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終着駅30 性格は愛人向きではなかった


第30章

副社長の竹村とは、それから2年近くつきあったが、私の性格は愛人向きではなかった。

 セックスは良かったが、価値があったのはそれだけで、それ以上のものを私は得られなかった。特別別れる理由はなかったが、竹村が外資からの誘いで会社を辞める際に、私にも来て欲しいと言われたのを、最終的に断ったことが、転機になり、自然消滅のように竹村は消えていった。

でも、バギナとペニスの結合で、初めて快感を与えてくれた竹村には、口には出せない感謝の気持ちはあったので、それなりにつき合った価値はあったのだと、後になって気づいた。

その後、どういう訳か、私が主任に抜擢されたのは、竹村が円満転職してから1か月後のことなので、竹村の置き土産だとは知らなかったが、竹村が創業社長の浮田に、一緒に転職を誘ったが断られた私は役に立つ、と言いおいていったという話を、創業50年パーティーの席上で耳打ちされた。

今頃になって気づいたのだけど、その当時、社長室には3人の秘書がいた。その一人が、映子だった記憶が蘇ったのだが、そのことと、厭味な手紙の主が、映子だと云うことと、直接には結びつかなかった。

ただ、どうして映子は秘書室から出されたのだろうか。同じ平社員ではあるのだが、今の境遇と秘書室在籍は、男子社員の目から見ると段違いの扱いなのに…。

おそらく映子本人は、何らかの事情を知ったうえで、異動を受け入れたのだろうか、それなりの理由はあったのだろう。

その辺まで映子のことを考えたが、それ以上考える気にはならなかった。もう考えるのはやめて帰ろう、と私はその小さな店を後にした。


注:≪ 「なるほどね、そういう事って小説とかテレビの世界の話だと思っていたけど、現実にあるのね」私と有紀は、それほどシビアな問題を話し合う雰囲気もなく、お互いにフィレミニオンなどを摘まむように食べながら、ワイングラスを傾けていた。 ≫と妹、有紀との話(第31章)に続きますが、ここでブレークタイムです。「結衣との関係」の連載を暫しお送りします。

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鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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