第63章勃起形が一応完成した。
そしてはじめて、寿美は、それを口に咥えた。特に何をするわけでもない寿美の口中のなかに埋没した勃起は物足りなさを感じていた。
しかし、その物足りなさが間違いだと云うことを、直ぐに思い知らされた。動かぬ口のなかに、多くの虫が棲んでいるような感覚を感じはじめた。
巧妙な舌の動きによるものだろうと思ったが、必ずしも、寿美が舌を縦横に動かしている形跡はなかった。
やはり、口に含んでいる他の生き物が蠢いて亀頭部を舐めまわしているようだった。
まさか、そんなことはあり得ない。蛆虫を口中に飼っている女というのはおぞましかった。
身の毛がよだつ想像だが、ここで慌てて飛びあがるわけにはいかなかった。寿美が、自分の口の中に飼っている蛆虫たちに餌として、俺の亀頭が吸い込まれた図は、おどろおどろしいものだったが、いまさら小心に腰を引くわけにもいかなかった。
「驚かないの?」寿美が、蛆虫らの攻撃を小休止させるように唇をあげ、俺を覗き込んだ。
「驚いてるよ。あなたの口の中には何匹の虫が飼われているのかと思ったさ。でも、ここでビビったのでは男が廃る、そんな感じだよ」
「偉いのね。男の意地の為なら、虫に食べられても構わないってことね?」
「いや、流石に噛まれたら逃げ出すつもりだったけどね、今のところ這いずり回られているだけだからね。何とか耐えられる範囲かな」
「気持ち良くはないの?」
「慣れたら、絶対に気持ちいいだろうね。ただ、初めての体験と云う時点では、愉しんでいる余裕がないってことかな」
「正直なのね。私の口の中に蛆虫なんか棲んでいないわよ。私は何ひとつ努力はしていない現象なのよ。だから、テクニックでもなんでもないの……」
「寿美さんの口の中、いや、唾液に独特の刺激があるとでもいうことかな?」
「おそらく、そうだと思うの。まだ貴方とわたしキスしてないわよね。多分、キスすると、少し理解出来るかもしれないわ」
寿美の顔が近づいてきた。生まれつき、唾液に毒物が含まれている人間がいる筈もないのだから怖れることはなかった。しかし、唇にふれ、舌に触れる瞬間、心臓は高鳴った。
しかし、ここで逃げ出す行為は、寿美を充分に傷つけるに違いなかった。まさか死に至ると云うこともないだろうと、俺は思い切って舌を挿しいれた。
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