第8章流石に俺も汗ばんできた。シャツを剥ぎ取りたかったが、躊躇いがあった。
服を脱いだ瞬間に、女の欲望がエスカレートすることは惧れがあった。
額に溜まった汗が、こめかみから流れ落ちた。
・・・このままでも大丈夫かもしれない。指だけでイクかもしれないな・・・
・・・いざとなったら、販売機のバイブを動員させよう。それで充分だ。性病を貰ったりしたら大ごとだから・・・
俺は女に、オーガズムを与えようという気力はなかった。
ただ、女の危険に怖気づき、逃げ出したのではないか、と思われるのが嫌だった。
敦美の身体は明かに覚せい剤による反応が起きていた。
多幸感と精神的昂揚は歴然としていた。全裸の身体を観察する限り、注射の跡はなかった。
最近定着しつつある「アブリ」による、鼻孔の炎症も見られなかった。
おそらく、錠剤を飲んでいるか、ジュースにでも溶かして飲んでいるのかもしれなかった。或る意味で、中毒状態は軽度だとも思えたが、覚せい剤常用者には違いなかった。
いずれにしても、女の性感は数時間続き、俺の体力の限界を越えることは間違いなかった。
最高の快楽に身を落とした敦美のヴァギナは、俺の勃起でイクのか、指やディルドでイクのか、関係ない、異次元な快感に溺れていた。
・・・この女は誰でも好いんだよな、ここまで来たら、誰でも同じなのだろう・・・
・・・80のジジイが指を入れても同じに違いない。やっていることは無駄なこと、いや、無駄ではないが俺がしなきゃいけないものでもない・・・
・・・そういうことだ。俺が途中で中止したからといって、俺が中止したことが問題なのではなく、かき回す指が消えたということが重大なのだろう・・・
俺は、その馬鹿々々しい事実を知っていた。
たいして重要とも思えないプライドを守るにしては、危険が大きき過ぎた。
二度と会うかどうかも判らない女に、些細なこだわりの為に、リスクを抱え込む必要がないのは判っていた。
しかし、その間にも、女は、俺の迷いに関係なく、腰を振りつづけていた。
つづく
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