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結衣との関係2-1


第2章-1

 見ず知らずの男を家に招き入れる女の不用意さが、訝しくもあり、都合の良い按配だとも思った。

 多少の縁はあったわけだが、数時間前には全くの見ず知らずだし、俺が何処の誰であるかもわからないわけで、女の行動は無分別だった。

 女に通された部屋は小ぶりのリビング兼ダイニングと云う感じだった。日常の細々としたものや子供のオモチャが程々に散らかる、ごく普通の部屋だった。

 玄関を入った瞬間に鼻孔をよぎった僅かな異臭は、外からのものだったらしく、リビングに異臭はなかった。

 「いま、エアコン入れましたから、しばらく涼んでいてくださいね。そうだ、飲物は麦茶で良いですか」

 「麦茶、それはありがたい」

 「あっ、それともビールにしましょうか」

 「まさか、ビールは駄目ですよ、麦茶をお願いします」

 「マミが起きるようでしたら、お尻をポンポン叩いてください。私、チョット父の様子見てきますから」女は俺の返事を待たずに、さっさと部屋を出て行った。

 ……父の様子を見てくる?親父が同居している。様子を見てくると云うからには体調が悪くて寝ている。場合によると介護が必要ということか……

 ……ところで、この部屋は禁煙だろうな?灰皿も見当たらない。ジュースの空き缶を灰皿が使えるのだが、子供の寝ている横で吸うのも気が引ける。しかし手持無沙汰だ……

 俺は初めての家で許されるかどうか別にして、キッチンの換気扇の下に首を突っ込み喫煙を企てた。

 旨い、出来たら椅子に座って吸いたい気分だが、それはマナー違反だろう、否、換気扇の下でも、充分にマナーには違反していた。

 出された麦茶もあらかた飲み干したのに、女が戻ってくる気配はなかった。

 ……嫌に長いな、子供が起きそうもないのがせめての救いだが、親の具合を見てくるだけにしては遅過ぎる。特に咎める気はないけど、この手持ち無沙汰な時間は……

 俺は女が戻ってこないのをいい事に、二本目の煙草に火をつけた。整理整頓された台所とは言えないまでも、一定の炊事をしているにしては、掃除は行き届いていた。

 普通、突然来訪者があった場合、そそくさと、そこいら中の物を押し入れにでも突っ込みたくなるものだが、ありのままの日常があった。

  「すみません!ちょっと買物までしてきたものですから」女が息せき切ってリビングに飛び込んできた。
 つづく

お知らせ:明日帰宅後、今までの「結衣との関係」第1章をまとめてアップしておくので、少しは読みやすくなると思います。
では、おやすみなさい。 かりん


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鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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