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終着駅408


第408章

2時間ほど寝たようだ。

時計の針は、午前6時を指していた。少し離れた位置に置かれた補助ベッドの上で、有紀が規則正しい寝息を立てていた。

ベットサイドの水差しから、口を潤す程度水を含み、静かに喉に流し込んでみた。水を飲む機能は正常なようだった。

軽いノックの音と同時に、看護師が入ってきた。

「竹村さん、お目覚めですか?」

「まだ、ぼんやりしていますけど……」

「先生が、出来たら初乳を取ってみてくれと言われましたので……」

「出るかしら?僅かに滲むことはありましたけど……」

「そう、だったら、横になっていて貰えますか。チョッとオマジナイのマッサージしてみましょう。たぶん、チョッとは出ると思いますから……」

看護師の指が乳房全体をマッサージを始めた。

相当に心地の良いマッサージだった。初乳を出すためのマッサージであるにもかかわらず、どこか性的な臭いがあった。

たしかなことは言えないが、ビアンな行為に親しんだ身体が、条件反射のように反応しているのだろうと、その早朝の行為に身を委ねた。

「さあ、ここからが肝心ですから、よく見ておいてくださいね」看護師の声に、桃源郷は途切れた。

「だいたいですけど、乳輪の外側から乳首に向かって、親指と人差し指で、軽く摘まんで絞り出すようにします。こうです」そう言って、看護師は、先ほどの愛のマッサージとは打って変わって、治療の一環のような指使いで、乳首を絞った。

私も、その看護師の切り替わった指の動きに連動して、いま、自分は何をしようとしているのか、気がついた。

「先ほど、分娩台でも、少し絞ってみたんですけどね、殆ど出なかったんですけどね、なんか、今度は出そうな予感……」

私は看護師の指の動きをしっかり確認していた。

しかし、以前、妊婦が自分の乳首から、母乳を噴出させている動画を見たことがあるが、あんな風に、噴き出るとは想像もつかなかった。

「さあ、ご自分でやってみて貰えますか。痛くなるようなら、無理は禁物ですからね」看護師は、そう言うと、哺乳瓶を左手で握るように促し、右手を乳首に誘導した。

10回ほど試みていると、液体が滲み出てきた。哺乳瓶に流れ込むほどの量ではないかったが、僅かに液が出てきた。

「これ、オッパイですか?」私は、馬鹿女のような質問を口にしていた。

「そう、初乳って、必ずしも母乳って感じじゃない事が多いの。白濁と云うよりも、幾分黄色い体液の感じよね。でも、こうやって絞る癖をつけておけば、明日辺りには、もう少し母乳っぽい感じになる筈ですから。三十分くらいした戻りますので、続けておいてください」

看護師が去った。

私は、興味深く、自分の乳首を絞り続けた。左の乳首が幾分麻痺した感じになったので、右の乳首に同じことを試みた。

左に比べ、右の乳首を絞る場合、幾分腕が窮屈だったが、絞って行くうちに、右の乳首から搾り出てくる液体の方が量が多かった。

哺乳瓶に光を当てて透かして見ると、底の方に僅かに液体が溜まっていた。先ほどまでは、瓶の側壁を濡らすだけだった量に変化が出ていた。

それでも、量は小さじ一杯に過ぎなかった。これで初乳と言えるのかどうかも判らなかったが、窮屈な腕の形に疲れた私は、先ほどの看護師が戻って来ないかと、ドアの方に目を送り、哺乳瓶テーブルに戻した。
つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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