第101章敦美の拉致監禁騒ぎが嘘のような日々が続いた。
中井のマンションへの引っ越しも無事済み、敦美と連れ立って、家具調度品を買い求める日々は、チョッとした新婚気分を味合わせてくれていた。
寿美との関係や、その他の女との関係も、それなりのローテションを確立させ、安定した日々が続いていた。
敦美の性欲は、片山という男の存在から逃れるような意味合いもあったのか、出会った頃の欲情したメスの姿は、嘘のように消えていた。
敦美は、週に数回帰宅する夫の世話を甲斐甲斐しくすることに、多くの歓びを配分していた。
当初の印象とは、まったく異なる敦美と云う女がいた。
俺は、当然、その事実を知っていたが、都合の良い変化なわけだから、特別、その変化を話題にすることはなかった。
無論、その流れをとめるような話題に踏み込む敦美でもなかった。
これで良い、俺はその環境に満足していた。
時には、添い寝するだけで、敦美の性欲は満足するのだから、俺にとっては、休息の時間になることもあった。
絶対的な勃起を求めてくるのは、意外にも寿美の方だった。
新大久保に週一回買い出しに出てくる日は、寿美にとって性欲を満足させる俺を求めてくる日でもあった。
出会った頃の寿美は、性欲を表に出すような女ではなかった。
どちらかと言えば、性欲よりも神秘のようなものを求めている印象だったが、あれが演技だと知るための時間は、それ程を要しなかった。
今も、俺に組み敷かれ、一週間前よりも感じが違うと口走る女が、そこにいた。
「すごく気持ちいいの。この間よりも、ずっと好いの……」
「どんどん好くなるみたいだね」
「そうなの、あんな棒に、私は翻弄されているのよね」
「まぁたしかに。あんな棒と言ってしまえば、あんなものだけどね。でも、あんな棒になるためには、それなりの訓練も必要だし、制御も必要なんだよね」
「どれ程の他流試合をしてきたのかしら。いえ、今でも訓練は実行中と云うことなのかしら」
「どうかな。その答えを、本気で求めているのかな」
「そうね、聞きたくないと思うかな……」
「そう願いたいね。君に会うまでにも、俺の人生はあったわけだから、パソコンゲームじゃないから、リセットってわけにはいかないからね」
「そうね、たしかにそうよね。私にも、貴方にも、出会う前の人生が、数珠つなぎになっているんですものね」
「そうなんだよ。生きているってことは、本気で生きようとすればするほどに、厄介ないろんなものを背負ってしまうから……」
「そうね。貴方は、女性関係を背負っているだろうし、私は、家族関係という、切るに切れない血の厄介を抱えている……」
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