第4章 ”お互いその時間になったら、携帯で連絡取り合えば会えるでしょう。最高にいい女敦美さんへ”
”わかった”
益々怪しい一言メールが返ってきた。
自分の明確な意志でレスされていない、メールの中で饒舌なはずの敦美が、とても無口になっている。
俺は悪い予感を憶えながら、PCを落とした。
ベットに寝転がると、一気に深い眠りに入った。
悪夢が襲った。
身体が硬直し、金縛りにあっているようだった。
汗は掻いていなかったが強烈な疲労感が身体を包んでいた。
時計に目をやると、2時間も寝ていなかった。既にカーテン越しに朝の光が透けていた。
何だ、あの夢は。意味はあるのか、どうして俺が都美子に殺されるんだ。
都美子というのは、愛人の一人貴子の母親だった。
たしかに、都美子という婆さんには色香が残っていたし、誘うような素振りを見せているのは事実だが、俺は素知らぬ顔で、対応する気のなさを示していた。
その態度が、都美子の怒りを買ってしまったと云う流れの夢なのだろうか。どうにも、後味の悪い夢だった。
このままでは寝つけないだろうと睡眠薬の助けを借りて、眠気を待ち続けた。
睡眠薬独特の睡魔が急激に襲ってきた。火をつけたばかりのタバコを、慌てて揉消した。
午後2時、妻の時子の姪とその子供達の声で目覚めた。”ウルサイ!”と怒鳴ろうとしたが、その声がなかったら、目覚めは約束の5時を過ぎていたと思い直し、言葉を引っ込めた。
鏡に映し出された顔が脹れていた。
特に目蓋がひどかった、到底初めての女と会う顔ではなかった。寝起きを差し引いても、普段通りには戻りそうもなかった。
元々、気乗り薄な女と会うだけ、好感を持たれようと持たれまいとどうでもいい、俺は開き直ると背を伸ばした。
約束の5時5分前にルミネの前に到着した。
それらしい女が近くに佇んではいなかった。
敦美という女の印象からすると、30分程度遅れるのは常識の範囲の女に思えた。
行き交う女をボーっと見つめていた。
行き交う若い女の大半が細い腿をパンツで覆い隠していた。
・・・抱きたくねえな、あんな腿の女たちは。むっちりしているから女だろうが・・・
古い男と言われても、その嗜好を変えるつもりはなかった。
スタイルが良いことはそれはそれで目出度いのだが、抱き心地は今ひとつだった。局部の接着感は良いのだが・・・。
つまらぬ事を考えながら敦美の姿を求めたが、それらしい女はいなかった。
つづく
いつもクリックありがとうございます!
ブログ村 恋愛小説(愛欲)
アダルトブログランキングへ
FC2 Blog Ranking