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終着駅455


第455章

2週間後、私は退院した。横には有紀が付き添っていた。

4カ月ぶりの外界の空気が美味しいのか、酸素不足なのか、何も実感しない内に、神楽坂の部屋に辿り着いた。

部屋のセッティングは変っていないのに、なぜか自分の嘗ての部屋とは、違う何かを感じた。

ニオイなのだと思う。私の部屋のニオイが消えていた。

自分や、自分の持ち物やタバコ、コロン、ワイン、食べ物が複雑に織りなしていた、私の部屋のニオイが消えているのだ。無臭無味、ひどく無機質な感じで、ぬくもりがなかった。

「なんか、この部屋、落ち着かなくなっているけど、有紀、どこが変ったんだろうね。久々だから、私の錯覚なんだろうか?」

「気づいた?姉さんって凄いね。姉さんが退院するのが判ってから、無断だったけど、部屋の大掃除やっちゃったんだよ。腰を抜かすようなお宝も見つけたけど、無論、其の儘にしておいよ」

「あぁ、隠し財産見つかっちゃったのか……。まあ、特別、隠しておいたわけではなく、分散して保管しただけだけどね……。でも、掃除しただけで、こんなに変るものなの?」

「掃除を徹底したこと。正直、私の感覚だけど、無菌室にしてやるぞ!って感覚でね。埃を叩き、何度も掃除機かけて、もう一度埃を叩いて、掃除機かけて、その後で目に入るものすべてを、ちゃんと拭いておいたんだけど、その所為かなな?」

「そんなことまでしてくれたの?」

「まあ、何となくなんだけど、何かに、自分の部屋で感染するのは最悪だと思ってさ。姉さんの話だと、そんなに神経使わなくても良いようなんだけど、私の気持ちの表現の一つの積りでね……」

「いや、そのことは、嬉しいだけで、感謝すべき問題だけどさ、何か、ニオイと云う点が引っかかるの……」

「あっ!わかった。空気清浄機だよ」

「空気清浄機?」

「そう、かなり高性能なヤツを3台買って作動させているの」

「その所為か、部屋からニオイが消えてしまっているのは?」

「そう言われてみれば、何となく、私たちのニオイも消えているかもね」

「3台って、どことどこにあるの?」

「リビングに一台、寝室に一台、そして、キッチンに一台」

「それ、全部作動させているんだ」

「そういうこと。やり過ぎだったかな?」

「でも、折角だから、動かしておこうよ。いずれ、どんなことしたって、色んなニオイがつくだろうからね。でもあれだよね、ニオイが消えるって、意外に衝撃的だね。初めての経験だけど、凄く不思議な空間だよ」

「そうだ、それに、私、タバコやめたから、その臭いも消えたんじゃないかな?」

「禁煙したの?」

「姉さんも止めていたわけでしょう?」

「そりゃあ、無菌室にいるんだから、あそこで吸ったらキチガイだもんね」私は、無菌室の閉鎖空間で、タバコの煙が充満する映像を想像して、吹き出しそうになった。

「姉さんが死に物狂いで闘病しているのだから、本当なら“お百度参り”くらいしなきゃならないと思ったの。でも、それは無理だからね、一緒に禁煙ってことにしただけ」有紀は、ケロリと口にしたが、表情を読み取られたくないのか、立ち上がると、キッチンに向かった。

私には、有紀が泣き出す寸前に見せる、顔の前兆を感じていた。
つづく

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終着駅454


第454章

数日後、村井先生の診察が始まった。村井先生の態度は吹っ切れていた。

そろそろ、村井先生の口から、朗報がもたらされる筈と、私はドキドキしながら、その言葉を待ち構えた。

「あまり状況を説明せずに、念入りに検査して申し訳ありませんでした」開口一番、村井先生は頭を下げた。

謝るのは後で良いから、病気の方は治ったの?

私は、そこが知りたいのよ!。叫びそうな気持で一杯になっていたが、それでも、喉から出る言葉を飲みこんだ。

「まもなく、退院の時期を相談することになりました」

私は、その村井先生の言葉を聞いても、白血病から解放された気分にはなれなかった。

その所為か、その悦ばしい情報に、反応は鈍かった。

「実はですね、竹村さんの癌細胞は、驚異的な治癒の進捗をしめし続けていたんです。
血液内の赤血球や血小板にも減少から、急回復していますしね、白血球も正常値に近い状況です。
つまり、今すぐ、外を歩きだしても、免疫力がない状況ではなくなっている。そう云う検査結果です。
ただ、あまりにもあっけなく癌細胞が退治出来て、正直、僕の方が不安だったわけです。
竹村さんの癌細胞は非常に質の良いⅯ2に分類された白血病だったのですけど、それにしても回復が急すぎましてね。
経験上、Ⅿ2の患者さんの治療もあるのですけど、竹村さんの場合は、例外的に早いんですよ」

「それで、逆に、なにか落とし穴があるように思われた?」

「ええ、正直、自分の治療スケジュールを過信する気はありませんでしたから……」

「それで、念には念を入れられたわけですね。その念入りな検査でも、癌細胞は見つからなかったと云うことですね?」

「そうです。
ですから、無罪放免です。
血液の状態も、健康体に近い状況ですから、免疫力の心配もないでしょう。
明日、以前の個室の方に移動して貰いますけど、特に竹村さんが何かしなければならない事はないと思います。
あぁ、部屋が変ったことを、ご家族に知らせることくらいでしょうか……」

「先生、何だか愉しくなさそうなんですけど、何か引っかかっていらっしゃるの?」私は、煮え切らない態度の村井先生に、単刀直入に尋ねてみた。

「いや、患者さんが経過観察に至ったのだから、無論嬉しいですよ、只……」

「ただ、何ですの?」

「単なる医者の習慣のようなものですけど、自分の考えているペースより早く症状の改善が見られると、やったぞ!という気持ちよりも、何か見落としがあるのでは、という気持ちが強くなるんですよ。僕は、特にそうですけどね」

「でも、考えられる検査はなさったわけでしょう?」

「えぇ、十二分にね。癌細胞は跡形もなく消えているし、血液の検査内容も正常値になっています。ですから、正直、病院に留めておく理由は何もありません」

「でも、もう少し確認してみたいわけですね?」

「いや、無菌室から出て、2週間くらいは、体力や筋力の回復期間と云うことですから、大事を取る意味だけです。血液検査を二回くらいしますけど」

「退院したら、普通の生活に、すぐ戻っても構わない、そう云うことでしょうか?」

「基本的にそうですけど、4カ月近く寝ていたわけですから、体力は薬の所為で落ちていますし、筋力も衰えていますので、最低でも2か月は、自宅で静養というのがお勧めです」

村井先生は、自分の治療があまりにも上手く行き過ぎた事への不安を抱えていた。

私も、その気持ちは理解できた。

完全寛解、地固め治療で、疑似治癒に至っているので、維持・強化療法の必要はなく、経過観察だけが残ると云うことだった。

退院後、本来なら、月一回の経過観察が多いらしいが、私は、村井先生の気持ちも考慮して、3週間に一回の検査を希望した。

村井先生は、私の言葉をきっかけに、いつもの自信に満ちた、村井先生に戻っていた。
つづく

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終着駅453


第453章

夕食もそこそこにして、私はメールをチェックしていた。

有紀からのメールには、見る見る育っていく“竹村ゆき”の写真が数枚添えられていた。

産まれた時の細く小さな命が、こんなにもなるのかと、生命力に驚くと同時に、田沢君のお母さんの献身的育児があることを忘れてはならないと、強く自分に言い聞かせた。

私は、田沢君のお母さんに、治療後初めてメールを入れた。

そして、感謝を告げると同時に、順調に行けば、後1カ月くらいで退院できるかもしれませんと、敢えて、楽観的文章を書き添えた。

父と映子さんからもメールが入っていたが、後から読むことにして、私は再び、トレイに残った卵焼きに箸を伸ばした。

その時、小さなノックの音と共に、櫻井先生が入ってきた。

透明のビニールカーテンを通して、柔和な櫻井先生の顔が緩んでいた。

小さく手を振っているので、私も、礼儀かなと思って、小さく手を振り返した。

「先週の非番に、お子さんに会いに行ってきましたよ。非常に良い状態でした。あのお母さんを選んだのは、ベストジャッジでしたよ」櫻井先生の声はインタフォーン越しだったが、ウキウキした声音になっていた。

「そうでしたか、わざわざ、ありがとうございます」私は、櫻井先生の過剰とも思える親切に、どのようなリアクションをすればいいのか、内心悩んでいた。

「おや?抗がん剤はやめたんですね?」櫻井先生は、点滴している薬剤のラベルをたしかめて、話しかけてきた。

「そうなんですか。私、何も聞かされていないものですから……」

「そうだったのか……」櫻井先生は、一瞬迷ったっようだ。

「良いでしょう。竹村さんは、知らなかったことにしてくださいよ。そうじゃないと、村井先生に、僕が叱られるから……」

「私と先生だけの秘密ですね」私は、緊張しながらも、笑みを作ることが出来た。

「おそらくですけど、地固め治療が終わった、そう云うことだと思いますよ。専門じゃないから、確定的ことは言えませんけどね。少なくとも、悪い方向じゃないのはたしかです。きっと、村井先生の方は、責任がありますから、ぬか歓びはさせたくなかったんじゃないかな。だから、あまり、説明しなかった……」

櫻井先生は、私の不安を察知したように、その塊の氷解に役立つ言葉を続けた。

「いま、僕が話しているのは、この病院の医者としてではなく、竹村さんの同志的立場で話をしているだけですから……」急に真顔で話し出す櫻井先生は可愛かった。

「了解しました。友達の情報くらいに解釈しておきますね」私は、何に自信を得たのか知らないが、余裕たっぷりに、お姉さんのような優しい気分で、櫻井先生に同意していた。

「それから、村井先生の方にもお話しておきますが、仮に、退院の日取りなどが決まったら、入院している間に、一度産科の方の診察に顔を出してください」

櫻井先生は、事務的報告に来たような顔に戻り、足早に病室を出ていった。

私は、みるみる前方の視野が拓けていく状況を実感していた。現金なもので、急にお腹まで空いてきた。

トレイに残っていた、夕食を全部平らげた。

考えてみれば、担当医である村井先生にしてみれば、不用意に、地固め治療の終了と、退院までのプロセスの話をする為に、確認作業を完璧にしておきたかったに相違なかった。

まさに、ぬか歓びさせることは出来ないし、今までの症例に比較して、1か月以上早く、癌細胞の根絶が起きたことへの疑念もあっただろうから、突然、無口になってしまったのかもしれなかった。

おそらく、私以上に、村井先生の方が、最終検査報告を緊張しながら待っているのかもしれなかった。

死と闘っていると云う、自分の立場が、如何にも崇高に思えてしまう錯覚の罠に、私は迷っていた自分を感じた。

そう、私は単に、癌細胞に冒された患者であり、村井先生は、それを治す医師だった。

崇高なのは、患者よりも、むしろ治療する医師の方なのに、患者の自分が、自分の命が掛かっていると云う理由で、崇高な地位についていると思ってしまった錯覚に、我ながら、感情の混乱を恥じた。
つづく

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終着駅452


第452章

“明日の午後に骨髄検査しますから”と前日に村井先生に言われていた。

当日の午前中に、看護師がいつも以上に多くの血液を採取していったのは、なにか問題が現れたのだろうかと、不安になったが、質問する気にはなれなかった。

今では、脱力、吐き気、便秘、脱毛、不眠はあったが、高熱、下痢、食欲不振からは、かなり解放されていた。

よくは判らないが、抗がん剤への対応力が、私の肉体の中で成長したのかもしれなかった。

そして、その副作用があることが、皮肉にも、日常であると錯覚させるまでに至っていた。

“心頭滅却すれば火もまた涼し”なんて、嘘のような話もあるが、副作用が日常化することで、幾分、肉体的苦痛に親和的になっている、私が居た。

骨髄検査をされて以降、私に“痛みの世紀”が訪れたようなものだが、出産も含めて、痛みや苦痛が連続した日常は、健康だった日常の記憶を曖昧なものにした。

妊娠という出来事をきっかけに、私の“痛みの世紀”は始まったようだが、妊娠前の自分の肉体が、どのようなものであったか、いくら思い出そうとしても、その姿は朧だった。

おそらく、健康であると云うことは、何もないに等しいのかもしれない。

副交感神経とか、不随意筋に支配されている肉体。或いは、大脳が司っている肉体は、無意識の中で存在している。

だから、その記憶は曖昧なのだろう。

そう、空気を吸って生きている動物が、空気を意識していないのに似ている。

そんなことを考えながら、昼食を終え、私は、骨髄検査を受けていた。今回は、失敗したとは思わないが、二か所の髄液を採取されたので、酷く疲れた。

村井先生に、なぜ今回は、血液採取も骨髄液採取も、いつもと違うのか詰問しようと思っていたが、肉体が悲鳴を上げて、言葉は何処かに行ってしまった。

私は、そのまま眠ってしまった。気がつくと、夕食の配膳が始まっていた。

寝ている間に、幾つか夢を見た。

ストーリーはまったく覚えていなかったが、圭と美絵さんと竹村がいた。ハッキリしないが高坂尚貴もいたように記憶していた。

夢に出てきた人物が、ことごとく死んでいる人々だったのは気がかりだった。彼らが、歓迎会でも開こうとしているとも受けとめられた。

迷信とか、そう云う類をまったく信じない人間だと思い込んでいたのに、記憶もハッキリしない夢見に、惑わされている自分に腹が立った。

食欲も失せていた。

そもそも、前の数回は若い先生たちに骨髄液の採取を任せていたのに、今回は村井先生だった。

そのこと自体が異例だった。

村井先生は、何時になく真剣な表情で、骨髄液を採取していた。それも、難しい顔をして、二か所から採取する念の入れようだ。

どう考えても、尋常とは思えなかった。

しかし、村井先生は、数日後に検査の結果が出たら、またお話しましょう、と言っただけで、足早に病室を出って行った。

いつもであれば、私もフランクに「随分、念入りですけど、どうして?」と問い詰めている筈なのに、今日に関しては、私も、どこかで緊張していて、言葉を発することはなかった。

患者に不安を与えるような医療行為は、インフォームドコンセントの面からも、不適切の誹りを免れないのに、どう云う積りだろうと、幾分腹立たしかった。

おそらく、治療行為において、何らかのシビアアクシデントが起きているか、地固め治療終了の確認かの、どちらかだと思った。

ただ、説明不足な村井先生の態度の結果、私の心の中は、前者のシビアアクシデントが起きたと云う推測に傾き、希望の断絶に慄いていた。
つづく

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終着駅451


第451章

完全寛解した私の前に、最低3か月間の地固め治療という工程が示されていた。

当然、その間、何度かに分けて、抗がん剤投与が実施された。

地固め治療期間の抗がん剤投与は休み休みだが、その抗がん剤による副作用は継続するので、様々な副作用に休みはない。充分に寝た感覚のある時間は、2,3時間しかなかった。

脱力、吐き気、嘔吐、便秘、下痢、脱毛、貧血、食欲不振、不眠、高熱‥等、半端な苦痛は通り越し、治療であると言われても、殺される過程にいるのではないかとさえ思う日々だった。

ただ、村井先生の方針は、私の副作用は少ない方であり、体力も充分に残っているので、一気呵成に癌細胞を撲滅してしまう積りだと言った。

村井先生の言葉を耳にしながら、サド侯爵と云う名前が、自動的に生まれたが、痛めつけるだけが目的ではないし、出来るだけ早期に社会復帰させようと情熱を傾けているのは、痛いほど理解出来ていた。

幸い、他の臓器に大きな影響も出ていないので、地固め治療は強烈だが、そのかわり、3か月後を目途に、必ず退院させてやると云う御託宣を信じるしかなかった。

“退院”の目標を、5月末と設定して、村井先生は、私の骨髄の奥深く隠れている癌細胞ハンターとなって、悪玉細胞殺しに夢中だった。

それぞれの副作用には、それぞれの症状に応じた薬剤が投与されるのだが、薬効があると実感したものは、殆どなかった。

抗がん剤の副作用を抑える目的で用意されている専用の薬ではないのだから、効果が劇的であるはずはなかった。

しかし、あまりにも効き目がないので、副作用の症状に対応する薬の服用を何度か拒否したが、症状は、より鮮明なものになって、私の強きは、簡単に挫折した。

最後は、文句を言う気力もなくなっていたので、従順な患者になっていた。

CIAの秘密諜報員でも、抗がん剤治療を永遠に続けるぞと脅されれば、すべてを自白してしまうだろうと、私は、村井先生に皮肉っぽく語ったりもしたが、誰の所為でもない事は、頭の中では無論知っていた。

こうして、村井先生と私の闘いは3カ月を経過した。

正常な細胞がどこまで痛めつけられ、どのような再生能力を発揮するかも、個体の資質によるらしい。その辺の詳しいメカニズムを考える余裕はなかった。

最近では、癌細胞を撲滅する目的で治療している筈の自分が、副作用と闘うためだけに生きている。

私は、副作用自体が病気であると云う、そういう錯覚の中にいた。

既に、有紀や両親との面会は可能だった。

しかし、私は、敢えて彼らに会おうとはしなかった。

会って話したい気持ちがないと云うのは嘘だった。特に、有紀とは言葉を交わし、一瞬でも苦痛を忘れられる時間が欲しいとも思った。

しかし、その気持ちも封印した。何故か、と云うほどの根拠はなかった。なりふり構わない状態に陥っている自分を、他者に見せたくないと云う気持ちもあった。

しかし、それ以上に、他者を、このような苦痛の関係者にさせたくない気持ちが、最も強く面会拒否に影響していた。

有紀であっても、彼女の記憶の中に、私の苦痛であるにも拘らず、彼女の苦痛にまで伝播することを怖れた。

有紀と父には、その辺の心境はメールで伝えておいた。

映子さんにも知らせておいたが、社長や金子弁護士やお義父さん、田沢君のお母さんにも、連絡は取らなかった。

治療が始まる寸前に、この世からおさらばしても構わないだけの準備をしておいたのだから、それで充分だと思っていた。
つづく

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終着駅450


第450章

想像通り、闘病は過酷だった。しかし、自分の決意を放棄したくなるほど過酷でもなかった。

死と交換する苦痛なのだと思えば、或る意味で過酷という程のものではないような気がした。

過酷と云うのは、竹村のように、治療を放棄せざるを得ない人間が感じる精神的苦痛であって、治療の手段があり、治癒するエビデンスも見えている、私の苦痛は、産みの苦しみ同様に、新たな世界が与えられるようなもので、苦痛ではないのかもしれないと、自分に言い聞かせ続けた。

第一回の抗がん剤投与期間、一週間が過ぎた。

村井先生は、抗がん剤投与の副作用は、投与期間後に現れるので、これから厳しい副作用があることを覚悟してくださいと告げていた。

私は笑みを浮かべながら、ハッキリと肯いた。

死と生の境界線にある細胞を殺すのだから、そりゃ苦痛が伴うのは当然ですよね。

言外に、私は、その意志を伝えた。

数日後、骨髄検査が実行された。吐き気と食欲不振が同時進行で起きていた。体温が上昇するので、意識は朦朧としていた。

この朦朧と云う副作用の中で、かなりきつい目に遭っていた筈の苦痛は、意識混濁によって和らげられていた。

常時滞在している、それらの副作用に比べれば、骨髄検査の痛みなど、蚊に刺された程度のものだった。

村井先生は自信がみなぎった顔を常にしていた。

どんな失敗を犯しても、成功しているような顔つきが出来る人種なので、村井先生の表情から、私の抗がん剤治療の効果があるのかないのか、窺い知ることは出来なかった。

櫻井先生だったら、一目で判るのに残念だった。

検査結果は、三日ほどで判るので、その後で、次のスケジュールを検討しましょう。村井先生の言葉は、とても事務的だったが、無機質になっていた私の精神には、丁度良かったかもしれなかった。

櫻井先生のような人が、人情味を出して、治療の状況を説明される方が、こちらも感情移入してしまい、切なくなったかもしれない。

どちらが好いか悪いかと云う問題ではなく、その時、患者がどのような立場にいるかどうかの問題なのだろう。

シビアな治療を必要とする確率が高い血液内科の医師としては、村井先生のようなタイプがあっているだろうし、おめでたい出来事に立ち会う確率の高い産科の医師は、櫻井先生のような人柄が好まれるのだろう。

しかし、櫻井先生のようなタイプが、常に人情味豊かな人物だと、決めつけるのは、間違いでもある。

櫻井先生が、あっさりとうち明けた、早期分娩推奨のエビデンス的実践には、かなりの危険も伴っている筈なのに、何気なく実行してしまう野心は悪魔的だった。

村井先生の方が見るからにニヒルなのに、なぜか、櫻井先生の方がニヒルだった。

人というものは、外観だけが判断できないことは、頭では理解していても、余計な第六感や肌感覚が、判断力を惑わせる。

それが人間だと、言ってしまえばそれまでのことなのだが、そのような判断に至ってしまう、人の心理の揺らぎは、興味深い。

しかし、フロイト以降の、深耕過程にある心理学の論に頼る気にはなれなかった。

心理学者の学問領域には、人間の社会性という概念を軽視して、心理について、あくまで心理学として、探求しすぎている傾向があった。

その辺が、私が心理学専攻の研究者の道に進まなかった原因があった。

いま、このような経験を内に秘めて、学生時代に戻るのであれば、心理学の道を選択することもありだった。

私は、日々の高熱と、常時夢を見たり、朦朧となったり、痛みや嘔吐に覚醒される長い時間経過の中で、思いもよらいない、考えに憑かれた。

闘病の状況を詳しく語りたい気持ちはあるのだが、正直、その時の状況を充分に把握していなかった。仮に、記憶していたとしても、積極的に、人に伝えたいとも思わなかった。

第一クールで、幸運にも完全寛解(かんぜんかんかい)に至った。完全云々等と聞くと、これでオシマイな感じがしてしまう。

しかし、今後の治療行程予定表を見せて貰ったが、完全寛解という状態が、本格的治療の第一関門に過ぎないことが理解できた。医学者が、なぜ、人が勘違いするような”完全”という漢字を使ったのか知る由もないが、酷く腹立たしい気分になっていた。
つづく

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終着駅449


第449章

ついに、来るべきところに来てしまった。

自分の意志に関わりなく、来るべきところに来なければならなくなった、自分の運命を、少し憎んだ。

しかし、逃げる積りもなかった。

徹底的に闘う気力は充満していた。

どこの誰が差配している運命か判らなかったが、私は、自分の運命に敵対はしないが、どんな過酷な試練があろうと受けて立ち、終着駅を始発駅に換えてしまえば良いだけだと、強く心に仕舞いこんだ。

一連の検査が、滞りなく進捗していた。抗がん剤投与が無理だなどと云われるのではないかと云う不安があったが、そのような雰囲気はなかった。

検査二日目に、父と母が顔を出した。父は、色々と決めておいたのだろうか、確認事項を確かめていた。

お義父さんから、父に連絡があり、1カ月後くらいに、様子を見てお見舞いに伺いますが、強いお姉さんを見せてください、と云うメッセージだったと知らせてくれた。

母は殆ど口をきかず、私の手を握りしめていた。時折、私の手に頬を当て、体温をたしかめているようだった。

「母さん、大丈夫だよ。必ず治るから、心配しないで待っててね」思わず、いつも通りではない母に優しい言葉をかけていた。

母は、その私の言葉にも、肯くだけで、言葉を話す気にはなれないようだった。

「さあ、母さん、そろそろお暇しよう。夕食の時間が来たようだから……」父は、遠く聞こえる配膳の気配をきっかけに、重苦しい空気から、全員を解放した。

普通食が当分食べられないと思うと、いつも以上に、配膳された病院の夕食が美味しかった。

“飢餓”と云う言葉が浮かんだ。

まだ、抗がん剤に痛めつけられていない私の欲望が、無菌室でお腹が空いた場合はどうなるのだろう等と、意味のないことを心配した。

吐き気に襲われることは承知していながらも、空腹の心配をしている自分が、おかしかった。

たしかに、私の精神は張りつめていたのだろう。

様々な、あり得ない心配事を、一つ一つ浮かばせては、一つ一つプチっと音を立てて、“解決”と呟きながら、消していた。

夜遅くなって、有紀が、忍び込むように病室に入ってきた。フロアーライトの僅かな光の中で、私の寝顔を覗きこむと、そのまま、用意されていた補助ベッドに潜りこんだ。

「有紀、来てくれたのね」

「起こしちゃった」

「ううん、寝てなかったから……」

「薬飲んだの?」

「飲んでない。治療が開始すると、多くの人は寝てばかりいるらしいから、何だか寝るのがもったいなくて」

そうして、有紀と私は、朝方まで、圭の話から、高坂尚子、尚貴の話に及び、竹村の話を通り抜けて、村井先生と櫻井先生の話に及び、最後に、母の話で締めくくった。
つづく

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終着駅448


第448章

翌日、私と有紀と“竹村ゆき”は、田沢君の家に向かっていた。

「ついに来るべき日が近づいてきたね」有紀が、何が近づく日なのか明確にせずに、呟いた。

「そう、近づいたね」私も、何が近づいたか、触れずに答えた。

「この子とも、しばらくお別れだし、姉さんとも暫しの別れだね。寂しいけど、どちらも、必ず戻ってくるものなのだから。寂しいけど、哀しくはない、また一皮剥けたわけだし、もっともっと、三人で人生謳歌しないとね」

「そうよ、あんな歓び、私も味あわない手はないものね」

「そうだよ、あれはヨカッタ。絶対に味わっておかないと、人生損しちゃうよ」有紀が怪しく笑った。

私も、昨夜の有紀の乱れた姿を思い浮かべ、怪しく笑顔を返した。

田沢君のお母さんが、万端整えて、“竹村ゆき”を迎え入れた。

屈託のないお母さんの笑顔に迎えられ、私は、この人なら大丈夫と確信した。

「さっき、病院の方から、冷凍で母乳の宅急便が届いたところですよ。持って来てくれた分を合わせると、相当な量になるわ。提案ですけど、小さな冷凍庫買った方が良さそうですけど?」

「そうですね。ウッカリしていました。お手数でしょうけど、早急に購入しておいてください。夢中で母乳パックを作らなければの一心だったので、こんな量になっているなんて……」

「それでも、見る見るなくなると思いますよ。でも、この子は、ミルクもチャンと飲むようですから、併用しておけば、相当期間、母乳パックも使えるので、安心だわ。それにしても、未熟児で産まれた赤ちゃんには思えないくらい元気そう」

田沢君のお母さんは、私たちの何倍も上手に“竹村ゆき”を胸に抱いて、抱いている事を忘れたように、お茶出しの手を動かしていた。

「まだ、母乳飲ませられるんですよね?」田沢君のお母さんが、“竹村ゆき“の小さくニギニギしている手を優しく撫でながら尋ねた。

「えぇ、まだ大丈夫です」

「だったら、今度お腹が空いたと言い出したら、オッパイ沢山あげてくださいね。奥の客間を暖めておきましたので」

田沢君のお母さんの生き方は、私たちの何倍も、生活に繊細だった。

おそらく、専業主婦だから、生活に繊細な気が回るわけではないのだろう。

きっと、こう云う人は、職業を持ったとしても、同じ感覚で、身の回りに気づくに違いない。

映子さんにも、似たような温かさがあった。特に、意識せずに、さり気なく、他人に対しても気を配れる、天性の部分があった。

「入院は、明日ですよね。直ぐに、治療とかに入るわけですか?」

「えぇ、数日は確認の検査でしょうけど、その勢いのまま、突入と云うことになると思います」

「そうですか。治療は大変なのでしょうけど、頑張ってくださいね。お姉さん自身の為にも、お子さんのためにも、辛い時は思い出してくださいね」田沢君のお母さんは、涙声で、私の手を握ってくれた。

「必ず、迎えにきますから、それまで、本当に、よろしくお願いします」私も、思わず、涙が滲むのを感じ、その手を強く握り返した。

「そうだ、忘れるところだった。姉さん、携帯貸してよ」

「どうしたの?忘れたの?」

「違うわよ。4人がおさまった写真を撮っておくの。無菌室で、虚しくなった時に、色んな人を思い出せるようにね」

有紀と私は、それから二時間近く経って、田沢家をあとにした。

忘れ物があるような感覚で歩いていたが、それが、“竹村ゆき“だと云う事は、当然知っていた。

歩きながらなのに、“ゆき”のオッパイを飲む真剣な唇や自分の占有権を主張する小さな先が、生々しく思い出された。
つづく

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終着駅447


第447章

その夜、有紀は、当然の約束事のように、私の身体に手を伸ばしてきた。私も、抵抗なく、有紀の下半身に手を伸ばした。

久しぶりのビアンな交歓だった。有紀は濡れていた。

私の部分は、濡れている実感がなかった。無論、不快である筈もなく、それ相当の快感は伴っていたが、以前のような鋭角的感覚は消えていた。

私は、自分の性感が、出産後で鈍感になっている事実に気づいた。あきらかに、授乳の真っ最中の女の身体だと云うことを思い知らされた。

しかし、精神的に、性に対する欲求は強かった。

動物的な性欲はお休み中なのだろうが、精神的性欲は、何らかのけじめを求めていた。

おそらく、僅かにだが、もしかすると、性感を得ることが出来る、人生最後のチャンスと云う強迫観念があったのかもしれない。

治療を開始して、そのまま戻らない人になると云う不安感が、私に、それを求めさせているのはたしかだった。

しかし、私の肉体は、鈍感期間だと主張して、快感の入り口から先に行く兆しはなかった。

私は唯一の選択肢を選び、攻撃に終始した。

有紀が私の性感が不十分なことに気づいていたかどうか判らないが、私の行為を快く受けとめ、強く喘ぎだしていた。

有紀の喘ぎ声に呼応するように、私のサディズムな面が目覚めてきた。

有紀の股間に顔をうずめ、アナル、膣前庭、陰核に向けて、攻撃を仕掛けていた。

行為が的確に有紀の性的ポイントを攻め切れているかどうか、自信はなかったが、それでいいよ、と有紀が喘ぎ声で答えていた。

有紀の反応の中で、一番喘ぎが強くなってくるのがアナルだった。今まで、二人の行為の中で、試したことのない部分だった。

「汚いかもよ」有紀は喘ぎながらも、羞恥を口にした。

「全然、何のニオイもしないよ」

私は、会話をする気はなかった。有紀の身体を貪りつくす決意をしていた。

自分の性感が、完全復帰していない以上、堪能すべきは有紀の身体だった。

私には、愛する男にフェラチオを施して、射精の満足の声を聞く趣味はなかった。

ただ、今現在、有紀に施している行為によって、有紀が羞恥交じりでありながら、強く性感に浸っている姿に、勇気を得ていた。

そして、その勇気が、意地悪なサディズムをも導き出していた。

私は、有紀自身の愛液と私の唾液で充分に潤んでいたおちょぼ口のようなアナルに、中指を当てた。

「あっ!駄目だよ。中は駄目だよ、汚いんだから」有紀は、呪文のように、その言葉を口にした。

しかし、身体は逃げるどころか、挿入を手助けするような角度をつくろうとしていた。

私は、自分でも初めての行為に、ドキドキしながら、それでも、侵入をやめなかった。

思った以上に素直に、有紀のアナルは私の指を受入れた。バギナに入れた時よりも卑猥だった。

その卑猥と感じる行為を、自分がしていると云う気持ちの昂ぶりが、更に私を積極的にしていた。

「痛い時は行ってよ」私は、そう言いながら、中指を最後まで、有紀のアナルに埋め込んだ。

「痛い?」

「ううん、痛くない。姉さんの指先が、何だか、凄く気持ちの良いところに当たってる」

「そう、此処かな?」

「そう、あああ、そこそこ、そこよ」

私は行為に夢中になった。自分の指で有紀が、バギナ以外で、こんなに歓ぶことを発見して、情熱を籠めて行為に耽った。

考えたわけではないが、宙に浮いていた親指を、有紀の本来入るべきバギナの中に、深く差し入れた。そして、有紀に絶頂が訪れた。

「こんなことってあるんだね。大大、大満足だよ、姉さん」

滝沢ゆきは、妖艶な視線に、炎を燃やして、私をみつめた。

「退院したら、私にも、同じことしてね」私は、唇を重ねながら、有紀に囁いた。

有紀は、重ねられた唇から舌を絡めながら、言葉にはせずに、何度となく肯いた。
つづく

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終着駅446


第446章

私は、かいつまんで、金子弁護士との話の内容を伝えた。

「随分、急な話じゃない。でも、たしかに、スケジュール的には、姉さんが選考作業するのはギリギリよね」

「ギリギリ。それも、すべてが順調に行っての話だから、ほぼ絶望的なのよ。私もウッカリしていたんだけど、第二回目の選考は、5月かなと思っていたから……」

「3月で法人として決算みたいな業務があるんだろうね。でも、金子さんでも良いんじゃないの?」

「ひとつは、彼は事務局に徹したいので、利害関係者にような複雑さは避けたいらしいの。
それよりも、私としては、佳代子さんの遺志を継ぐのが趣旨だから、男より、女の目で選ぶのが筋だと思っているの。
それで、一番身近な女性で、信頼がおけるとなると、当たり前だけど、有紀になっちゃうの。
それ程、大変な選考にならないように、候補者は、ある程度書類で絞る程度の作業は金子さんの方でやってくれるらしいから……」

「そう。でも、書類選考時点で、金子さんのふるいに掛かるのは、どうなの?」

「あぁ、その点は、マークシート基準のような取捨選択で、彼の主観は入らないようにするようよ」

「ふ~ん、そんなことって出来るかな?」

「東京在住とか、離婚は一回以内とか、5万円が有効に作用するかどうかとか、そう云う基準らしいけど……」

「前半の二つはマークシートだけど、最後のは主観が入りそうだけどね……」

「あぁ、その点は、理屈に適っているようなこと言ってた。
職に就いているとか、子供を学校に通わせているとか、その点は彼のことだから抜かりはないと思うの。
まあ、仮に客観性に欠けていると思えば、基準の見直しは、選考者の権限だから、変えさせることも自由だから、じっくりは聞いてなかったの、ゴメン」

「私が引き受けるって決めつけていたんでしょう?」

「そう云う点もあったかな。だって、私が、選考する可能性はゼロに近かったから……。これも、ごめんです」私は、くすぐったい気分で笑ってしまった。

「もう、しょうがないんだから」有紀も、困ったもんだと云う表情を浮かべながらも、引き受けてやるよという承諾の表情を浮かべていた。

「ありがとう、恩に着ます。だからってわけじゃないけど、副理事長の報酬も出るから、月一で、劇団の飲み会くらい出来るはずだから」

「報酬ないんじゃなかった?」

「資金の投資利回りが良いから、理事長、副理事長にも、報酬出せるって、金子さんが。幾らなの?とは聞かなかったけど、毎月だから、それなりに助かるんじゃないのかな。まさか、三万円とか言わないでしょう」

「へぇ、それは助かるよね。劇団の興業成績はまあまあだけど、個人的収入はカツカツだったから……」

「そういうものなのね。自分だけ、お手盛りも、難しいだろうからね」

「そうなの、バランスって、団体生活では重要だからね」

「知らないうちに、アンタって賢くなったよね」

「失敗が、私の知恵の先生だからさ。痛い目にも、かなり遭っていはいるけど」

こうして、有紀のシングルマザー支援基金の副理事長就任が決まった。

これで、私は、いつ死んでも、周りに迷惑を掛ける心配はなくなった。
つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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