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終着駅428


第428章

「済まんかったね。勝手に先走り人事に手をつけちまって」

「本当ですよ。社内的雰囲気もあまり好感を持って受けとめていない感じですから・・・・・・」

「そうなのか。しかし、どうしてかな?」

「さあ、具体的な何かがあるわけではなく、皆の不安感じゃないのでしょうか?」

「不安感?どういうことかね?」

「ですから、具体的ではない不安な気持ちです」

「どうも理解出来ないんだがね、何か滝沢さんの解釈はあるんなら、教えて欲しいんだが・・・・・・」

「それは、一つも確かめたわけではありませんので、推測ですけど、一つは、秘書室長の取締役再任がないと云うメッセージが、自他ともに伝わったことです。判官びいきとでも言うのでしょうか、同情が生まれると同時に、押しのけるのは、滝沢涼だという、間違ってはいますけど、かなりの人が思いこんでしまった。そう云うことが疑われます」

「そりゃあお門違いだろう。君には何の関係もない人事だからな」

「ええ、その通りです。でも、事実を知らない人が、どのような憶測を働かすのも勝手ですから・・・・・・」

「ふ~ん、勝手か・・・・・・。根回しがなさ過ぎた、そう云うことかな?」

「そうとも言えないでしょうね。当社の場合、こういう唐突な人事は、社長の十八番でしたから、社員は、社長に対して、どうこう考えてはいないと思います。実例として、幾つかの異例の人事は全部成功していますから。ただ、その成功にの裏には、抜擢された人たちが、その異例な人事に答えを出して、結果的に、成功に導いた功績が隠れているのだと思うんですよ・・・・・・」

「それは、その通りだ。俺の力だけで、そのようなことになったとは思っておらんよ。だから、奇妙な圧力になるとまずいんだが、滝沢君にも頑張ってほしいということだけなんだけどな・・・・・・」

「社長は根っからの起業家であり、根っからの経営者だということです。無論、それだから、社員全員がついてくるわけです。それは、この会社に入った時、そこには、既に社長という存在があったわけです。そして、実力もあったから、全員異存なくついてきてるわけです。ここまで、社長、了解ですよね?」

「あぁ、異存ないね」

「で、ここからが肝心なんですけど、社員と云うもの、人事に関してはトコロテンのような発想になります。取締りの秘書室長の代わりに、私が座る。つまり、取締役に就任するな、と発想してしまいます。そうなると、残された役員の中で、社長の穴を埋めるのは、年齢的に四十代を想定します。うちの役員は困ったことに、皆さん、社長の年代に近い人が多い。四年もすると、滝沢さんは四十代だ。そう云う短絡的答えに行きつくものです」

「いいじゃないんか、判られた方が」

「それは、社長のように経営に強いモチベーションがあれば、それも、選択の一つだと思います。でもですよ、私は、単に新卒で当社に就職しただけの人間です。与えられた仕事に情熱を燃やせることは可能でした。そこには、具体的目的があり、起点と終着点がある仕事です。でも、経営って、企業が倒産でもしない限り、終着点が見えないポジションですよね。そこが重大なポイントなのです」

「なんだか、話がわからなくなってきたね。初めは、今後の私の立場がやりにくくなるような話しだったんじゃないのか?それが、どこで変わったのか気づかなかったが、経営になんか興味がない、そんな話になってきているんだがな」

社長は、ちゃんと私の話を聞いていたようだ。無意識に、話の方向が変わったことに気づいた。

私も、話しているうちに、なんだか、話の趣旨が違ってきたと思ったが、このままの成り行きで、社長の構想を台無しにしてしまおうとしたのだが、あっさりと見破られら。

「しかし、君の言わんとすることは判っているつもりだよ。いささか荒唐無稽な人事構想なのは承知している。君が困るということも想定内だ。
たしかに、映子じゃないが、あまりにも唐突なこと言われて、困るのは涼さんだじゃないのって、こっぴどく言われたからね・・・・・・。でも、私は、長年の勘で、君しかいないと踏んでいる。ただ、稚拙過ぎるきらいはあった。
だから、大幅にプロセスを変えようと考えている。しかし、最終的な終着駅は、滝沢涼の社長就任だ。
そうしないと、竹村氏が残した莫大な株券も紙屑になる。
大人に世界の話になるが、銀行が天下りポストを、暗に要求して来たもんだから、咄嗟に、そのポストを埋めてしまったと云う事情があるだ。無借金経営なのだから、むげに断ることも出来るが、要らぬ摩擦起こすのも大人げないからね……」

そんなやり取りが続いたが、特に三山社長を糾弾するつもりもなかったので、私も、考えてはみます、とモラトリアムに持ち込んだ。

これ以上、社長と将来的人事について、議論するのも時期尚早と、私は次の要件があると言って、会社から脱出した。
つづく

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鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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