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あぶない女 30


第30章

“このあいだはゴメンナサイ。また会って欲しいけど、もう無理かな?”

一行メールだったが、特に日本語に間違いはなかった。

二通目を開いてみた。

“私なりに、どうして、アイツが薬なんか飲ませる気になったのか、考えてみたの。でも、やっぱり分んなかった”

二通目も、そうだろうと、思えるような内容だった。ただ、あのワープしたような状況の敦美よりは、正気を取り戻している感じが窺えた。

しかし、結論は、心当りがないと云うことなので、結果は同じだ。ただ、ストーカーの臭いはしなかった。

三通目を開いた。二通目と三通目の間には、2時間のタイムラグがあった。

“やりたいよ!明日も会えないかな?会ってくれたら、10万円あげるんだけど”

メールは、正気を失った内容に変っていた。

ただ、オ×ンコをして貰うために、10万円を支払うと云うのは、初めての提案だった。

10万円云々はどうでも良いことだが、敦美と云う女は、金に不自由していない環境下にあると云う事実が判った。

このあいだ、ホテルでの支払いの時、財布の中に数十万円がさりげなく入っているのを目撃していたので、辻褄は合っていた。

旦那が金持ちなのか、女が金持ちなのか、そこが問題だった。

いや、仮に亭主が金持ちであったとしても、ラリッている女房に、そんなに現金を持たせると云うのは不自然だった。

おそらく、女の裁量の範囲で、かなり自由になる金を持っている可能性が高かった。

あの女が事業家として成功を修めている想像は論外に思えた。宝くじに当たったと考えることも出来るが、万に一つの可能性に思えた。

では、女は、何で金持ちになったのだろう。

そうか、一番可能性があるのは、親の遺産が転がりこんだと考えると、すとんと腑に落ちる。

となると、女は、嫌な旦那と、生活の為に暮らさなければならない理由はなくなる。

きっかけさえあれば、いつでも別れてやる、そういう気分になっても不思議ではない。

当然、その意識が芽生えれば、自ずと、日々の態度に出ることになる。

旦那も馬鹿ではないから、女房の態度の変化に気づく。

当然、女房の態度が変わった原因が、遺産が入ったことに起因していることが判る。

亭主が、敦美と結婚した経緯が判らないので、これ以上の想像は妄想に等しいのだが、ミステリー愛好者の俺としては、ついつい、妄想を逞しくした。

女に惚れたから結婚しただけと云う、つまらない結論もある。しかし、それでは、あまりにもツマラナイ。

仮の話だが、亭主は、当然、結婚する前から、敦美が資産家の娘であることを承知していた。

そうなると、俄然話は変ってくる。

いつの日か、大金持ちの女の亭主になっている事を夢見ていたのかもしれない。

いや、それが目的の結婚だった可能性もある。

しかし、資産家である親が亡くなる前に、二人の間にすきま風が吹きだしてしまって、離婚の気配さえ漂ったら、どうなるのだろうか?

金が目的だった亭主は、どのような手立てを考えるだろう?

俺は、逞しくした妄想を、順序立てて、確認してみたが、その妄想に、特別、重大な瑕疵は見当たらなかった。

つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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