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終着駅71 


第71章

『なに!圭、今なんて言ったの!』

『美絵がさ、死んでるんだよ。どうしよう?』

『救急車呼んだの?』

『いや、まだ呼んでない』

『呼びなさいよ、助かるかもしれないでしょう!呼ばないなんて変じゃないの!』

『頭がおかしくなってるんだ!姉さん助けてくれよ』圭は半泣き状態で、電話で訴えていた。

『遺書はあるの?』

『ある』

『読んだの?』

『なんて書いてあるのよ』

『辛くなったので死にます。藍のことよろしくお願いします。』

『それだけなの?』

『それだけ、理由は“辛い”だけ…』

『その遺書はそのままの方が良いわね。兎に角、救急車を呼ぶの、それから、美絵さんの実家に電話するの、分った、電話を切って119番。それから美絵さんの実家よ』

幾分落ち着きを取り戻した圭が、手順を間違うことはないと思った。ただ、圭の今夜と云うか、その日の足取りは刑事に聞かれるに違いなかった。そうだ、正直に私の家にきて、色々相談事をしていたと話すように伝えようと携帯を鳴らしたが話し中だった。

漸く圭に繋がった。先ほどよりも圭の声音は落ち着いていた。

『いい、私のマンションにいたと正直に言うのよ。弟が姉に、愚痴を言いに来た、相談事を持ってきた、そういうことは沢山あるんだから。良いわね、嘘は極力つかないことよ』

私は何度も念を押した。圭も、その理由は理解したようだった。

……これで良い。当面はこれで疑われることもない。ただ、美絵さんが、幾つも遺書を残している可能性はあった。現場になくても、実家に手紙が送られているかもしれないのだから……

全然安心なんかじゃない。でも、美絵さんが、他の誰かに、遺書らしきものを送っていたとして、それは妄想だと強弁することは可能だった。まさか、私と肉体関係があった客観的事実の証拠を並べることなど、出来る筈がない。
つづく

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プロフィール

鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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