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終着駅100 動画には、復讐心が含まれている


第100章

あれは、1年以上前のことだった。圭のパソコンの中で鬼塚啓二に出合い、鬼塚みやこを連想した。その時は、圭が自発的に、その名前を思いついたのだと思いこんだけど、有紀の推理も魅力的だった。

あの時は、仮に、差出人不明の手紙の主が、圭であっても、実害はないのだから、どうでもいいことの収納庫にしまい込んだのだけど、虫干しの必要がありそうだった。

いまさら、どうでもいい疑念の解明なのかという迷いはあったが、これからも、圭との付き合いが続く限り、抱えておいて良い疑念でもなかった。

「有紀が、聞く分には関係ないよね。その話、私に内緒の話にしてくれる?」私は、堂々と身勝手な言いぐさをした。

「イイよ、こういうことって深く考えない方が良いのよ。わかることはさっさと片づけるべきよ」有紀は、なんの抵抗もなく、私の願いを聞き入れた。

有紀がいきなり携帯を片手に電話をかけ始めた。私は、屈託ない有紀の行動が羨ましかった。深く考えないと言葉すら出てこない自分との違いを痛感した。

「あっ、圭、私有紀だよ。あのさ、姉さんからビデオの話聞いたけど、それって、どういうことなの?」

有紀は相槌を打ちながら、圭の話を聞いていた。圭がどのように、動画の件を有紀に説明しているのか、わからなかった。圭が自分の立場から、あの動画のメッセージを解釈するのは、彼の権利だ。だから、彼がどのような解釈を加えようと、特に口を挟む必要はなかった。

「……。なるほどね、ナオキって男の復讐心が含まれていると思うわけね。逆に言えば、そのようにされる心当たりが、アンタにもあるってことね」

「……。わかるけど、心当たりがあるってことは、美絵さんだけを責めるわけにもいかないってことよ。そういえば、アンタさ、鬼塚啓二って名前でFXのサイト運営しているんだってね。それでさ、その鬼塚なんて名前、どこから引っ張りだしたのよ」有紀は上手に核心に迫った。

「……。へぇそうなんだ、それって奇妙なんだよね。アンタ、涼ねえさんから聞いてないの、“鬼塚みやこ”って女の人から奇妙な手紙が来たことさ」

「……。そう、知らないのか」

「……。そうだよ、もう4,5年前になるんじゃないの。多分、アンタが美絵さんと式を挙げる前だったと思うけど…」

「……。いや、強迫とか、そう云うんじゃなくて、ただ、涼ねえさんがホテルに入って行くのを目撃したってだけだけど…」

「……。そう、その手紙の差出人が、鬼塚なのよ。それって偶然の一致では済まされないでしょう。鬼塚って名前が、彼女の口から出たのなら、あの手紙の主も、美絵さんってことじゃないの…」

「……。わかんないよ。まだ姉さんが、そのこと気にしているかどうかなんて。ただ、アンタのパソコン閉じる時に偶然目にした“鬼塚啓二”の名前を見て、どうしてアンタが、あんな変な手紙を送ってきたのかって悩んでいたみたいだよ。……いいよ、私の方から伝えておくよ。アンタがわざわざ連絡するのは変だからさ。……ウンウン判った」
つづく

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鮎川かりん

Author:鮎川かりん
小説家志望、28歳の女子です。現在は都内でOLしています。出来ることなら、34歳までに小説家になりたい!可能性が目茶少ないの分ってっているのですけど、挑戦してみます。もう、社内では、プチお局と呼ばれていますけど…。売れっ子作家になりたい(笑)半分冗談、半分本気です。
初めての官能小説への挑戦ですけど、頑張ってみます。是非応援よろしくお願いします。

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