第35章敦美から返信が来たのは、午前2時を過ぎていた。敦美のメールは、そろそろ寝ようかという時間に着信することが多かったので、特に、驚きはなかった。
“主人が寝たので、ようやくメールが出来ます。あなたの心配は当然だと思いますけど、大丈夫です。父の遺産です。かなりの額ですから、一生無駄遣い出来ると思います。ただ、このままだと、使い切る前に、殺されてしまうのかもしれません。ここから逃げ出すのが、一番良いのでしょうけど、超世間知らずなので、どうしたら良いのか、全然わからないの。私は、どうしたら良いのか、知恵があったら、教えて下さい。お願いします、凄く恐いの”
文面に、ラリッている部分は見られなかった。痩せ薬を飲んだフリをして、捨てているのだろうか。
だとしたら、軽いか重いか別にして、禁断症状らしきものが出ているはずだが、その感じも、文面からは読み取れない。
いずれにしても、自分が危機的状況にいると気づいたことは良い傾向だった。俺の一番の疑問にたいしても、一番納得出来る“遺産”だと答えている。
まだ、敦美は、“シャブ中”と云う水準に達していないのかもしれなかった。
ただ、シャブが含まれている痩せ薬を飲むことで、あのような爆弾女に変貌するだろうか。その辺は、今ひとつ、ハッキリしなかった。
痩せ薬でラリッている時の敦美、薬を飲まずに苛立っている時の敦美。そのどちらも、本当の彼女の姿ではないだろう。
どちらの女と話しをするのが適切なのか、そこが問題だった。
薬を飲んでいない時の敦美は知らないが、陰鬱で、苛立ちを抱え、不機嫌になっているに違いなかった。
薬を飲んでいる敦美は、敦美のすべてが、オ×ンコに凝縮されて、躁状態で明るく勇気がある。
状況から言うなら、後者の方が前向きな行動を促すには好条件だ。
しかし、その場合は、敦美の尽きることない性欲を鎮静化する労力を惜しみなく提供しないと、目的にまで到達できないだろう。
しかし、とりつく島もないよりは、遥かにマシな選択だった。
十二分に性欲を満たした敦美は、躁と鬱の中間あたりに居るのだろうが、鬱状態に入る前の一時間くらいは、真っ当な判断力を持っている可能性があった。
俺は、その一時間に掛けることにした。
ただ、そのような状況になる前に、敦美の頭に、幾つかのサゼッションをインプットしておく方が、説得する可能性は高まると考えた。
相当長い文面になりそうだが、俺は腹を決めて、敦美に長文のメールを送ることにした。
つづく
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