第51章二度目の勃起は疲れを忘れたように縦横に動いた。敦美に潮吹きによるオーガズム以上のオーガズムを与えたい一心で、俺は、敦美の中に居座った。
しかし、そのすべてが俺の思い込みだった。
屹立状態のペニスに、あらゆる努力を命じたが、敦美に潮吹きの時に見せた恍惚の顔をさせることは出来なかった。
達成感のない行為に疲れ果て、俺は身体も心もベッドの上に投げ捨てた。
「怒ったの?」
「まさか。単に疲れたから、今日は、もう良いかな、そういう感じ……」
「私のこと嫌にならないでね」
「大丈夫だよ。でも、君が考えるほど俺は若くないから、こっちの方はお手柔らかにね」
「そうなの。一回目だって良かったし、二回目のアレなんて鉄棒みたいになってたわ」
「それとこれとは違うんだよね。良く判らないけど、アレは勝手に勃ってしまうシロモノだからさ。俺の体力と無関係な動きをするんだよね」
「へえ、困った生き物ね」
「そう、若い頃は、自己制御出来たんだけどね、俺くらいの歳になると、持ち主の言うことを聞かなくなる。必要な時に勃たなかったり、不必要な時に勃ッたりするからね」
「でも、今日は元気だったわ。今日って、不必要な日じゃないよね」
「今日は必要な日に、ちゃんと勃ったね。二度目は強制的だったけどさ」
「私ってさ、あの時の表情を上手く表現できないの。だから、気持ちが良いのに、気持ちが良くないみたいに誤解されて、何度か失恋したことがあるの。随分、セックス沢山したけど、自己表現が下手なのよね……」
俺は、敦美の話を聞きながら、初めて会った時の、敦美の嬌態はなかった事になるのかと訝った。
いや、あの時の自分は幻影であり、敦美の中では、あずかり知らぬ事として消化されているのだろう。敢えて聞き質すことでもなかった。
敦美は執拗に泊まって欲しいと懇願されたが、仕事の邪魔をするような女は嫌いだし、つき合いを続けることは難しくなる、と多少不機嫌を装って話すと、仕事は大切よねと、同調することで、自分の要求ははじめからなかったような顔つきになっていた。
最後には、俺が何度か電話を入れることで、手打ちになった。まあ、家出してきた敦美としては、絶大な保護者を求めているのだから、その要求にくらい応じてやるのが人の縁だった。
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