第95章Oホテルの部屋から、敦美が申し込んだ宿泊日を確認した。慌てることはなかったが、一週間の連泊を前払いで済ませていた。
まだ三日の余裕があったが、もう一週間連泊したい旨を伝えると、同室は無理だが、同じレベルの部屋なら用意できるという話だった。
無駄になる可能性もあったが、ホテルの保管個をキープするには致し方なかった。俺が代りに保管庫の物を受け取れれば良いのだが、俺と敦美の関係を証明することは出来そうもなかった。
一週間の宿泊費として三十五万円をクレジットで支払った。なんだか、ひどく馬鹿な行動に出ているように思えたが、ここまで、義理を果たせば、文句を言われる筋合いはないだろうと、自分に言い聞かせた。
これで十日間の余裕が出来たと、ベッドに寝転がったが、三日後には、部屋を変らなければならないことに気づいた。
敦美の荷物を整理して、動かせるように纏めておく仕事が残っていた。それに、十日間の余裕はキープできたとして、連絡が入るかどうか判らない電話を、無為に部屋で待ち続けるのも不可能だと思った。
こう云う場合どうすれば良いのだろうか。俺の携帯に連絡が入るのであれば、どこにいても構わない。問題は、Oホテルの交換を通して、敦美から連絡が入った場合だった。
普通、ホテルの交換を通す場合は、宿泊客の名前ではなく、部屋番号を告げる。その場合、三日後には部屋番号は変るわけだから、厄介なことになりそうだ。
ホテル側が、三日後に変った部屋番号を熟知して、片山敦美さんお部屋は****号室に変っています、と確実に対応してくれるものなのだろうか、まったく見当もつかなかった。
部屋が変った場合の対応は、杞憂に過ぎなかった。かなりの部分コンピュータ制御になっているので、部屋が変った瞬間に、部屋番号を切り替えるので、確実に片山さんの部屋に繋がると云うことだった。
これで問題は解決した。あとは、敦美の荷物をまとめておく作業だけが残された。敦美の性格が現れたような散らばったままの荷物をまとめる作業は楽しいものではなかった。
必然的に行う作業だったが、女の荷物をそっくり纏めて整理すると云う作業は、どこか心苦しい作業に思えた。
しかし、その作業は避けて通り抜けることは出来そうもなかった。
あらかた、拡げられた敦美の私物らしきものを、主のいないベッド上に掻き集めた。
この物体を、敦美の二つのボストンバックに詰め込めば、それで良いと判っていたが、なかなか作業に移れなかった。
煙草に火をつけ、散らばった荷物を眺めていると、俺の携帯が鳴った。
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