第33章“このあいだはゴメンナサイ。また会って欲しいけど、もう無理かな?”
“私なりに、どうして、アイツが薬なんか飲ませる気になったのか、考えてみたの。でも、やっぱり分んなかった”
“やりたいよ!明日も会えないかな?会ってくれたら、10万円あげるんだけど”
俺は、敦美からの3通のメールを読み返してみた。
メールが届いていると気づいた時には、こちらがムカッときていたので、かなり狂っている印象があったが、冷静になってから読み返してみると、それ程、狂ったメールではなかった。
……俺の想像と云うか、妄想が、真実であるかどうか、確認してみる価値はありそうだ。会う、会わないは、それからでも遅くはない。そうだよな……
……何と返事をしようか?……
……誤解を怖れずに書くとしたら、先ずは、敦美が、なぜ金に困っていないか、それを尋ねるべきだ。もし、敦美が金持ちでない限り、そこから先の、俺の想像は頓挫するのだから……
“たった一回のセックスの相手するだけで、男に10万円渡すということだけど、そんな浪費しても、君は大丈夫なの?”
俺の1通目のメールを送信した。
“変事ありがとう。大丈夫だよ!”
早速返事が来たが、短文過ぎて、内容を吟味するメールではなかった。もう少し、誘導尋問的に話しを進める必要がありそうだった。
“俺と会うのは、あと1回だけで良いのかな?もし、何度も会うことになったら、100万や200万、あっという間に消えちゃうけど、それでも大丈夫なの?”
このメールの内容次第で、敦美と云う女の懐具合の確認は可能だと思った。何でもない、大丈夫と云う返事が戻ってきた場合は、女は数百万円を気にしないような金を持っているか、常に、大金を稼ぎだす、何かを持っていることになる。
次のメールも、10分くらいで着信した。
“私さ、見た目よりも金持ちなんだよ。だから、私の相手する限り、アンタも金には苦労しないってことよ。何も、お金にもの言わせて威張る気はないから安心して。この間みたいに、虐めて貰えれば、それで良いの”
……敦美が、相当の金持ちなのは判った。女が自由意志で使える金だろうから、亭主の稼ぎから出てくる金ではないのだろう。
問題は、その金の由来だ。
10億円の強盗の話は、最近、聞いたことがないから、盗んだものではないだろう。
かと言って、あの女が、自力で、それだけの金を稼ぎだしたと云うのも、考えにくい……
“そうなのか、それは凄いね、驚いたよ。でも、そのお金が犯罪絡みだったりすると、俺も、共犯者にされそうだから、不用意に、君の誘いに乗るのは、どうかな?と思うよ”
仮に、犯罪によって得た金であるなら、断るだけだ。
現実に、犯罪で稼いだと云う事実を知らない限り、俺は、善意の第三者で済む。
しかし、知っていると、その分け前を貰うも同然の行為に、手を染めることは出来ない。そう言って、話を、此処までと云う流れで切ってしまう積りだった。
そのメールを送信したところで、敦美からのメールが途絶えた。一時間近く待ってみたが、メールはなかった。
つづく
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