第465章翌日、二人は遅めの朝食をとりながら、確認事項のチェックに夢中だった。
「十月に家が出来るんなら、お互い、このままの方が正解だね」有紀は、今の賃貸の部屋を引き払って、神楽坂の方に引っ越そうと言っていたアイディアを取り消した。
「そうだよね、半年しかないわけだし、無駄になるよ」
「会社には、いつから行くつもりだっけ?」
「身体の様子次第だけど、一か月くらいしたら、ぼちぼち行こうかなって・・・・・・」
「そうなると、姉さんが、子供の送り迎えで苦労するのは四か月ちょっとだね」
「そう。それに、初めの二か月くらいは、出勤短縮とフレックスタイムで出社しようかと思っているから、それほど苦痛じゃないと思うの」
「そんな規則あるの?」
「ないけど、社員の健康管理が社長の役目だって、いつも言っているから、三上社長が全面的に支持してくれるはずだから」
「そういえば、姉さん、会社の方には顔出さなくても良いの?」
「もう少し後でも良いかなって・・・・・・。折角、有紀も休みなんだから、来週で充分。それよりも、竹村の墓参りに行こうかなって思っているんだけど、つきあってくれる?」
二人はぐずぐずと出かける用意をしていた。有紀も、竹村家からの恩恵少なからず受けているのだから、異存はなかった。
小平の竹村家の墓は、考えていた以上に清掃が行き届いていた。金子が、管理費が高めだけど、行き届いているようだからと、勧めた理由がよくわかった。
「水汲んでくるよ」
私は、、有紀の後ろ姿を見送りながら、性欲を憶えた。
竹村夫婦が眠る墓の前で、性欲を感じる唐突さに、私はたじろいだ。
しかし、噴出したマグマの流れはおさまる気配がなかった。
抱えている花の花弁の一つ一つが、有紀のバギナに見えてきた。
私は、その幻影をふりはらうように、遠景に目を向けたが、引きこまれるように、花弁に釘付けになった。
「どうしたの、花を睨みつめて?」有紀の声で、私は我に返った。
「あぁ、ふと、この花弁、有紀のアソコに似ている……そう思ったら、口の中に入れて、しゃぶってみたくなったの……」
「墓前なのに?」
「墓前だからかな?」
「どういう心理だろう?」
「私は、こんなに元気になりましたから、安心してお休みくださいね、あなた。そんな風に知らせたい気持ちからかな?」
「性欲が、健康のあかし?」
「そう、あれって、気持ちが充実して、体調の良い時が最高に感じるわけだから、素敵な鬼籍の人達への伝達手段じゃないかなって……」
「その上、いま、私が愛しているのは、男じゃないから、あなた、安心してね。そういうメッセージにもなる……」
「それもあるね」私は、手にしていた花を供え終わると、有紀に迫った。
有紀は、一瞬たじろいだが、私の腕に誘導されるまま、墓石の裏側に歩を進めた。
つづく
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