第11章「まず飲むのを止める、それしかないな。飲まなくなると、酷い状態になるだろうけど……」
「どうなるのよ」
「禁断症状が出るだろう」
「やめて!聞きたくない!抱いて入れてよ。指でいいから、引っ掻き回して!」敦美は、ヤケクソになったのか、再び性欲を剥き出しにしてきた。
俺は、邪険に敦美の身体をベッドに投げ出すと、販売機から極太のバイブを取り出した。
想像もしていなかった展開に戸惑いもあったが、敦美を見捨てる気にもなれない曖昧な気持のまま、黒く冗談のように太いバイブを右手に握りしめていた。
知ってはいたが、俺は、電動バイブを手にするのは初めてのことだった。
ペニスの形をした張り形を使ってみたことはあったが、相手の女に酷く叱られ、ゴミ箱に捨てた記憶があった。
あの時の女は怖かった。
早く終わってしまうと、「もう一度、勃たせなさい」と命じ、「まだまだ、もう少し奥を突きなさい!届いた、グッと圧しつけて、動かないの!」あらゆる命令が、何故か組み敷いているはずの女の口から発せられた。
あの時、俺は多分、アノ女の奴隷だった。
でも命令されることに快感もあった。
「動きなさい!止めなさい、入口を、そうそう、上手、上手、さあまた奥よ、奥に押しつけるのよ、頑張って!そのまま、そのまま」
そうしてアノ女は、獣のような声を発して悶絶した。
毎日毎日、朝も昼も夜も、一日に何回勃起していたんだろう。
そして、何度挿入させられたのだろう。
そして、何度射精したのだろうか。
俺は大学時代に半同棲して童貞を捧げた10歳年上の女との、セックス特訓生活を脈絡もなく思い出した。
その女のお蔭かどうか知らないが、煩悩から常時解放されている俺の頭はクリアだった。
卒業時に、主席卒業生として、答辞を読んだ。
無論、その後の人生に、そのキャリアは、何の役にも立たなかった。
俺はいま、女に満足を与えたい気持ちになっている自分を意識していた。憐憫なのか、欲望なのか、理由はハッキリしなかった。
ただ、不注意で不憫な女になってしまった女に、何らかの優しさ、人間らしさを提供したい気分だった。
薬をやめろと説教しても意味はない、それは血の通わない他人の忠告に過ぎない。
意味のない、野次馬のような、親切はオタメゴカシだ。
たしかに敦美という女は、俺にとって他人に以外のなにものでもなかったが、触れ合った以上、人間関係をまったく無視することは出来なかった。
「ひろげるんだ、股を目一杯拡げろ」
俺はバイブのスイッチを入れた。
巨大なあぶら蝉のような鳴き声と同時に細かな振動が全体を震わせた。
亀頭部の下にあるパールの部分がぎこちなく回転し始めた。
クネリというボタンを押すと、先端の亀頭部がクネクネとグラインド運動を始めた。
見るからにイケそうな動きだ、
生の女に通用するかどうか別にして、男の視覚と想像の範囲では、女の悶絶が見えてくる。
つづく
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