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第132章
「森永俊祐って男がキーなわけ?」
寿美は、一時間ほどの行為の中で、少なくとも十数回のオーガズムを味わい、火照った身体を押しつけて、更なる欲情が湧き上がることを期待していた。
「ハッキリしたことは知らないけれど、その男は、渋谷の円山町付近に住んでいて、政治家の子供や芸能人関係者と繋がりがあるって、それだけの情報。大した意味はないだろうけど、一応知らせた方が良いと思ってね……」
「兄たちに聞けば、なにか判るのかもね……」
「そういえば、お兄さんは、無事に帰ってきたの?」
「そう、少なくとも今回はね……。でも、また呼ばれる可能性の方が高いみたいよ、覚悟している風だったから」
「逃げる気もないわけか……」
「逃げても意味ないと思うの。社交的性格だから、隠遁な生活するくらいなら、刑務所を選ぶような人だもの…」
「腹が座っているね。しかし、お兄さん達が欲しいのは、片山を殺した犯人探しじゃなく、彼のノートが欲しいんだから、あまり価値のある情報じゃないからね……」
「多分、殺した犯人になんか興味はない筈、欲しがっているのは、どこまでいっても顧客データが欲しいだけよ」
「だろうね。片山の顧客が、どのくらいいたのか知らないけど、森永って男の周りを手繰れば、相当の顧客は見つかるんじゃないかな」
「無理だと思う。片山の顧客は1000人近くいたらしいから、兄たちにしてみると、僅かな情報に過ぎないと思うの……」
「そんなに居たの?」
「そうらしいわよ」
「凄いバイヤーだったんだ」
「そう、相当のやり手だった。だから、殺されたのかもしれないんだけどね」
「敦美さんの話だと、彼女の財産目当ての男のような感じだったけど、かなり印象が違う男性のようだね」
「そうね、兄たちも彼に支配されている感じだったもの。きっと、相当の悪だと思うわ」
「敦美さんが結婚した頃と違う男性に変ったのかもしれないからね」
「たまに居るでしょう、経験を重ねるうちに腹が座ってくる人って」
「そうなんだろうね。女房の目とか、亭主の目ってのは、案外、節穴なことはあるだろうね」
「そう、灯台下暗しって言うもの……」
つづく