第65章-2恋じゃないとして、それじゃあ、何なのよ?単に、弟に対する家族愛でもない。幾分、そのような情感はあるだろうけど、それは何分の一だ。そうなると、漠然とした愛なのだろうか?それも違う感じだった。
情感なんてものに拘るから、考えが纏まらないのだ。そうじゃない、もっと具体的でたしかなものの為に、弟の圭はいるのだと思うこともできる。いや、その理由が、一番説得力がある。
あの感触の良い肌、男臭のない肉体。そんな華奢な男なのに、ペニスの勃起は、まさにオスそのものに変身する。そして、そのオスのシンボルは疲れを知らず、女に快感を与え続けるマシーンのようになる。
猛々しくて、獰猛にさえみえる圭のペニスは、先端に目でもあるように繊細な動きを伴う別人のような生き物だった。
私は、修飾を除いてしまえば、何という事はない、あの怒張を愛していると云う事実は、薄々知っていた。
勿論、それを表向きにも、内々にも認めたくはないのだけれど、あのペニスだから与えてくれる、様々な快感がとても好きだった。
それでは、圭の勃起したペニス以外に、圭の何が魅力的だと云うのだろう。そして、近親相姦と云うリスクを負ったままでも、その継続を望んでいるのは、まさに、その為だけじゃないのか。私は、自分を責め立て、追い立てた。
“…さあ、白状するのよ。アナタが求めているのは、猛々しくて、繊細で、オーガズムを導き出すためにだけ奉仕してくれる勃起したペニスが欲しいだけでしょう?…”
「いや、違うわ。あの優秀なペニスが、圭じゃない男の身体についていたら、そのペニスを欲しいとは思わないわよ」私は自問に、声にして答えた。
“…じゃあ、単に、圭に恋をしているだけじゃないのよ?…”
「いいえ、違うわ。もし、恋だとしたら、私は絶対に嫉妬するわよ。でも、圭が美絵さんであろうと、有紀であろうと、知らない女の人であろうと、嫉妬する気分にはならないもの」
“…そう、だったら、恋しているんじゃなく、愛しているんじゃないの?…”
「う~ん、そこはわからない。そもそも、可愛がっていた弟なんだから、愛はあるわよ。その愛が、家族愛なのも知っているけど、父や母や妹を愛している家族愛とは、どこか違うのよ」
“…何が違うの?…”
「なんだろうね。私にとって、対象となる家族は四人。極論だけど、この四人が突然死んだ時のことを思ってみたのよ」
“…そう、それで、どんな答えが出てきたの?…”
「そう、四人とも、それぞれ失えば、それ相当の悲しみが襲ってくるわね。具体的に、何がなくなるのか、そう圭を除けば、特に何もない。そうね、圭が特別なのは、たしかに、彼の身体が、彼のペニスが、私とって貴重なものだからかも…」
“…やっぱり、圭が特別なのは、その肉体であり、そのペニスなんじゃないの?もう充分よ、素直に、それを認めなさいよ…”
「そうよ、わかったわ、認めるはよ。私が欲しているのは、圭の肉体とペニスだってことをね。でも、仮によ、圭と同じ肉体とペニスを持っている男がいたとして、多分、その男に、私が圭を失いたくないほど思い詰めることは絶対にないと思うわ」
私は、このような自問自答を繰り返し繰り返し、夕食も食べずに考え込んでいた。
でも、そのお陰かもしれないが、圭の肉体とペニスが大切なわけで、そこから圭、肉体、ペニスのどれを抜いても、欲しいものではないことを確信的に理解した。
気がつくと、着信メールを知らせる点滅の光が闇に包まれた、ダイニングのテーブルで冷たい光を放っていた。
つづく
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