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終着駅90 精液を身体の奥深く受けとめようと


第90章

正直、私は動画の続きを見たかった。圭の心情を考えると、私の望みは、野次馬根性なのだろう。しかし、ここまで見た以上、最後まで見届けたいのも人情と云うものだった。

「最後まで見届けようよ。ここで逃げたって意味はないわよ」私は、有紀と推理を展開するためにも、最後まで見る必要があると思っていた。

「姉さんが見届けてくれよ。俺は、もういいよ。これ以上、美絵とナオキのセックス見ても意味ないからさ」圭は私にリモコンを手渡すと、ベッドにもぐり込んだ。

“根性なし!”私は、心の中で毒づいた。幾分腹を立てた私は、ベッドに逃げ込んだって、音は追いかけていくのにと思った。だから、渡されたリモコンで音量を絞る配慮は無用だった。

こういうイヤラシイ動画で嫌がらせをするような男なんだから、必ず粘着性を含んだメッセージのようなものを最後に流すに違いない。私は、それを確かめてこそ次の対応が出来ると、ビジネスライクに考えていた。

画面は、まさにこれから射精する男の腰の動きだった。圭と似た感じの男のお尻の筋肉が躍動していた。

大きく高く拡げられた美絵の両脚はツッパリ、男の精液を身体の奥深く受けとめようとしているようだった。

男の上半身がエビ反りになり、何度となく繰り返す射精感を、感極まって味わっていた。美絵の両の脚は、その何度も硬直する男の怒張にあわせて、瞬間の官能を、何度でも感じようとする貪欲な動きで応じていた。

そして、次の瞬間に、両の脚は、どさりとベッド上に投げ出された。その下半身の姿は、まさにイッタ後の女の無防備な下半身だった。

この動画を作った男の最も映したい部分が、いま佳境を迎えているのだと、私は固唾を飲んで、画面に見入った。

男の目的が、自分の怒張による蹂躙で、女が無我夢中になり、男の精液を嬉々として迎え入れ、身体の最深部に収め、すべてを達成した肉体を投げ出している。

これこそが、撮影した男の目的なのだ。俺のチンポで、お前の女房はこんな姿になっているぞ。どうだ、腹が立つか。男の意図は、そこにあるようだった。

美絵への強迫に真実味を持たせるためだけの動画ではない、私は、まだまだ続きそうな動画を一時停止させた。

とても、一人しらふで見ることのできる動画ではなかった。圭が参加を拒否しているのだから、私には、アルコールが必要だった。

備え付けの冷蔵庫に、チューハイの缶があった。立て続けに二缶を空けた私に、かなり酔いが回ってきた。肉体的ダメージはあったが、頭の芯は、まだ大丈夫だった。首筋から脳天にかけて、充分にクリアな意識が残っていた。
つづく

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終着駅89 肉がぶつかる音がしていた


第89章

突然、音声が流れた。男の腰が激しく女体の間で躍動し、肉がぶつかる音がしていた。

女はしゃくりあげるように、悦びの声を上げ、当初の画面にあった、単に嬲られている女体とは異なる風情になっていた。

「どうだ、イイのか」男が勃起をねじ込むような態勢になり、女体の脚を大きく上に持ち上げ、腰を落とした。あきらかに、男の腰に力がこもり、膣奥を責めようとしている姿だった。

「イイです」女が答えた。美絵さんの声のようでもあったし、そうでないような声でもあった。圭には、その確認は可能なのだろうが、圭に聞く勇気はなかった。

「ほら、もっと良くしてやるぞ。股を目一杯拡げるんだ」男はサディスティックな響きで女に命じた。

「ほらほら、どんどん感じるだろう。ほら、ほら」そう言いながら、男も感じているようだった。

そして、男の動きが佳境に向かって最後の激しい動きに入った。

「いくぞ、いくぞ、美絵いくぞ」男は、感極まって、美絵と云う名前を語ったようだが、編集が可能なのだから、女が美絵であることを、ことさらに表現しようとしていた。

「あいつだ。ナオキだよ」

「ナオキって?」

「美絵の昔の恋人の名前だよ。美絵がつき合っていたのに、身体の関係がなかったナオキだよ」圭が、再び電源を切った。

再び、沈黙が二人の間に流れ、重苦しい時間が過ぎていったが、圭が何かを考えている様子だったので、私は、次の言葉を待った。

「奴にしてみれば、念願が叶ったわけなんだ。美絵に身体を許して貰えなかった出来事が、奴の人生を狂わせた。漸く、人生のリセットが出来たと、俺に見せびらかしたかったのかな…」

「見せびらかしたいって、そのナオキって人と圭は、どういう関係なのよ?」私は、圭の発言の意味が判らなかった。

「そう奇妙な友達だった。互いに、俺の方がお前より全てに上だって思って反発しあっているのを知っていながら、いつも仲良くつるんでいたって感じかな」

「そう云う事って、男の世界でもあるわけね」

「あったんだね。でも、受験では俺が勝ち、奴は負けた。勝敗は一旦決したけど、美絵たちグループとつき合い出したことから、美絵を巡って、俺たちは再び対立した。無論、静かな対立で、他人から見れば仲の良いグループを作っていたけどね」

私は、ああ、その頃が、有紀が言っていた、圭がブイブイしていた時期と重なるのか、と思ったが口には出さなかった。

「それで、はじめに美絵さんとつき合い出したのがナオキって人なわけね」

「そう云うことだね。まあ実際つき合い出したのは、社会に出てからだけどさ。俺の気分は、美絵を奴から奪ってやるって感じになっちゃって、かなりぐちゃぐちゃしたけど、最後には俺が勝った。いや、今になってみると、負けたのかも…」

「でも、その恋のさや当てがあるような状況で、美絵さんの身体は処女のままだったわけ?」

「そう、その点が奇妙なんだけどね。事実、美絵はバージンだったしさ」

「ふーん」私は、大まかな、圭とナオキとの関係を聞かされたが、釈然とはしなかった。
つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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