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第110章
翌日、敦美と会ったが穏やかな時間の中にいた。稚拙ではあったが、敦美の作った手料理を肴にビールを飲んでいた。
あれほど精力絶倫を思わせた敦美の性欲は消え去り、俺は、単なる話し相手に落ちぶれていた。
無論、そのような関係に異存はないのだが、あまりにも求められないと、どこか不安がないわけではなかった。
他に男が出来たのなら、それはそれで構わない。
少なくとも、資産運用を請負っただけの関係で充分だったが、こうして酒を酌み交わして、しどけない寝姿を見せる女に、他の男の臭いはなかった。
「そういえば、以前監禁されていた時、差し出せと言っていたノートってのは、どうなったの?」俺は肉づきのいい敦美の太腿を撫ぜながら聞いてみた。
「さあ、知らない」
「押収されたままってことかな」
「だって、あれって、コンドームやアダルトグッズなんかの顧客名簿だもの、殺人に関係はないでしょうし、片山の商売柄、当然のノートだったんじゃないのかな?」
「さあどうかな。現物を見ていないから、何とも言えないけどさ、もう少しヤバイものに関係した顧客リストだったかもしれないけどね」
「そうね、あのノートはどこにあるのかしら?」
「わからないけど、君が必要とするモノではないのは確かだからね」
「貴方なら必要なものだったわけ?」
「いや、俺にも必要なモノではないよ。ただ、ある種の人々にとっては、相当重要なノートだったかもしれないと思ってね」
「そういうことか。でも、アイツらに付き纏わられたくなかったから、探す気にもなれなかったし」
「それで問題ないよ。いや、逆にそれが正解かもしれない……」
「ねぇ、少しムラムラしてきたけど、大丈夫?」
「あぁ大丈夫だけど」
「だったら、片山のこと忘れさせてよ」
敦美の肉厚な身体が熱を帯びて俺の愛撫を待っていた。
つづく