第88章夜中も時折目覚めたが、敦美から、メールも電話も入らなかった。朝を迎えても、当然のように敦美からの連絡はなかった。
寿美の言葉が重なり、敦美の身辺に異常な事態が起きている可能性は、相当の確立だった。
寿美に相談する手もあったが、それでは、同級生どんぶりを平然と愉しんでいた裏切者になってしまいそうで、気が乗らなかった。
やはり、恥を忍んで、警察に敦美の居場所について確認するのが正しい方法だった。
当然、殺された片山亮介の女房の愛人と見られるだろうから、人間関係を複雑にし、敦美の容疑が深まる危険がないわけではなかった。
しかし、敦美の身辺に何らかの異変が起きている疑いがあるのに、放置しておくことは、良心的にも苦痛だし、敦美との関係が壊れることを承知する決意が必要だった。
いや、それどころか、後々になって、捜査が進むにつれ、俺の存在は判明するだろうから、早々に、善良な男の態度を示しておく方が、後々に禍根を残さない選択だった。
そんなことを考えている中で、敦美と寿美と云う女への、俺の興味の種類がおぼろげに理解できた。
敦美には、情における感情が強く、寿美に対しては、女体への魅惑が強く影響しているのではないのかと云う思いが浮かんでいた。
そして、懲りもせずに、二つの女体のオ×ンコの形状の記憶を捻りだそうと、無駄な努力をしていたが、首を強く降って、迷いを振りきった。
時計は既に十時を回っていた。念のため、敦美の携帯を鳴らしてみたが、電波の届かないところか、電源がオフになっていますと云ったメッセージが流れるのをたしかめた。
たしか、敦美が事情聴取に行った警察署は新宿南署だったはずだ。パソコンで南署の電話番号を確認した。
すかさず番号をプッシュするのは躊躇われた。
本当に、不用意に電話をしてしまった良いのだろうか。そうすることで、思わぬ不利益を受ける危険はないのか。
仮の話だが、敦美への容疑が濃厚になった場合、不倫相手である男は、女房に協力した共犯者である可能性を、警察は常識的に持つのは当然だった。
つまり、敦美が重要参考人ではないことを確認してからでも、俺の安否確認の電話は遅くはないのではないのだろうか。
いや、もし敦美が、寿美が心配するように拉致されているのであれば、いっときも早く、警察に知らせることが、俺の容疑を薄める効果があるに違いなかった。
なにひとつ疚しいところはないのだから、最低限善良な人間であるべきで、下手な小細工が、次の疑念を呼ぶ可能性は大いにあった。
こうなると、確認すべきことは、絶対に敦美が片山亮介殺しの犯人ではないと確信を持つことだった。
その事実さえ判れば、何も怖れることはないわけで、堂々と愛人の面構えで、警察に確認の電話を入れることが可能だった。
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