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終着駅26-2


第26章-2

「圭には話したの?」

「話していないわ。姉さんと圭の関係だから、ねえさんに話せば、圭にも通じるだろうけど、それはどっちでも良いの」

有紀がさりげなく言い放った言葉に、私は戸惑った。

“姉さんと圭の関係だから”このフレーズの指し示している意味はどこまでの関係をさしているのだろう。

親分子分の姉弟の関係なのか、それとも、もっと親密な関係にまで言及しているのか、私は戸惑った。

半分目を閉じていたので、表情を読み取られる不安はなかったが、「その関係って、どういう意味?」と尋ねる勇気も、もちろんなかった。

「なんだか、私半分寝ていたから、有紀の話って、もう一度チャンと聞かせて貰わないとね。そんなホモな男との見せかけの夫婦を演じるために、有紀が人身御供になるって話を、ああそうなのって聞いてはいられないわよ。明日とか明後日とか、出来るだけ早く、チャンと話を聞かせてよ」

「チャンとって言っても、それだけなんだけどね」

「違うよ。とめるとか、そういうことじゃないけど、それで問題や反省が後々起きないのか、少し考える時間は必要よ。劇団命は知っているけど、そのことによるリスクと云うか、悲劇のようなもの、事前に考えておいた方が絶対にいいよ。そういう意味よ」

「まあね。何となくの不安はあるんだけど、それがどんな不安なのか、自分では整理がつかないしね。姉さんに考えて貰えれば助かるわ」

「夏休みの宿題を手伝うのとはわけが違うけど、たまには、有紀の手伝いするのも悪くはないからね」私は、そうして、当面の危機を逃れた。

しかし、その逃避は、次の瞬間に打ち砕かれた。有紀は、明後日の土曜に近所のファミレスで会う約束をして部屋から出ていく寸前に、衝撃的情報を言葉にした。

「あのさ、美絵さんがね、圭と姉さんのこと疑っているみたいなんだよね。だから、そのことも話さないとね。じゃあ、おやすみなさい」有紀が手りゅう弾を投げつけて、その扉を固く閉じた。

……有紀が私と圭の関係を知っている?いやいや、美絵さんが、私と圭の関係を知っている……

……どういうことなの?美絵と有紀が、私と圭、二人の関係を知っていて、何事もないように平穏にことが進行しているわけ?それを知ったうえで、美絵さんは、圭と結婚したわけ?そんな馬鹿なことはあり得ない。想像妊娠のように、思い込みと推理の行き着く先が、そういう疑惑になったに違いない。それを、自分の胸にしまい込むことの出来なかった美絵さんが、私や母さんには言えないので、有紀に言ったという推測は成り立つ。不自然だけど、そういうことはゼロではない。それにしても……
つづく

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鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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