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終着駅70 圭が残していった精液の残滓が


第70章

それから1年、私は圭の肉体を堪能していた。

有紀も時折、参加することで性的欲求を満たしていた。圭の怒張に変わりはなく、その都度、私を、時に有紀を絶頂に導き、二人の姉に性的満足を与える健気なマシーンとして存在し、彼自身も、そのプロセスにおける快感を大いに堪能していたようだ。

考えるまでもなく、私と圭の関係は姉弟という近親相姦なのだから、社会的な批判中傷の対象なのだけれど、当人たちにとっては、一般的なセックスフレンドの関係と何ら変わりがなかった。むしろ、それよりも利害関係がない、ピュアな関係に思えているのだから、不思議だが、案外、禁断の世界なんて、こんな感覚なのかもしれない。

不確かな関係ではなく、家族と云う絶対的血脈によって裏打ちされた関係なのだから、世間でいう不倫関係よりも数段親密であり、安定感があるのは、当然かもしれない。このような関係が、母親と息子、父親と娘でも成り立つだろうし、家庭内と云う閉鎖空間で起きるのだから、秘密はかなりの範囲で隠匿されるのだろう。

なぜ、このように安定した近親相姦関係を、世間は忌避したのだろうか、不思議でさえあると思うようになっていた。おそらくは、遺伝上の異常が起きること、そして、血脈が強ければ強いほど、純化してしまい、交雑の強い遺伝子を生みださないことが影響しているのだろう。

有紀と圭の関係にも、それは当てはまるわけで、3人の姉妹兄弟は、異様に仲が良いわけだけだと開き直っていた。三人が、どれ程親密であるか、第三者の想像からはかけ離れていることも、どこか愉快だった。善良な市民でありながら、社会に背を向けた行為をしている事が、愉快と云うのは健全ではないのだけど、不健全の味の方が癖になるのだろう。

その上、時々、有紀とふたりでレズビアンな関係を結んでいることも、世間に知れ渡りようはなかった。

このまま、三人は、その関係を維持して老いていくのかと思うと、社会の倫理とか習慣なんてものは、欺瞞に満ちたものかもしれないと醒めた気持ちまで抱いた。

このような日々が永遠に続き、そして三人は何ごともなかったように、老いて口をつむぐ。

今夜も、そういう一日の一つが終わり、圭は私の部屋を出ていった。

圭が残していった精液の残滓が、シャワーを浴びる私の腿を伝って流れ出た。

私は時折、この流れ出る圭の残滓を、目撃、感じるたびに、圭の子供を産んでみたい衝動を憶えたが、流石に、それを実行する勇気はなかった。

でも偶然ピルの効用から外れた、私の卵子が、圭の精子を受けつけることもあり得る。その時は、迷わず、どんな子が産まれるかなど寸借なく、産んでみたい気持ちになっていた。

その夜、寝ついた時間に携帯がけたたましく鳴りだした。また有紀が一夜の宿を求めて鳴らしてきたのだろうと、気怠く携帯に耳をあてた。

『姉さん、ヤバいよ、美絵が自殺しちゃってる…』圭の声が、か細く震えて、耳に届いた。
つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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