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終着駅417


第417章

社長の話をまとめると、私の治療が終わり次第、秘書室長代理の立場だが、次期社長含みの意味合いで、社長と行動を共にして貰いたいと云うことだった。

幾分乱暴な人事行為だが、緊急避難と云うことで、取引先には納得して貰えるだろう。

当面は、自分が代表権のある会長職にとどまるから、どんな問題でも相談に乗れるし、最悪、君が立ち往生したとしても、何時でも復帰できる態勢を維持しているような状態にしておく、そう云うことだから、不安はない筈だと、人ごとのように、旨いことまとめた。

キャリアウーマンとして、業務に携わっていた時点で、この話を突きつけられたら、何らの拘りもなく、社長の提案を受け入れていたかもしれない。

しかし、今の私のポジションは、そんなシンプルなものではなくなっていた。

やらなければならない事柄が、私の中で一気に増えてしまった。

自分が望んだものだけではないが、選択したのは私だった。誰からも強制されずに、自分が選んだ、複雑な立場だった。

先ずは、一児の母になったと云う事実が大きいに違いない。

まだ、未経験の領域なのだが、生きている中で、時間、体力、こころ配りなど、負担がのしかかって来るに違いなかった。

次に、竹村家の遺産の相続人になったことで、それ相当の責任もある、シングルマザー基金の運営への責任もあった。

竹村家の血筋を継承した人間を産んだことで、その子に、竹村家を継がせる責任のようなものも生まれた。

病気の件も、心を重くしていた。

体のことに神経を使ったことがない私は、完治したとしても、かなりの注意を払わざるえなくなる筈だった。

また、老いていくばかりの両親の問題も、いずれは考えなければならなくなる。有紀と手分けする問題だとしても、主に配慮する義務は、私にあると云う自覚があった。

単にキャリアウーマンだけの感覚で生きてきた私とは、隔世の感だった。

想像するだけでも、これだけの役目が追加されている。おそらく、それらに関わるアクシデントが加わるわけだから、容易なことではなかった。

その上に、社員300人の企業の社長業を、上乗せすることは、無謀な試みとしか思えないのは、ごく自然な感覚だと思った。

しかし、速攻で、社長に、そのような大役は到底引き受けられないと、宣言するタイミングだとも思わなかった。

あの社長が、具体的ではない、逆にいえば、心模様を素直に露呈したことを思うと、無碍にする勇気もなかった。

現時点では、保留という結論が妥当なのだが、それなりの企業規模の社長交代には、相当の準備や根回しも必要なわけで、無為な時間を浪費してしまうことも許されなかった。

断る結論ならば、今日からの三週間の間に、社長に話さなければならないと思った。

考えて、状況が変わるものではないのも判っていた。しかし、何か、一人で考え込んでも埒のあかない問題でもあった。

最近は壁に突き当たるたびに、有紀の顔が浮かぶ。

自分でも不思議なくらい、有紀依存症に陥っている自分を感じた。今回は、有紀への依存だけでは不足で、父への依存も加わりそうだった。
つづく

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鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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