第29章部屋に戻って一服していると、敦美からの連続メールが20通近く、着信していた。
敦美と云う女は、単に爆弾女だっただけではなく、ストーカー気質まで備えているようだった。
開く気にはならなかった。
一括で削除した上で、アドレスを迷惑メールに指定してしまえば、それまでのことだった。
俺は、敦美からのメールを反転させて、迷惑メールにしてしまう積りだったが、そこまでで、指はとまった。
“1,2通読んでやってから、迷惑メール指定しても良いんじゃないのか?”
そういう気持になった、特別の考えなどなかった。ただ、数通読んでやることは、最低限の礼儀かもしれないと思ったのかもしれない。
いや、このまま捨てるには惜しい女体だとスケベ根性が、指をとめさせたのかもしれなかった。
いや、実はそれだけではない。
敦美の旦那が、なぜ、自分の女房に覚せい剤入りの痩せ薬を飲ませたのか、と云う理由を考えている時、脳裏をかすめた、或る推測が引っ掛かっていた。
旦那が、いくら自分の女房に惚れているからといって、意図的“シャブ漬け”にすると云う話は、現実的ではなかった。
ヤクザの連中が、素人女をヤク中にして、売春婦として稼がせると云うのは現実的で、合理性があったが、自分の女房を逃げ出させない為に、“シャブ漬け”にするのは、合理性がなかった。
単に、女房への怨みを晴らすためとしても、手が込み過ぎている。浮気防止と考えているのなら、旦那は、ただの馬鹿だ。
現に、俺のような男を咥えこんで、さっきのような行動に出ることは容易なのだから、目的は何ひとつ達成していない。逆効果でさえあった。
そう、もっと、自分の女房を“シャブ漬け”にする、隠れた目的がある筈だった。
俺は、そのことを知りたいと思った。
少なくとも、メールのやり取りをしているだけなら、敦美の爆弾の被害者になることはないのだから。
俺は、そう結論づけて、敦美からの、1通目のメールを開いた。
つづく
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