第91章この動画を撮影したと男を“ナオキだ”と名指しした圭の態度にも違和感が残った。動画を見る前から、否、美絵さんが自殺した時点で、圭は“ナオキ”と云う人物に思いが至った可能性さえある。
私は、これまでにも、私の知らなかった弟である圭の裏の顔を、有紀から伝聞的に知らされていた。認めたくはなかったが、圭が童貞だと嘘をついて、私にセックスのレクチャーをさせるように誘導したシナリオの疑惑もあった。
私の、その殆どを、圭への愛情の中に包み込んで、圭が意図的に仕組んだ事ではないと、自分を騙してきたことを知っている。ここまで物事が進んできた以上、私自身、あらためて圭という人間について再評価しなければならない時期に来てしまった、と思った。
動画はまだ続いていた。
だらしなく投げ出された美絵の下半身は、徐々にフレームアップされ、弛緩したバギナ付近が映し出された。男のゴム手袋の腕が伸び、バギナの全貌を遮っていた柔らかな内腿を手荒く拡げ、外陰部を第三者に見せびらかすように晒した。
ゴムの指は、美絵の外陰部を無視して、膣内に荒々しく挿し込まれた。そして、引っ掻き回すような動作を繰り返し、美絵の内部に収まっていた男の精液を掻き出した。
はじめは、僅かに顔を出しただけの精液が、とろとろと美絵の膣口から会陰に向かって流れ出した。
まだ、時折ひきつけを起こしていた美膣壁が、ぜん動運動を繰り返している為か、間欠的に精液を吐き出した。
無機質で異様な雰囲気を醸し出しているゴム手袋の指は、化粧用のコットンを持ちだし、その美絵の膣口から流れ出る精液を丁寧に拭い出した。
その拭い出す行為の執拗さは尋常ではなかった。概ね外陰部や会陰付近の精液を拭い去っただけに止まらなかった。
男は、コットンを薄目に取り、ゴム手袋の指に絡ませ、その指を膣内に挿し込んで、いま自分が出した精液のすべてを葬り去ろうとしていた。
どうして、男がそのような行為に出ているのか判らなかった。単に、猥褻性を表現するにしては、おかしな表現方法だった。その行為は、一度でなく、何度にも繰り返され、痛みさえ感じてしまうのでは、と訝るほど執拗だった。
そこで、再び画面は暗くなり、時折サブリミナル手法でもあるかのように、黒い画面に意図的に稲光のような光を混ぜ込んだ。私は、何かにとり憑かれるのも嫌なので、目を反らした。
次に画像が映し出したのは、半勃起したペニスだった。こんな情けない状態のペニスを映し出す神経が判らなかったが、かなり意図的に、その半勃起のペニスは長々とフレームアップされていた。
昔、竹村が二度目の射精を終えて、深い眠りに就いている時、縮こまったおチンチンを弄んだ記憶が蘇ったが、あの時は、怒張時との落差に興味津々だったし、半勃起と云う中途半端なものではなかった。
いま、男が晒しているペニスは、極めて中途半端な形状を示し、大きくなっているのに、付け根がだらりとうなだれ、涎を垂らしているようにさえ見えた。
私は、その下品でしかない半勃起のペニスを引っこ抜いてしまいたい怒りを感じたが、そんなことを考える私自身、少し変だと自覚していた。
「ほら、硬くするんだ!いつも、三回はイキたがる癖に、今日は参ったのか」男が突然声を出した。
私は、その声に起こされたように我に返った。
つづく
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