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第141章
寿美は、魔性な身体になっていた。
乾ききっていた大地が与えられた水を、いつまでも貪欲に飲み続けている大地に思えた。
なにも、精液を飲み続けているわけではないが、快感と云う水を、与えられるまま、いつまでも満腹することなく飲み続けていた。
肉体がへとへとになっているのに、膣が、子宮が、それを受けつけた。叫ぶ声が嗄れているのが判るほどだ。
階下の高飛車な女主人が耳を塞ぐほどの快感を伝えていた寿美の声がドスの利いた低音に変っていた。
男が射精の寸前に出すような声で、俺の一突き一突きに呼応して、しゃがれた声を出していた。
何度目になるのか判らないが、上になっていた寿美の身体が崩れ、布団の上に崩れ落ちた。
もう、ビールで喉を潤す気力すら薄れて、失神を味わっているようだった。
失神しているのだから、その感覚を味わうことは出来ないだろうが、おそらく、崩れ落ちる寸前の感覚は覚えているに違いなかった。
細い背中がゆっくりと、生きていることを知らせた。
汗で光る寿美の背内に指を這わせると、一瞬、快感が呼び戻されたが、つかの間の快感が、次の快感を呼び覚まし、失神が交錯した。
汗の引いた寿美の身体は冷えていた。
俺は、フェイスタオルで、寿美の身体の汗を拭いた。少し粗目のタオルが、肌を擦るたびに、寿美は快感に似た声を小さく出したが、深い快感ではなかったし、抗うこともなく、身体のすべてで、そのタオルの感触を受けつけた。
寿美の局部には、まだ余力が残っていると知らせる滑りがあった。
寿美の粘膜が、まだ許容に達していないしるしだったが、これから、夜中まで働く寿美に余力を残す気遣いがあっても良いのだと、陰茎に終わりを告げた。
寿美はそのまま一時間近く深く眠りついていた。
身支度をして、店に向かわなければならないギリギリまで、寝かせておくのが、最近のふたりの流儀だった。
寿美を起こす方法も決まっていた。
次の機会まで、快感を封じ込めておくための儀式ではないが、M字に開かせた寿美の中心に、二本の指を挿し込み、子宮頚を抑え込んだ。
ここで、動きだすことは、セックスのはじまりを伝えてしまうのだから、動かないことが必須だった。
その儀式が成功した時は、寿美は、次の機会まで、その性欲を子宮内に温存できると主張していた。
俺は、その日も、その儀式を忠実に再現し、次の機会を待つことにした。
「そういえば、片山ノートを見つけたみたいよ」
「愛人が持っていたってこと?」
「違うみたい。どこからか送られてきたようなの。あれじゃないの、片山の仕事仲間が流してきたんじゃないかって、兄は言っていたけど、差出人は不明のままみたい」
「その送られてきたものが、片山ノートの中身だって、よく判ったね」
「一時期だけど兄が、片山と一緒に動いてた時のデータに似てるからって……」
「それで、幾つかに連絡を入れてみたら、ビンゴ!ってことなのかな」
「そうそう、そのビンゴ!だったわけよ」
「だったら、敦美さんの第三の愛人探しは不要なわけだ」
「そうね、不要だけど……、しばらくは、彼女に愛人探しは継続して欲しいところね」
「どうして?」
「何だろう、少しは苦しんでいて欲しいからかな……」
俺は、寿美の考えを承諾した。理由は敢えて聞かなかった。どんな理由にせよ、寿美が、敦美をお役御免にしたくない、何かがあるのだろと、疑念を打ち消した。
つづく