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毒を食らわば皿まで あぶない女70


第70章

「僕だけど、電話、大丈夫?」

“大丈夫よ”

「それで、片山って殺された人と、寿美さんの家族の誰かが、繋がりがあるってことのようだったよね」

“そうなの。彼は、私たち兄妹とは、新宿時代からのつき合いなのよ。私が、あの男とつき合っていた話はしたわよね。それで、私を捨てて、金持ちの娘と結婚したって”

「えっ!そこまで聞いたかな。じゃあ、殺された片山という男の奥さんも知っている、そういうこと?」

“知ってるわよ、だって、同級生だもの”

「そうなのか、敦美さんと寿美さんは、知り合いだったのか……」

“下の兄と、片山さんが同じく同級生。そう云う関係なのよ”

「高校で?」

“小、中校の時と高校の時ね、全部じゃないけどね……”

「そうなのか、じゃあ、昔は寿美さん家族も新宿にいたわけか?」

“そういうこと。こっちに移って十年くらいかしら……”

「それで、片山さんの死が、あなた方家族に関わるって、どう云う意味なの?」

“大いにあるわ。うちの上の兄の仕事を、片山は手伝っていたもの”

「片山さんって、商社マンじゃなかったっけ?」

“商社マンでもあるけど、副業の方が稼ぎは多かったはずよ”

「副業ね……。良い響きの仕事ではなさそうだね」

“えぇ、まったく良い副業じゃないわ。私も兄たちにはやめて貰いたかったけどね、やめたら、焼肉屋の稼ぎを食い潰すから、微妙な感じよ”

「なるほどね。つまり、片山さんの死は、寿美さんの兄さんたちの稼ぎとリンクしているわけだ」

“そういうことなの。リンクしていると云うことは、捜査の手が伸びてくるのは確実でしょうね。いまさら、稼ぎから手を引いても、逮捕されることには変わりはないから、彼らはきっと捕まるまで続けると思うわ……”

「いまさらやめても、それまでの罪が消えるもんじゃないからね。毒を食らわば皿までの心境になるだろうね」

取り扱っている”ブツ”が覚醒剤であることは、容易に想像できた。主犯は、寿美の兄たちで、片山は、その手先という感じだったが、寿美の説明を鵜呑みにもできないと考えた。

“私が気にしているのは、敦美が、片山を殺したのかも?そういう疑惑なのよ。それで、龍彦さんが、敦美と関わっているのなら、気をつけなさいよ、そんな感じなんだけど、大丈夫そうなの?”

「大丈夫って?俺が、彼女に殺されるとか、そういうことかな?」

“そう。敦美って、見た目以上に凶暴な女なのよ。暴走グループのレディースの顔役やってたくらいだから……”

「まさか、わけもなく殺さないだろうし、それほど近しい関係ってわけでもないからね。その心配はない筈だけど、一応注意はしておくよ」

俺は、空々しく嘘をついたが、この時点で、寿美に本当のことを言う気にもなれなかった。

つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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