第13章―2
私は、圭の罠にまんまと嵌ってしまったのかと、ふと思った。しかし、その疑念以上に、圭の連続的に繰り出される愛撫に、思わず“あえぎ”を連発していた。そして、隠すことが不可能な、圭と私の性器がぶつかり合う淫靡な音が、部屋を満たした。
「姉さん、気持ちイイの?」圭が上擦った声で尋ねた。
「イイよ、だけど…」私は、初めて味わう、亀頭だけの出し入れと云う性技に翻弄されながらも、幾分の“しかし”も語ろうとした。
「どうかしたの?」圭は素朴に聞き返した。
「アンタ、こんなやり方、どこで覚えたの?」口調に少し剣があったかもしれなかったが、思わず口から吐き出された。
「こういうのダメなの?」圭はたじろいだ。
「そうじゃなくて、変わった方法知ってるのが、チョットね」
「そういうことか。だってさ、俺、女の人の中に入ったの初めてだから、知ってるなんてないよ。何となく、こういう風にしてみたかっただけだよ」
「そうなんだ、だったら、アンタ天才かも?」私はたぶん、厭らしい笑みを、口許に浮かべたに違いなかった。
「それって褒めてるの?」
「そう、アンタがあみ出した新技法ね。少なくとも、私の経験では初めてだから」
「そうなんだ、俺自信が出てきたよ。涼ねえさんに褒められるなんて、驚異的だよ。もしかして、生まれて初めて褒められた気がする」
「いずれにしても、これは良いわよ、止まらずに続けて」私は、はしたなく要求した。
圭の動きが、自信満々になり、重ねて性感を追いつめた。喘ぎがとまらない。間歇的に悲鳴のような音も加わり、私も興奮したし、圭は尚のこと興奮しているようだった。
「圭!堪らないわ、奥まで突き刺して!」無言で圭は、私の自分を失った希望に応じた。さもオーガズムを出迎えようとするように、子宮は下がり、その頸管に、容赦なく亀頭が食い込んだ。
「うっ!」私は呻いた。
「姉さん、痛い?」圭の腰が緩んだ。
「違う。なにか深いものが来ているの。構わず、押さえつけて」私は、その先に、なにがあるのか分からなかった。ただ、未知の世界に入り込んでしまうと云う怖さはあったが、それが、痛いとか、気持ちいいと云う単純ではない、性感の深みだと思っていた。
圭は、私の望みに忠実だった。彼自身の体力も限界が来ている感じもした。しかし、私の子宮が安易な妥協を許さなかった。
私は、声を失い、唸り声だけを発していた。修業と云う言葉が頭に浮かんだ。馬鹿げて聞こえるだろうが、その時の私は修験者だった。
圭の背中に回した両腕の指先に力がこもった。ただ、掴むだけでは物足りなく、気がつくと、爪を立てていた。私は、我に返り、指先を背中から外した。しかし、両腕を宙に舞わせているのは心もとなかった。やはり、圭の身体を掴んでおきたかった。
より深く、圭が入ってくれば良いのにと、自らも、怒張のペニスを呑み込もうとする動きだった。自分でも驚くほど、性感に貪欲になっていた。なぜ此処まで貪欲になれるのか信じられなかったが、兎に角、みだらでありたい。圭に、私の本性を知られても構わない。そういう、開き直りが、殆どを占めていた。
つづく
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