第34章敦美から、その夜、メールは入らなかった。こちらから、催促すべき内容のメールではないので、待つ以外に手はなかった。
腹を立てる内容ではない。
家庭の事情でメールを書けなくなったか、自分なりに考えている最中なのだろう。
思い返すと、敦美という女の正体で、知っていることは、亭主がいることと、シャブ中毒になっていることだけで、それ以外の彼女の境遇を、何ひとつ知らなかった。
専業主婦なのか、子供がいるのかも知らないのだ。
その敦美という女のオ×ンコに、黒く野太い電動バイブを突っ込んだのは、誰あろう、俺だった。
都会とネット社会がセットになれば、こういうものなのだろうか。それにしても、敦美の場合、特別だった。
端から、”ヤロウよ”という言葉が羅列されていた。
逆に考えると、そんな奇妙な言葉を投げかけるだけの相手と、どうして俺は不用意に会ったのか、その根拠さえ曖昧だった。
単純に、助平だったからと指摘されれば、たしかに、決め手のひとつだという事は認める。しかし、それだけで、出あうことに決めたわけではない。
たしか、俺は、あの女を、メールの文章だけで、”イカセタ”。それが、俺の書き手としての自尊心を擽ったからだった。
既にメール・セックスで、旧知の仲になっていると錯覚してしまったのだ。そして、あんなに激しく”イク”女に好奇心を持ったからだったような気がする。
既視感の罠に嵌ったのだ。
実際には、見たことも、見かけたこともない、女と出会い、ホテルで、黒棒を、その女のオ×ンコに突き刺し、かき混ぜた。
逆に言うなら、見知らぬ初めての男に、オマンコを晒し、歓喜の声を上げたのが、敦美だった。
このような経験を重ねてしまうと、男が抱いている、女の秘部への価値観が摩耗していく。
たしかに、多くの経験を通じて、その価値観は下降気味だった。
考えてみれば、女にとって、生まれながらに所有していた肉体の一部に過ぎないのがオ×ンコなのだから、男以上の価値を、そこに見いだして、特別視するとは考えにくい。
しかし、世間は、21世紀になっても、そこにまつわるスキャンダルを、日々の話題にして盛り上がる。
スキャンダルの多くは、金銭の場合もあるが、多くは、ヴァギナとペニスの結合が介在している。
仮に、美しい女と見栄えの良い男の恋愛であっても、そのパーツの結合抜きに、プラトニックなものとして捉えることは稀である。
俺は、そんなことを思い、おそらく、どこか人間の歴史の中で、肉体のパーツに、特別の意味合いを、通念的に刷り込んだという勝手な解釈で折り合いをつけた。
つづく
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