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第111章
敦美の坩堝は充分に濡れていた。
いつものように、子宮頚を突くような動きに感応した肉体が、俺の身体の下にあった。
しかし、軽いオーガズムに達して、何度か身体を牽くつかせたが、そのひくつきは軽度なものだった。
「どうしたのかな?それほど感じなくなってるの?」俺はストレートに聞いてみた。
「やっぱり分っちゃうよね、イキ切れてないのよね」
「何か原因があるのかな?」
「特別なにもないから困るの……」
「なるほどね、幾つか考えられるけど、一番可能性があるのが、旦那からのプレッシャーが、特殊な性欲を生みだしていた可能性だよね」
「そういうことってあるの?」
「確かなことは言えないけど、あるような気がするけどね。一定の緊張状態から開放されたい欲望が、性欲になって表れたってことはあるだろうね」
「そうか、そういえば、結婚する前は、あまり性欲の強い方じゃなかったかも?」
「たぶん、嫉妬妄想しない人だった」
「他人に興味が湧かない人間なのよ。もっとも自分への興味もたいしたことないけど……」
「現代病だね。いずれにしても、元に戻っただけだから、困るって程のものでもないよ」
俺は、敦美の性欲が少ないこと事態は好ましい現象であって、特に異議申し立てすることではなかった。
しかし、あからさまに、敦美の淡白さを喜ぶ態度を示すのも、ためらわれた。
「もう一つ考えられるのよ」
「どういうことかな?」
「あのさ、ここのマンション、防音が良くないみたいで、お隣さんのエッチがまる聞こえなの。それも影響しているのかもしれないのよ?」
「そんなに聞こえるの?」
「そうなの。どのような体位で、どのようなことをして、女の人がどんな声を出して、男の人が色々言って、二人で一緒とか馬鹿なこと言うのまで聞こえてくるんだから、こちらのも聞こえているってことだと思うとね、それも影響していると思うのね……」
「そうかぁ、一度聞いてみたいもんだね」俺は、冗談交じりに話した。
「今夜泊まってみてよ。金曜日は二回戦するはずだから、たっぷりと聞けるわ。ねっ、今夜はお泊りにしよう」珍しく敦美が甘えてきた。
つづく