云うお墨付きを前提につき合いを深くしたのかも」

 「それって、本質的に、お見合いとあんまり変わらないんじゃないの」

 「うん、合コンとかいっても、相手の立場がだいたい分かった上で会うわけだから、お見合い制度の変形っても言えるよ」

 「まあ確かに、その通りだね。以前は結構私にも声がかかって、何度か行ったけど、どこどこの誰とか、職種は何々とか、ほとんどわかっていたからね。それで社会的背景と経済力の前提は示されていたからね、見合いの変形ってのは正しいわ」

 「そうなんだよ。だから、年頃の女たちの合コンに行くことは、婿選びの場に行くんだなって、俺なんかは思っていた。親たちの寸借は消えたかもしれないけど、彼女ら本人の寸借はあるわけでしょう。そして、その寸借には、当然親の影響が関わっている。俺はそう云うものだと割り切っていたかも」

 「意外にアンタってクールなんだね。勉強以外はノホホンとしているのかと思ってたけど」

 「家の中の俺と、外の俺って、自分でも感じるけど、かなり違うかも」

 「ふ~ん、どっちの自分が本当だと思うの」

 「どっちもかな?ただ、家族っていうか、気を配らなくても生きていられる空間。そこですべてが完結する世界が一番安全、安心な世界なのかも。そんな風に考えている面はあるよね」

 「へぇ~、圭にそう云う面があるなんて、私でさえ気づかなかったよ。それってさ、社会学的に見た場合、大家族制度の共同体で起きる現象なんだよね。血縁地縁関係が主体的に動きだすと現れる現象っていうのかな」

 「それってさ、まず初めに血族結婚とか、近親結婚とか、そういうことから、社会が始まったってことじゃないの」

 「そう云う面もあるかも。あまりその辺は専門ではなかったから、考えていないけどね」

 「その所為かな、俺が涼ねえさんと一緒にいると、心が安らぐのは」

 「本当に心まで安らぐの?」

 「うん、無防備でいられる。美絵と一緒に暮らしても、この安心感はないよね」

 「あんたの安心のために私はいるわけ?」私は不愉快ではないにも関わらず、意地悪な問いかけをしていた。

 「安心のためだけじゃないけどさ、でもそれが一番価値あるように思えるんだけど……」

 「まあ正直な感想だろうね。私も圭と一緒にいて安心だしね。でもさ、仮によ、ここに有紀も入っていたらどうなるんだろうね?」

 私は、何となく有紀との会話のことを思い出しながら話した。

 血族結婚、近親結婚という語彙の登場で、口から軽い調子で飛び出した。正直、圭の反応が楽しみだった。ある意味で怖くもあったが、私と圭だけで、こういう関係を独占しているのはズルいのかもと云う奇妙な観念が働いていた。

 「有紀姉さんが此処にいる。それってどういう意味かな?姉さんと俺との関係の中に、有紀ねえさんが入ってくる、そういう意味?」

 「そう云うことになるかな」

 「そんなこと考えたこともないよ。有紀ねえさんの眼中に、俺なんて不在も同様だったんだぜ」圭は、どこか子供時代同様の感覚で、有紀への不満をぶつけた。

 「圭の有紀への印象は多くの面で間違っていると思うよ。多分、あんたは一番調子がおかしくなっていた時の有紀の記憶で止まっているのよ」

 「かもしれないけど、涼ねえさんがいたから、特に有紀ねえさんがいなくても充分だった。たしかに、そういう部分はあるね」

 「有紀があるとき言っていたよ。圭って男が弟なのが残念だって」

 私は、有紀の気持ちを過大に表現していたが、根本的には間違っていないと思った。だから、作り話だけど、真実を伝える方便だった。

 「有紀ねえさんが、そんなこと言ったってホントかな?多分、言ったとしたら気紛れに口から出たんだろう」

 「厭に、有紀に反発的な圭の方が変だよ。なにか有紀との間にあったの?」

 「別に、特別なことがあったわけじゃないよ。ただ、何となくかな」

 「簡単に言えば、食わず嫌いってことじゃないの?それとも、食われそうな感じがするのかな?」

 「どうかな、たしかに有紀ねえさんのことは、怖いと思い込んでいるんだね。子供の頃の経験からかも…」

 「そういえば、有紀は圭のこと虐めていたもんね。でもさ、あれって、支配と云うより、戯れあう感じに見えたけど」

 「傍から見ると、そう見えたかも。顔の上に跨られて押えつけられた時、俺、有紀ねえさんのおしっこの臭いを嗅いだ気になった」

 「何なのよ、それって。アンタが幾つの時?」

 「小学四年くらかな」

 「馬鹿ね、それじゃ有紀は中三だよ。オシッコの臭いじゃなく、違う匂いじゃないの」

 「その時は、俺にとって、あそこの臭いはオシッコって相場だからね」

 「それにさ、有紀は早熟だったから、当然毛も生え揃っていたわけだし、跨いだ理由が違うんじゃないの?」

 「まさか~、そんな馬鹿な。俺四年生だったんだから……」

 「たしかに、アンタは逆に晩生(おくて)だったからね。有紀を女だと感じる意識もなかったろうし、そんなもんかもね」

 「つまり、俺はこの歳まで、有紀ねえさんを誤解していた?そういう事かな」

 「ボタンの掛け違い。でも有紀も、変な欲求を圭に知られたと思っちゃって、意識的に避けていたのかも……」

 「そういう事もあるね。今度一度飲みにでも誘ってみようかな」

 「駄目よ、有紀はアンタが弟だから興味があるわけじゃないからね、二人で会うのは拙いよ」

 「えっ、それってどういうこと?」

 「だから、弟としてじゃないってことよ」

 「涼ねえさん、凄いこと言っているよ」

 「私が凄いこと言っているわけじゃないわよ。アンタも教えて貰う相手の選択間違ったのかもね」私は、半分揶揄うつもりで言いながら、どこかに嫉妬のような気持ちも抱えていた。

 圭を間に挟んで対峙しているのは、彼の妻である美絵さんなのに、美絵さんの横に妹の有紀が佇んでいる幻影が浮かんでいた。
 つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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