第3章 敦美のマゾヒズムはソフトな世界に止まっていた。
セックスにはサディズムとマゾヒズムの要素が含まれている。
オーガズムに至った女を、罠に掛かった獲物をいたぶる様に責めつづける男の心理は、明かに加虐性に支配されている。
クリトリスによる軽いオーガズムを得た女性たちへの執拗なクリトリス責めは多くの場合嫌われるのだが、ヴァギナや子宮でオーガズムを得た女性たちにとっては、その責め苦を乗り越えることが最極のオーガズムを迎える序曲にもなっている。
俺は迷っていた。どこか他の女達と敦美の間には異質性があった。
その異質が何なのか、直ぐには判らなかった。
おそらく第六感というものなのだろうが、それを信じて危険を回避すべきなのか、会って確認すべきなのか迷っていた。
俺が最も恐れたのが、ドラック中毒という想像だった。違法ドラックの常用者というイメージが浮かんだ。
最悪な場合、覚醒剤常用者の疑いもあった。シャブ中毒患者の人間が何をしでかすか、ルポも手がける俺は充分承知していた。
手持ちの女が多すぎると反省している矢先からこれだ。
どこまで俺って奴は助平なのだろう?
いい加減にしろってものだ。いやいや、そういう気持だけでもない、出会い系の怖さも体験するトップ屋魂みたいな部分だって多少はある。
仕事の延長線と言えないこともない。
会いさえすれば、おそらく中毒は見分けられる、会うだけならいいだろう。何なら、絶対にヤラナイと約束をしておこうじゃないか、それならいいだろう、それならなさ。
俺は自分との約束を守る自信はあった。誰との約束以上に自分との約束に忠実な自分を信じようと思った。
午前5時、敦美にメールを送信した。
”寝ているよね。今日(土曜日)だけど、会えるかな?絶対エッチなしで、お見合いだけでもしてみない?”
絶対にしないのだから、疲れていても問題はない。会うだけでも疲れる女でないことを祈ろう。
PCを切ろうとした時、メールが入った。
”起きてるよ。いいよ、今日だよね、何処で会うの”
俺は、この時間まで起きている女、いや起きたのかもしれないが、益々女が怪しく思えてきた。
”新宿のルミネの前、そこで17時でどうかな?”
”いいよ”
短すぎるメールが変だと思った。
まだ見ぬ敦美という女が恍惚の中にいるような感じがしていた。
どんな服を着ているのかとか、どうやって見つけるのかとか、敦美は何の不安も示さなかった。
つづく
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