第49章 有紀と約束の土曜日が来た。圭が選んだホテルは、国立にあった。車では行きにくいホテルをなぜ?と思ったが、圭なりの考えがあるのだろうから、彼に任せることにした。
私と有紀は、かなりナーバスになって、圭と待ち合わせた北口のロータリーに向かった。
「姉さん、本当に大丈夫なの?」
「なにが?」
「なにもかもよ」
「なにもかも、そう、たぶん大丈夫だと思う」
「だと思うわけ?」
「断定はできないけど、圭が貴女も私も、裏切らない筈よ。信じるしかないでしょう、此処まで来ちゃったんだから」
「でも、姉さん、本当は怒っているんじゃないの?」
「そうね、幾分はね。でも。色々と冷静に考えていくうちに、有紀が仲間になるのも悪くないなって思うようになったのよ」
「どういうこと?」
「色々だから、説明なんて出来ないよ。今日は、ひたすらピクニックのつもりで、兄弟姉妹が集えば良いだけよ。ピクニックで、おにぎりをほお張る無邪気な兄弟姉妹、そう考えなよ」
「でも、私は圭と初めてだし……」
「ほかの男と、死ぬほど違うわけじゃないよ。ペニスは一本だし、形状は良好、景色も抜群、パートナーへの気遣いも充分。ただ、一時のアバンチュールをピクニック気分で愉しめばいいだけよ。なによ、今になって」
私は、有紀が不安な顔をする度に、勇気を与えられ、不安など、どこかに消え去っている自分を感じた。
圭の車が、静かに二人の待つロータリーに滑り込み、横づけされた。
圭は無言だったが、軽く手を上げ、二人を後部座席にエスコートした。そこには、名前がよくわからない花がぎっしり詰まったブーケ風の花束がふたつ置かれていた。
「喧嘩せずに、お好きな方を選んでください。ささやかな、姉さんたちへの、僕からのご挨拶プレゼント」
圭は、既に車を国立に向けて走らせながら、軽やかに声をかけて来た。
つづく
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