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片山ノート探しは危ない あぶない女117


第117章

その夜遅く、俺は敦美の部屋を出た。片山亮介の愛人に関して、俺が考えることは殆どなかった。多くは、敦美の勘と記憶に任せるだけだった。

帰路のGT-Rのバケットシートに深く身を沈めていた。

“しかし、敦美が、片山ノート探索で、どのようなかたちであっても、愛人たちに接触することは、更なる危険を抱えるリスクがあると思った。

寿美とは、敦美の15億円の資金運用にひと口乗せる約束をしてしまっているので、ことは複雑だった。

寿美は、場合によっては家族を売ることまで考えていた。

ただ、片山亮介殺人事件には多くの犯罪が含まれている可能性が濃かった。殺人事件関連、麻薬関連、公安関連……。

つまり、寿美が考えるような単純な事件ではなくなっている可能性が濃かった。現役を退いた俺が関係すべき事件ではなかった。

寿美がどんなに努力をしても、彼女の家族たちの麻薬を密輸した罪が消えることはない。

5年や10年は刑務所暮らしになる可能性は高かった。ただ、警察は、片山のノートなしに、彼らを逮捕するには、決め手がない点で、捜査方針に曖昧さがあるだけなのだろう。

片山亮介を誰が殺したかも重要だった。

寿美の家族らと、覚醒剤絡みの取引の取り分で、揉めていたことも想像できる。

ただ、寿美は、家族が、片山を殺害したとは考えていないようだった。

本来、寿美の家族も、殺人事件における重要参考人になり得るわけだが、彼女なりに、家族が殺人犯でないと云う根拠を持っているのだろう。

単純に考えれば、寿美の家族たちは、“片山ノート”を入手することで、覚せい剤の入りと出で、収入は何倍にも増えるという状況証拠はあった。

彼らが、直に手を掛けていないとしても。片山を殺す重大な動機が寿美の家族にはあった。

敦美の15億円の資産の運用で得る儲けの一部を寿美が欲しがる話と別次元で、彼女の家族には、重大な容疑がかかっている。

仮に、彼らが片山を殺した動機が、“片山ノート”だとすると、敦美が、そのノート探しに奔走することは、ひどく危険な行動だった。

敦美の携帯を鳴らした。

話し中だった。

“まずい、敦美は、“片山ノート”探しを、早速、始めてしまったのかもしれない“

片山の愛人のことを知っているのは、敦美だけとは限らないのだ。寿美の家族たちも、その情報を得ていれば、片山の愛人たち周辺を、既に嗅ぎ回っている可能性があった。

そこに、ノコノコ敦美が出ていったら、その目的が“片山ノート”を探しているに違いないと、気づいてしまうだろう。

このまま敦美が不用意に、片山の愛人たちと接触して“片山ノート”探しを悟られてしまえば、寿美の家族たちも、それを知ることになる。

仮に敦美が“片山ノート”を入手できたとしても、その瞬間から、敦美は、寿美家族の最高のターゲットになるということだ。

先ずは“片山ノート”探しをやめさせなければ。

つづく






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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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