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終着駅8-1

第8章-1

 私は、バスタオルを巻くだけで、圭が勃起を緩めずに身体を横たえているベッドに向かった。その動きは、何のためらいもなく、患者の診療に際しての女医を演じていた。
 「圭、アンタはベッドから降りて、まず私の全体像を観察することから始めな。女の身体は、バギナだけじゃない。そのことから、男はチャンと知るべきなの」圭が素直に怒張のペニスを晒したままベッドから降りた。

何に興奮しているのか判らないけど、圭の勃起は復活していた。幾分、その勃起を隠すように、圭は腰を屈めていたが、その程度で隠せる勃起ではなかった。

 「ねぇ、パンツ穿きなよ。自分も落ち着かないし、私も落ち着かないからさ」私は噴き出したい口元を抑えて、眼で優しさを伝えた。

 「落ち着いたでしょう。落ち着いたら、ファーブルの気持ちになって、私のすべてを観察するの。ポイントポイントを教えるから」私は、かなりの明るさの中で、バスタオルを剥いだ。流石に、目を見開いているは躊躇った。多分、圭も、私の視線を感じながら女体を観察することは辛いに違いなかった。

 私は脚を閉じたまま、一部を除いて全身を、圭に晒した。目を閉じているにも関わらず、圭の視線が痛いと感じた。そして、下腹部が目覚めを待つ少し前の雰囲気を漂わせ出した。

…拙い。バギナの観察にたどり着く頃には、愛液が滴り落ちるかも…

…それは、流石に恥ずかしい。性的な気分をけすには、どうすればいい?…

…言葉を発する?こと細かにレクチャーをしているうちに、性的気分から逃れられるだろうか?…

「圭、見てる?」私は決まりきりしていることを敢えて確認した。

「綺麗だ。こんなに綺麗な女の人の身体を見るのは初めてだ」圭の声音が上ずっていた。たぶん、社交辞令ではないのだろう。

「美絵さんより綺麗?」うっかり口にしかけたが、すんでで思いとどまった。危なく馬鹿な質問を口にして、雰囲気を台無しにするところだった。
「触って良いわよ」私は大胆になってきた。おそらく、圭の状態は、私の言葉のすべてを、単純に受けつけているだけだ、と吹っ切れた。それに、愛液が滴り落ちたとして、それはそれで、カウンセリングのネタになると開き直った。

「いま、どこに目は行ってるの?」

「乳首」圭は、さっきの行為を記憶していた。たぶん、まだ乳首が尖ったままで、圭の唇を待っているように写っているのだろう。

 「私の乳首は、四番目に鋭い性感帯なの。やさしく触られるのも、摘ままれるのも、噛まれるのも、齧られるのも好き」

 「ずいぶん愛撫の方法ってあるんだね。仕事のマニュアルより複雑だ」

 「そうね、きっとそうだと思う。その上、いま話した色んな愛撫の方法は、行為のプロセスやシチュエーション、体調などで違ってくるの。つまり、ルーチンがないのが厄介。自分で調整出来るとも限らないから、とても面倒なのものよ」

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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