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終着駅98 圭は、いわゆる多重人格なのか


第98章

私は、現在から過去に歴史を遡るようにして、ことの顛末の発生源を探した。

私の知る限りにおいては、ことの発端は、圭に性の手ほどきをしてしまった時点に行き着いた。

そうなると、ウッカリ圭の口車に乗って、セックスカウンセラー気取りになってしまった私が、罪の始まりになってしまう。でも、ことの発端と云う意味では、圭の嘘が私に行動を促がしたのだから、発端は、圭の嘘にあると思った。

その嘘に、自分の欲望も含めて乗っかった自分にも、僅かに罪はあると思った。でも、原罪は圭だ。

「圭って、いわゆる多重人格ってか、そういう病を抱えているのかもね」有紀が唐突に口にした。

「なに?二重人格みたいなものだってこと」私も、圭に関して、そういう資質があるのだろうな、と思ったが、有紀の口から、あらためて聞かされると、その言葉は重いものになっていた。

「さっきまで、ウィキペディアを読んでいたのだけど、書いてある意味が難しくてさ。読んでもあまり、ぴんと来ないのよね。でも私、人間って本質的に、自分の心の中に天使と悪魔を抱えている生き物だと思うのよ。だから、心理学なんかで言っている意味じゃなく、単純に二重人格とか、多重人格って云うか、そういうものはあるんじゃないかと思うの」

「そうね、心理学は教養課程でとったけど、半信半疑な学問だったな。特に、精神病に関する部分の学説は、僅かな症例で決めつけている感じでしょう。解離性人格障害とかじゃなく、有紀のような解釈の方が説得的よね」

「ジキル博士とハイド氏の場合、肉体まで違っちゃうわけで、殆どオカルトよね。精神障害の場合も、別々に人格ではなく、その人の心理的一部が出ているだけで、個別の人格じゃないみたいだし・・・・・・」

「そうね、そういう難しい問題じゃない問題を、我々ひとり一人が、ごく自然に持っているって問題で充分説明できるわ」

「要するに、圭は演じるのが上手なんだろうね。演技が演技ではないと思えるほど上手なのよ。たぶん、自分の、今求められている人格はどれだろうと、ジャッジするのが早いのよ。そして、器用に望まれている自分が出せる」

たしかに、有紀の指摘は、圭の行動を的確に分析していた。ただ、家庭という狭い共通空間では、その器用さでも乗り切れないものがあったのだろう。だから、美絵さんに気づかれた。

「でもさ、美絵さんは圭の浮気に気づいたとして、どうして一気に仕返しの浮気に走ったのかな?普通、問い詰めたりするんじゃないのかな?」

「さあ、どうしてなのか判らない。ただ、彼女は争うことは避けたんだと思う」

「争いの似合わない人だったよね。でも、たしかめもしないで、即、報復に出るものかな?」

「状況証拠が揃っていたのかもね。不倫の相手が誰であるか、確認したくなかったのかも・・・・・・」

「それってどういうこと?私たちに違いないと思ったってこと?」

「そう、特に相手が涼ねえさんだったら、自分は勝ち目がないと考えても不思議じゃないわ。私だって、恋敵が姉さんだったら、そのことには目を背けて、他の方法を探すかも」

「なによ、私が鬼みたいじゃないのよ」私は笑いながら冗談を口にしたが、その推測は当たっている気がした。
つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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